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EX STAGE14:目覚めし光


 反乱軍基地にある、大魔導士がちょうど集結していたテントが爆発により破壊された。

 このことは、駐屯していた他の魔導士たちにとっては衝撃的な出来事だった。

 だが、それ以上に衝撃的な出来事だったことは、こんな爆発が起きていたのにも関わらず、自分達が無傷で爆風さえも当たらないレベルで守られていたことに驚いていた。

 その魔法を発動した人物は、黒いコートに光の翼を生やして、爆発の間に立っていたからかな。

 「光魔法(ひかりまほう):絶対神域(ぜったいしんいき)……ごふっ……」

 そして、そんな俺はといえば……血を出していた。

 そりゃそうだ。

 咄嗟のこととはいえ、あれを使ってしまったからな。

 「ほう。それが名高い神魔法か……だがしかし、天野翔琉よ……お前は今邪悪の因子に汚染されている身……そんな事をすれば、お前の寿命は減り続けるぞ」

 「分かってるさ……光天神解除……ゴホッゴホッ……」

 びちゃっと、地面には大量の血がこぼれ落ちる。

 「か、翔琉ちゃん!!また無茶を……」

 そういってリュウは急いで俺のもとへと駆け寄り、身体を支えた。

 それに安心したようで、俺は身体の力が抜けてしまった。

 「あたしたちを守るために……ありがとう翔琉ちゃん……」

 「お安いごよう……ゴホッゴホッ……はぁ……はぁ……」

 「なぜ俺は動けなかったんだ!!」

 ヨルヤは地面に向かって、拳を振り下ろす。

 悔しさのあまり、悪魔の神は虚空に吠える。

 「おやおや、ヨルヤ殿。貴殿も来ていたとは……はは。でも、もう遅いよ。天野翔琉はここで殺す……先の戦闘で暴食と怠惰を退け、傲慢を消滅させたその男は我々にとっては危険そのもの……‼」

 「氷雪魔法(ひょうせつまほう):羅雪女(らせつじょ)

 氷の大魔導士ヒョウの放った氷の水晶体が強欲を包み込む。

 「雷虎魔法(らいこまほう):虎楓電来(こふうでんらい)

 そして、雷の大魔導士ライの放った雷が氷の水晶体に付加(エンチャント)され。

 「空間魔法(くうかんまほう):虚無(きょむ)

 「時間魔法(じかんまほう):平行時間(パラレルタイム)

 ボルによって、強欲は空間ごと固定され、ジンライによって、雷を帯びた氷を無数に増やされーーーそして次の瞬間、雷を帯びた氷は割れ、冷気と稲妻が強欲に向かって襲いかかったのだった。

 だが、そんな攻撃でさえ、強欲の服にすら傷をつけるに至らなかったのだ。

 「そ、そんな……」

 「ばかな……‼」

 「今度はこちらの番だな」

 にやり、と笑う強欲が手を振り下ろした瞬間、ジンライたちはなにか強い衝撃を受けて吹き飛ばされるのであった。

 

 

 「みんな‼」

 俺はリュウに支えられながら、必死に叫ぶ。

 瀕死とは思えないほどの声にリュウは驚きを隠せないようだった。

 そして悔しいのか、リュウはひとまず俺を近場のところに置いて、彼女は即座に強欲を倒しに向かった。

 「治療女王魔法、発動」

 一時的に不死状態にする魔法を自身に付加させ、特攻する。

 それに合わせて、ヨルヤも同様に強欲へと攻撃を仕掛けていた。

 ヨルヤは現在、能力を封じられている。

 それは、この世界に影響を与えるほどの力を有しているが故の厳正処置的なものである。

 だが、ヨルヤが戦える空間をもしも用意できていれば……その中では制限をはずして戦える。

 ボルが発動させた空間魔法はまさにそれにあたる。

 防御不可にさせ、あらゆる制限を無力化する【虚無】。

 故にヨルヤがあとやらなくてはいけないことは、自身に魔法を付加させ封じられた能力を解放すること。

 封じるために付けられた腕輪をはずすのではなく、腕輪をつけたままで最大限の力を発揮するための処理だ。

 あの空間にさえ入れば、どのみち腕輪の力は解除される。

 ならば、即座に戦闘に入れるように空間突入と同時に魔法を発動させる呪文を唱えながら、空間の辺りを旋回しているのだ。

 リュウは近接戦闘で強欲に挑み撹乱させ、ヨルヤの力が満たされるまでの時間稼ぎをしているのだーーー命を懸けて……。

 「俺様に手を出させるとは、やるな水の大魔導士」

 「まだまだ‼」

 リュウの近接戦闘スキルは高い。

 それは、そうだ。

 彼女は、戦闘に飢えた戦闘狂(バトルマニア)

 この手の戦闘はお手のものだろう。

 「ふむ……それでは、余興を変えるか……」

 そう言って、強欲はパチン、と指を弾く。

 すると、リュウは泡のようなものに包まれるのだった。

 「こんな泡程度、壊せないとでも?」

 「んじゃ、割ってみな……」

 リュウはあっさりと割る。

 だが、その瞬間、倒れていたジンライが叫び声を上げた。

 「あああああああ!!!」

 「じ、ジンライ?」

 「あ、頭が……」

 「クックックッ……」

 「強欲‼貴様、何を……‼」

 強欲は再び、リュウを泡に閉じ込める。

 が、リュウはあっさりとそれを割る……が。

 「ああああああ‼」

 と、今度はヒョウが叫び声を上げ、全身から血を吹き出すのだった。

 「おいおい、水の大魔導士……いい加減やめてやれよ……」

 「……‼この魔法は、まさか……」

 「そうだよ。近場にいる敵の精神を敵に破壊させる魔法……【精神犠牲(サクリファイス)】。俺様ってさ、欲深いからさー、どうせなら敵は敵にやられるのが一番いいじゃん?ちなみに、この魔法にやられた生物は廃人になっちゃうから……見てみ?」

 そう言って強欲がジンライとヒョウを指差すが、既に彼らは俺の方へと転移させていた。

 「翔琉ちゃん?何を……」

 「神魔法光天神【光魔法:光癒治】……」

 俺は神魔法を一時的に発動させ、光癒治を彼らに与えた。

 どんな異常状態でも回復させることのできるこの魔法な……ら……。

 「がはっ……」

 血が……。

 「やめさない‼翔琉ちゃん‼このままだと、あなたが死んでしまう‼」

 「クックックッ……天野翔琉。そのまま、死ね‼」

 「そうはさせないよ……」

 そう言って俺の体内から、なにかが現れた。

 それは、美しき白い衣を纏った美女……いや、知っている。

 俺はこの女を知っている。

 「お、お前は……‼」

 強欲が目を見開くほど驚いている。

 そして、それはヨルヤも……。

 「やっぱり、翔琉に生まれ変わるのと同時に宿っていたな……ファースト」

 そう、この女性こそ俺の生まれ変わる前の前世の姿……始まりの神ファーストだったのだ。

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