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EX STAGE12:涙

 俺たちは大魔導士たちと合流するべく、光神殿付近にある反乱軍基地へと向かう。

 あー、ちなみに癒しの泉に捕らえられていた病人たちは、病気を完治させたうえで安全な場所に隠した。

 俺とリュウで光属性と水属性の回復魔法で彼らを癒すことなどあっという間だった。

 神魔法を使えなくても、それなりに光属性の魔法は使えている。

 これは、元から持っていた才能なのか、それとも始まりの神の生まれ変わりだからこそ出来たことなのかは分からないけどな。

 「なあ、ヨルヤ」

 「なんだい翔琉?」

 「何で俺をお姫様抱っこして、移動してるんだ?」

 現在、反乱軍基地へと向かって空中を移動中なのだが、なぜかヨルヤに抱えられて移動してる。

 俺も空中移動用の魔法使えるのに。

 「だーめ。お前は病人なんだから、安静にしてないと」

 「うーん……そういうもんなのかな?」

 「そうよ、翔琉ちゃん。ここは、ヨルヤ様に従いなさいな」

 「……ところで、リュウは何でヨルヤのことをヨルヤ様って呼んでるんだ?」

 「いや、おかしいのは翔琉ちゃんだからね。ヨルヤ様は、神様なんだから。様つけないと失礼でしょ」

 「あー、そうだったそうだった」

 忘れてた。

 ヨルヤって神様なんだっけ。

 「なあ、ヨルヤ。俺もヨルヤ様って呼んだ方がいいか?」

 「翔琉は、やめてくれぇぇぇぇぇ友達なんだから、様付けで呼ぶのはやめてくれぇぇぇぇぇ」

 そんな泣くほどに嫌なのな。

 「わかったよ、ヨルヤ。泣くなよ」

 「ううう……」

 「ヨルヤ様にそこまで思われるだなんて……翔琉ちゃんホントにすごいわね」

 リュウは唖然しているというより、驚いているというのが正しいような様子だった。

 そんなにすごいことなのかな?

 「あ、翔琉!忘れてた!」

 「ん?何を?」

 「翔琉に変身魔法かけるのを!!」

 そう言うと、ヨルヤは再び俺に魔法をかける。

 すると、今度は白いワンピースを着たファーストの姿になった。

 いや、待て。

 「これ絶対お前の趣味だろヨルヤは。さっきはエプロン姿だったし‼」

 「え?ファースト様?」

 「うむ。いかにも。元嫁姿に翔琉を変身させているんだ。じゃないと、翔琉の姿だと災厄の使徒ってことで、何かされるかもしれないからな」

 「あー、なるほど。そうなんですね……いやでも、ファースト様の姿でも狙われそうな気も……」

 「まあ、そこは俺様が命を懸けて守ってやるのさ」

 「やだ、ヨルヤ様かっこいい……」

 おーい。

 なんだこの状況。

 だれか何とかしてくれー。

 「さて翔琉。そろそろつくよ」

 と、ヨルヤが言うと、目の前に黒い煙が立ち込める荒野が見えてきた。

 あの奥に見えるのが、光神殿……世界魔法連合総本部のある場所だ。

 そして、中間の荒野が戦場で、その手前側が反乱軍の基地がある場所……。

 「さあて、そろそろ降下……‼」

 「危ない‼」

 戦場から流れてきた魔法攻撃がこちらへと向かってくる。

 ヨルヤとリュウは難なくそれをかわす。

 戦場は怖いな……。

 よし……あれやるか。

 「リュウ、俺と手を繋いで」

 「ん?どうしたの?翔琉ちゃん」

 「いいから、早く」

 そういって俺は無理矢理リュウの手を握る。

 「絶対に離しちゃダメだからね」

 「う、うん……」

 「時空間魔法(じくうかんまほう)止水(しすい)】」

 そういって俺は世界の時間を止めたのだった。

 

 

 時空間魔法……それは、時の監視者のみが扱えるとされる時間と空間を操る魔法である。

 ではなぜ俺がそれを使えるのか……というと、かつてディルが目の前で何度も何度も使っていたのを見ていたからだ。

 使うところさえ見れれば、原理がわかる。

 原理が分かれば、使役できる。

 某小説には、見るだけで戦闘技術を習得できるとんでもねぇお姉ちゃんがいたりするらしいけど、俺のはそれとは違う。

 見ただけでは、習得できない。

 故に、俺はどうするのかといえば……出来るまでやるだけだ。

 この魔法を使えるまでに、あの世界では軽く見積もって1万通りの修行を試した。

 その結果、今現在俺は時空間魔法を使役できるのだ。

 「翔琉ちゃん、時空間魔法使えたのね」

 「まあ、一応光属性だしねー。あんだけ練習したってのもあるけど……いいかい?それでもまだ俺は初歩の初歩。ディルみたいに、触れてない人物を自在に動かせる力はないから、絶対に手を離さないでね」

 「「了解」」

 そういって俺たちは反乱軍の基地へと降り立つのだった。

 反乱軍基地には、幾千人ものの魔導士たちが集結していた。

 リュウによれば、全員が大魔導士レベルの力を持っているものたちらしい。

 だが、8人の大魔導士や、3人の太古魔導士レベルまでにはいかないようだ。

 基地には、ベーステントが設置されており、その中でも一番デカイベーステントに奴らは居るそうだ。

 「あそこだな……」

 そういって俺たちはテント内部へと入る。

 「……」

 俺は思わず涙が出てしまった。

 また、こいつらに出会えるだなんて思っていなかったからだろう。

 「止水解除」

 パチン、と指をならすと再び時は動き始める。

 「……って、わけで次の……‼」

 ジンライ。

 「リュウ??」

 ボル。

 「あれ?そちらの方々って、ヨルヤ様と……ファースト様‼」

 ヒョウ。

 ああ……かつての仲間たち。

 「みんな‼久しぶり‼」

 「久しぶりって……ファースト様とは初めてお会いするはずですが?」

 「あー違うのよヒョウ。ヨルヤ様、解除してください」

 「おう」

 パチン……そう音がなると、俺はもとの姿に戻る。

 そして、彼らは俺の姿を見て最初は驚いた表情をしていた。

 でも、すぐに彼らもポロポロと涙を流し始めた。

 「なんでだろうな……どうして泣いちゃうんだろう」

 「俺たちは、あの世界の記憶を共有しているからかな……」

 「(わたくし)たちは、あの世界を偽物と認識していますけど……」

 「でもやっぱり、こう思ってしまったんだな」

 「「「会いたかったよ、翔琉」」」

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