EX STAGE1:高校生研究者
魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった……の続編です。
他の小説そっちのけで、こちらの続きが書きたくなったので、また不定期に書いていこうと思います。
ある世界で語り継がれたとある物語について、少しだけ語るとしよう。
ある世界……そこは、魔法の力で道溢れた世界だった。
幾度もなく、様々な事件などが発生し、やがてその世界は偽りを終えて、ほどなく消え失せた。
その世界で起こった数々の事件の鍵を握り、最終的にその世界を消し去った男がいた。
少年の名は、天野翔琉。
神々の力を宿し、神々に愛された少年。
そして、その世界の名は『魔がさす楽園』。
すでにこの世に存在しない世界であり、天野翔琉が生み出した偽りにして虚構の世界でもある。
だけど、もしも……その世界が、虚構では無かったとしたら……。
俺の名前は天野翔琉。
現在17歳の現役高校2年生だ。
とは言っても、普通の高校2年生ではなく、一部特殊な面を持っている。
それは、俺がとある国連の研究機関で働いている……と言うことだ。
その研究機関では、生命の構造など、遺伝子に関係することや、寿命などについての研究をしている場所なんだ。
俺はそこの【人類延命】部門のチーフをしている。
何故、いっかいの高校2年生が、こんな場所で働けているのか……と言えば、中学3年生の時にある論文を発表したからだろう。
それは、俗に言う『不老不死の薬』に近しい理論が書かれた論文だった。
それは、学会に提出された直後、波紋を呼び、全世界の研究機関が実証し、検証したところ……その理論の正しさは世界的に認められた。
当時の俺は、【奇跡の少年】とか【天才少年】とかもてはやされたわけで、その他にも色んな事をしてしまい、現在に至るというわけだ。
「ふう……」
おびただしい数字が記入されたパソコンの画面と長時間向き合っていた俺は、椅子に座りながら溜め息をついていた。
かれこれ、8時間もパソコンと向き合っていたようだ。
俺は不意に、デスクの引き出しに入っている、学校の時間割を徐に出して眺めている。
「……明日は、学校の日だな」
と、言う。
実はここしばらく、学校に行ってない。
というか、学校側的には学業よりもこちらに優先してほしいという事で、授業とテストの免除を特例中の特例として、認められている。
「そんな事……望んでなかったのにな……」
俺が望んでいたのは、普通だった。
普通で普通で普通すぎる事を望んでいたのに……。
「ミスターアマノ……オジカンデスヨ」
と、国連の海外研究員の人が俺を呼びに来た。
どうやら、これから会議のようだ。
「……眠たいから、資料あげるから君代わりにやってよ……」
「ノー。ソレハムリデス。アナタノリロンハジョウシキデハ、リカイデキナイノデ……」
「おいおい。ディスるなよ……俺は学生なんだから、その辺甘くしてくれよな」
この研究機関、最近若干『黒い』んだよな……。
前は『白』かったのに。
やれやれと思いつつ、俺はデスクの上のノートパソコンを持って、研究室を後にするのだった。
次の日。
本来ならば、学校に行きたかったのだが、研究機関はそれを許してくれなかった。
むしろ、昨日の会議で提出した俺の理論の信憑性について、徹底的に実験しろと言ってきたのだ。
大人がやれよ……と思ったが、あの理論の言い出しっぺは俺であるがゆえ、大人達は俺に仕事を一方的に押し付けたのだ。
その他にも、別の研究部門からの依頼とか、新薬の開発なんかにも協力しろって命令が来て、全てが片付く頃には、既に夜になっていたのだった。
「うへぇ……疲れた……」
ぐったりと、デスクに上半身をだらんと垂れた。
こんな激務を高校2年生にやらせるなよな。
「これなら……あの世界に……はぁ……」
と、俺はある世界のことを思い出していた。
その世界では、この世界のように化学が発展しておらず、代わりにある力が使われていた。
それは、『魔法』と呼ばれるファンタジー的な力だ。
俺はその世界で、最強と呼ばれる魔法を手にし『異世界最強の魔導士』とか『神域魔導士』はんて呼ばれていたんだ。
それに、仲間もいた。
俺が元の世界……つまりは、こちらの世界へと戻るために、協力して貰った大切な友達。
だが、彼らは……。
「……あれ?」
俺は、自然と涙を流していた。
あぁ……そうか。
あの時の光景を思い出してしまったからか。
あの、みんなが……喰い殺された……あの時の事を。
「数年前の事なのに……すげぇな。記憶って、鮮明に覚えているものだな……」
『消去者』と呼ばれるすべてを喰らう化物。
あの世界の住人すべてを喰らい尽くし、最後には自分を食べて終えた悪夢のような化物。
だけど、それは必然的に行われたのだった。
だって、あれは……あの世界は……。
「俺の妄想だったんだよな……」
そう……あの世界も、魔法も、仲間達も……すべて、俺が作った妄想だったんだ。
現実から目を背けた結果、見続けた悪夢が友達だなんて、笑える話だろう……。
「ディル……」
時を操り空間を司る魔法を操る『時の監視者』と呼ばれた女性ディル。
初めてできた、あの世界の仲間にして魔法の基礎を教えてくれた師匠でもある。
もう一度、会えたら……そんなことを思っていた時期もあった。
でも、彼女は死んだんだ。
あの時、あの場所で……。
最後に、俺に……をして……。
相変わらず低レベル文章で申し訳ないです。