EX STAGE24:読めない姉弟
ヨルヤ達は必死に抵抗する。
魔法を使い、肉体を酷使し、更には禁じられていた力までも解放して挑んだ……が、どうしてもやつらは倒せなかった。
砕いても、刻んでも、燃やしても、沈めても、潰しても、凍らせても、感電させても、爆発させても、消しても……何度も何度も何度も何度も蘇る。
しかもよりによって、この世界の住人ほぼ全員が襲いかかってきている。
物量的に言えば、4対無数。
しかも、相手の体力等は切れることはないのだ。
まさに不死者、まさに存在を許されなかった者達である。
「キリがない……」
「パパ、もう魔力消費が……」
「しっかりしろ、ジンライ‼」
「ヨルヤ様、ここは一端逃げるしか……」
と、リュウがいいかけたとき、彼らの空間は閉ざされた。
この魔法は空間魔法。
そして、それを使うのはーーー。
「ディル‼ それに、ボルも……」
彼らは偽物。
存在を許されなかった者達。
全滅の日に死んだ者達である。
何故復活できているのか、それは分からずじまいだが、ひとつ言えるのは彼らはヨルヤ達を殺そうとしていることだ。
「空間を固定された‼」
「ジンライ‼」
「任せて‼ 絶対滅亡操作」
「絶対滅亡操作」
ジンライの放った魔法を解除する魔法を、更に偽ジンライは解除した。
「甘いね、ジンライくん~」
「くそ、偽物め‼」
「ここまでのようだな……なにか言い残すことはあるか?」
「くそ……封印さえ解除されれば……」
ヨルヤは腕についてるブレスレットを眺めている。
ガジガジっと噛みついても剥がれないし、岩に叩きつけても、腕を切り落としても彼を封じ込める効果は持続する。
「くそ!こんなところで終わるわけには……せめて、お前らだけでもどうにか……」
そう言ってヨルヤはどうにかリュウ達を逃がそうと考える。
ヨルヤはひたすら考える。
「あははは、無駄無駄。 この世界である限り、俺たちは無敵だぁぁぁぁ」
ゾッとするような邪気を、存在を許されなかった者達は放ち始める。
そして、邪気をひとつにまとめあげて、なにかおぞましい者を呼び寄せようとしていた。
と言うより、邪気は『消去者』の形に変貌し始めていた。
「あれは、消去者……ってことは」
「そうだ‼ てめぇらも、喰われちまえぇぇぇぇ‼」
邪気はみるみると消去者の姿へと変貌していく。
このままでは、ヨルヤ達は喰われる。
すべてを消し去る消去者によって。
「くそぉ……」
「翔琉ちゃん……」
「翔琉……」
「翔琉……ママ……」
「翔琉ぅぅぅぅぅぅぅぅ‼」
閉ざされた空間の中で、友の名を呼ぶ者達。
だが、その友は絶対に現れない。
何故なら、彼は今封じ込められているからだ。
時空間の主と始まりの神によって……。
だが、代わりの存在なら現れたのだ。
天野翔琉の妹である天野蘚琉と天野狼牙……天野姓を持つこの二人が。
「ヤッホーおっひさ~」
「姉ちゃん……そんな雰囲気じゃねぇって……」
相変わらずのテンションの天野蘚琉と、それを抑制しようとする天野狼牙。
相変わらずだと周りは思った。
「贖罪の旅がようやく終わって出てきてみれば……なにこれ」
「なんだろうね、なんか殺し合いしてるね」
呑気だな……。
「蘚琉‼ 狼牙‼」
「おや、ヨルヤさん。 それに、ジンライたちも。 あれ? でも、みんな死んだはずだよね? 『なにか』に食べられて死んだはずだよね? おいらはそれを確認してからこっそり隠れてオールドアに向かって蘚琉お姉ちゃんと一緒にいたのに」
「な‼ お前、なんでそんなことを‼」
「ん~。 いや、消去者って空想を消し去るだけの存在だからね。 おいらにとっては翔琉お兄ちゃんと蘚琉お姉ちゃん以外が幻想だって言うことはもう感じていたから、別に消されてもいいかなって」
その言葉を聞いた、存在を許されなかった者達の怒りはすでにはち切れていた。
そして各々が罵詈雑言を浴びせ、狼牙を殺そうとする……しかしながら、狼牙はそんな彼らの罵詈雑言にはなにも感じていなかった。
そのまま、襲いかかってきている彼らを一蹴する。
それも余裕で。
「うん、雑魚いね。 これなら、翔琉お兄ちゃんの方が強すぎるね」
「あぁ……翔琉お兄ちゃん……久々に名前を聞いただけで身体が火照ってきちゃった」
「うん、おいらも……久々に、頭なでなでしてほしい……」
こ、こいつら……変態だ。
そう、この場にいた者たちは思ったのだった。
「んでもまあ、その前に邪魔物は消しちゃおうね~狼牙」
「そうだね、姉ちゃん」
「「【捕食】」」
そう二人が言うと、存在を許されなかった者達は次々と倒れていく。
まるで殺虫剤で死んでいくコバエのように、バタバタと……。
「こ、これは……魔力零」
「魔法より上位の力……能力。そして、その持ち主である能力保有者だってこもをすっかり忘れてたぜ」
存在を許されなかった者達は次々と消えていく。
まるで、成仏されたかのように……光の粒子になって消えていく。
その表情は穏やかだった。
前のように、「消去者」に食い殺されるわけではなく、眠るように死ねたからなのだろうか。
案外彼らは断末魔も上げず、安らかに消えたかっただけなのかもしれない。
あんな訳の分からない化け物に食い殺されるだなんて、悪夢で人生を終わらせたくはなかったのだろうな……きっと。




