EX STAGE15:呼ばれた男
始まりの神ファースト。
彼女は、この世界全てを創造した神物である。
そして、俺の前世でもある。
「やっほー。翔琉くん。おっひさー」
「おっひさーって……自覚して喋るのはこれが初めてだったと……」
「うっそだ~。私、あなたが作った妄想世界にいたじゃん。あれ、モノホンの私よ」
「ええ!!」
まさかまさかの……あのときの偽物の世界での始まりの神ファーストは、本物だったとは。
あれ?
「でもそうなると……あいつに食べられて死んでなかった?」
「死ぬもなにも、私既に死人だから死んだって意味ないって」
ごもっともで……。
確かに、死人がいくら死のうと死んでいることには変わらないのだ。
「でも、あれって全てを終わらせるための化け物で、あれに食われたら終わるわけで……」
「っと、翔琉くん。その話はあとで。そろそろ、敵さんも痺れを切らす頃だからね……」
そう言っているファーストに、強欲は襲いかかったのだった。
だが、今のファーストに打撃系の攻撃は効かない。
何故なら、彼女は……。
「今の私は霊体……というよりは、概念的思念と言うべきなのかしら。この世界を創造したという概念であるけど、実体はもう別のものになってしまっている。故に、その人物の思念下でのみ存在できる存在……」
「ファーストぉぉぉ‼てめぇが消えれば、俺様たちはもう2度と封印されるなんてへまはしねぇ!!」
「そうね……だから、あなたたちはもう封印しない。『成り代わり現象』だなんて下らない真似をしているあなたたちは、消滅させて清く正しい者へ転生させてあげるわ」
そう言っているファーストだが、どうする。
今の彼女は概念的思念。
概念的……という以上、直接手を下す事はできない。
概念はすべてに平等に……それが鉄則だ。
「さあ、翔琉くん!やぁっておしまい‼」
「なんで、どこぞの悪役みたいな言い方を……って、無理!俺今、お前が死んだときと同じものにかけられてるから」
「はぁ?誰が、今の翔琉くんを戦わせるっていったのよ……」
「え?」
「しょうがない、ヒント。あなたの力が全盛期だった時代に戻りなさい……」
「は?」
「んじゃーねー」
そう言ってファーストは、再び俺の体内へと戻っていった。
「あの女‼何しに出てきたんだ‼こんちくしょうがぁぁぁぁぁぁぁ‼」
強欲は怒りをぶちまけていた。
だが、俺は……分かってしまった。
先程のファーストの意図が。
今の力の状態で、光属性魔法で使えるあの魔法を……。
「さあて、んじゃメインディッシュにしますかね……」
そう言って強欲は、じりじりとこちらへ近づいてくる。
ヨルヤが防戦しようと向かったが、虚無空間ではないここでは、能力を封じられてしまっており、ハエたたきのように軽くあしらわれてしまった
だが、その時間を稼いでくれたお陰で俺はこの魔法を発動させることができる。
「召喚魔法:過去からの来訪者」
上空に出現した魔方陣より、それは現れる。
その姿こそ……間違いなく。
「よいしょっと……ん?ここはどこだ?」
「は?」
「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ??」」」
俺以外の全員が驚いていた。
何故なら、そこに現れたのは、昔の俺……中学生の時の俺だったからだ。
「初めまして、俺の名前は天野翔琉だよ」
「やあ、昔の俺……」
「やや!!そこにいるぼろ雑巾みたいなだせぇ馬鹿は、もしかして未来の俺ですか?」
昔の俺、口悪いな……。
「まあそうだよ」
「え?じゃあ、ここは未来ですか?」
「うん……まあ、そうかな」
「そんで俺が呼ばれたのは、未来のぼろ雑巾が、やられたからってわけな」
「お前、ぼろ雑巾っていってるの自分自身ってことを忘れるなよ」
「あはは。そうだったね」
なんというか不思議な感じだ。
まさか、過去の自分と話をする日が来るとはね。
「ええい、貴様らは天野翔琉……ってことなんだから、二人とも死ねばいい‼ 」
頭が混乱している強欲は手っ取り早く俺たち二人を消そうとした。
だが、正直いうのもあれなんだけど……。
「無駄だよ……」
そう言って過去の俺は強欲を弾き飛ばした。
そりゃそうだ。
「究極神魔法……」
見えないレベルで既に神魔法を発動させていたからな。
本来神魔法を発動させると、全身を魔法が覆い、翼が映えてくるのがしばしば……。
だが、過去の俺はそれをあえて見えなくした。
その事で相手を油断させたかったのだろうな。
「そんで、未来の俺。召喚できる時間はどのくらい?」
「あと、5分……今の状態だとそれが限界かな……」
「おっけ~んじゃ、サクッと倒すよ‼」
そう言って過去の俺は圧倒的な力で強欲を圧倒し始めるのだった。




