出発 part1
「とりあえず、今の状況を訊こうか・・」
実は、運転席から後部座席に乗ってる竜間と愛華に質問した。
あの黒服の男達から、逃げて実の車に乗り、1時間くらい走り、大きなスーパーの駐車場に車を停めて実は質問をした。
そこから、竜間は実に今まで見た事や経験した事を話した。
掃除用具入れの中から愛華が出てきて、大男に1発KOされ、そこから運良く逃げ出し家まで逃げたが、何故か家がバレてまた追いかけられ、今に至る。
「てか何で実は、あんなタイミングが良く登場できたんだ?」
「ああ、その事!竜間の家付近に何故か警察から外出禁止令が出たんだ。」
「別に禁止令って言ってもそんなに強制的なやつではなくて、「外出を出来るだけ控えて下さい」って警察の制服を着た奴らが一軒一軒警告してたから、不思議に思って免許取り立ての車で町を走ってたら、竜間が女の子の手を引いて男から逃げてたから助けただけだよ」
ーそうか。だから俺の家付近に人が通らなかったのか・・
竜間は、逃げてる時に感じた違和感の理由がわかった。
「まさか、ヤクザがねぇ・・・・・。そんな突拍子のない話を竜間はよく信じたね」
実は、愛華に視線をやった。
何か愛華を疑う様な目だ。
「まぁ突拍子はないけど、俺の腹にはまだ殴られた痛みが少し残ってるんだよ」
竜間はお腹を手でさすり痛みがまだ治まっていない事を感じた。
「で!これからどうすんの?そんなにヤバイ連中ならここも直ぐにバレるだろ!」
実は竜間の発言から少し間を置いて質問した。
車の窓の外を見ると、車が数台出入りしている、その車全てが竜間は追手に見えた。
考え過ぎなのかもしれない、だが今は竜間はそうする他なかった。
実の様に車を運転できるわけじゃない、唯一の特技の空手も通用しなかった。
竜間には自分が出来る事がない気がしていた。
「京都に行くわ」
愛華が実の質問に答えた。
竜間は「また言ってる」と思ったが、口には出さずにいた。
「京都か・・・・。何で?」
その質問に愛華は竜間に答えた様に答えた。
京都に行ったらお父さんがいて、お父さんの近くにいたら安全との事だった。
「まぁその話を信じるとして、ここから京都まで高速でも5時間かかるよ?」
実が何か含みがある言い方をまたした。
「高速はダメ!」
愛華は、実の意見を速攻で却下した。
「はぁ~」と実は深いため息をつき、「またあいつらの情報網ですか?」と面倒くさそうに言った。
そして黙りこむ愛華。
「高速を使わずに下道なら何時間くらいでいけるんだ?」
沈黙に耐えきれなくなった竜間は実に質問した。
「わからないけど、休憩も何もしなくて最短で半日以上だと思うよ。休憩や睡眠をしっかりとって3日間くらいかな」
「しんどいな・・・・・」
竜間はそう言いながら周りを見渡すと、辺りはもう暗くなっていた。
「とりあえず、今日は寝る所を探すか・・・・・」
竜間は二人に言った。