表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/49

EX STAGE4:前世の家族と再会


 真の『魔がさす楽園』へと、俺はどうやらやって来てしまったようだ。

 今回は妄想なのか……と、言われると妄想では無いらしい。

 何故なら、研究機関のみんなは本当に殺されているからだ。

 悪魔達いわく、ヨルヤ=ノクターンの命令で俺以外の研究員は皆殺しにしたらしいのだが、何故そんな事をする必要があったのだろうか。

 あと、なんで俺の足を撃ったんだよ。

 未だに、痛くて汗がだらだらと流れ落ちる。

 ここが、前回来たときとの違いだな。

 前回は、作られた『魔がさす楽園』では、来た瞬間に傷が癒えていた。

 あれは、俺の妄想だったからこその回復力だったのかもしれない。

 「さて、翔琉様。着きましたよ。十戒社へ」

 と、悪魔の一人が手をさしのべ、俺の手を引く。

 到着早々、大勢の悪魔達は恐ろしい顔を無理矢理笑顔で満たし、俺の出迎えをした。

 ヨルヤ=ノクターンの命令なのかな。

 「ささ、こちらです」

 と、悪魔は俺を誘導する。

 それはもう、VIPの警護をするように、SP的な悪魔が周りにいっぱいいる。

 「ねぇ、マクスウェルさん……ってあれ?」

 「おや、私はまだ名乗っておりませんのに、よくお分かりで……って、まあ作られた世界でもお会いしましたもんね。その節はどうもです……」

 先程から俺に対して丁寧な悪魔の名前を俺は知っていた。

 マクスウェル……記憶を司る悪魔。かつて、俺の記憶を仲間達から消し去った悪魔だ。

 だが、後に改心し、味方になってくれたんだったな。

 「マクスウェルさん、ヨルヤくんはどこに?」

 「おやおや、あの方をくん呼び出来るのは、この世であなた様とファースト様位でしょう……っと、そうですね。ヨルヤ様は、この屋敷の地下にある『常闇(とこやみ)()』にいらっしゃいます。今のお時間は、ちょうど瞑想(めいそう)のお時間ですので」

 と、地下へ通じる階段へ案内される。

 ここに地下があることを、俺は知らなかった。

 だから、なんだかちょっと新鮮な感じがする。

 「では、翔琉様……この先は、お一人でお進みください……」

 そう言って、地下の扉の前に連れてかれた俺は、ゆっくりと扉を開けた。

 中へくぐると、扉は閉ざされ、闇が空間を支配していた。

 その中で、水の音が聞こえる。

 何かを遮る音も。

 「……誰だ?」

 水音に混じりながらも、ハッキリとその声は聞こえた。

 威圧的で、高圧的で、懐かしい声。

 「えっと……天野翔琉です……」

 そう言って、足を軽く引きずりながら、水の音の方へと歩く。

 暗くてよく見えない。

 「止まれ」

 「え?って、うわぁ‼」

 ボチャン、っと俺は水の中に落ちてしまった。

 傷に染みる。

 左足がうまく動いてくれないし、服重みでどんどん沈んでいく。

 そんな中で、手をぐいっと引っ張って引き上げてくれた人がいた。

 『常闇の間』に、蝋燭の火が灯り、その姿がハッキリと分かった。

 瞑想中で、滝に打たれていたようで、裸姿だったが、俺の心は記憶は覚えている。

 「ありがとう、ヨルヤくん」

 「おう、これくらい構わないぜ翔琉くん」

 にっこりと笑うヨルヤの顔は以前と同じで無邪気な子供みたいな顔だなと俺は思った。

 俺の前世始まりの天使ファーストも、嬉しがっているようでなんだか心が優しさで包まれるような感じがしたのだった。



 十戒社にある、『終焉(しゅうえん)()』へと俺は連れてこられた。

 この場所は、云わばヨルヤのプライベート空間で、他の悪魔は入ってこれない上に、魔法による侵入も不可能な結界が張られているため、安全であると言える。

 ヨルヤは、瞑想を終えて、軽い浴衣みたいな簡易的な服を着ている。

 俺も濡れてしまった服を乾かすため、ヨルヤから服を借りたのだが……。

 「なんでキグルミパジャマなの?」

 「かわいいじゃん」

 なんで高校生にもなって、こんな女子の着そうな可愛らしい熊のキグルミパジャマ着なきゃいけねぇんだよ……もっと、ましなのくれよ。

 もういい、本題に入ろう……。

 「んで?ヨルヤくん。話に戻るけど、なんで僕を僕の世界からこちらに呼んだんだ?」

 「んん?あー、まあ1つは人間どもが俺の元嫁をこき使ってるのが腹に来たってのと、もう1つがな、ここが安全だからってことだな」

 「安全……??向こうは危険なのか?」

 「危険だね~たぶん、あのままにしておいたら、こちらの世界の『奴ら』に殺されていただろうね。それほど、今は緊迫しているんだ」

 そう言ってヨルヤは真剣な面持ちへと変わった。

 そして、急にこちらに向かって膝まずく。

 「頼む、翔琉……お前の力を貸して欲しい」

 「え、えっと……え??」

 俺は状況が全く飲み込めず、慌てふためいていた。

 というか、ヨルヤは俺に何をさせたいのだろう。

 「ヨルヤくん。状況を1から……」

 「それは、僕が致しましょう」

 そう言って、現れたのは全知全能の神アマギ……元邪神だ。

 といっても、俺の作られた『世界』ではの話だ。

 「やあ、翔琉くん。久しぶり、という形容もおかしいけど、久しぶりと言っておこうかな」

 「アマギくん……ここは、ヨルヤのプライベート空間なのでは?」

 「いや、そうだぜ。だから、実の息子である僕はここに入っても問題ないだろう?」

 まあ、確かに。

 そうなるな。

 「それで、アマギくん。今、この世界で何が起きてるの?あと、俺の世界にどう影響してるのさ?」

 俺の質問に対して、アマギは語る。

 世界の異変について……。

 そして、俺の世界との関わりについて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ