助っ人 part1
「じゃあ今の状況を整理しましょ」
愛華は、湯呑みに淹れてあるお茶を口に運び少し飲んでまた机に戻した。
「いやいや・・・何で俺の家来てるの?」
「あんたが来いって言ったんでしょ!」
「まぁそうだけど・・・・。こんなにあっさり来るとわ」
竜間もお茶を少し飲んだ。
お互いの自己紹介が終わったから、二人は竜間の家に向かった。
竜間はずっと辺りを警戒していたが、怪しい人どころか誰とも遭遇しなかった。
それは別にこの田舎町ではよくある事ではあるのだけれど、このタイミングで誰とも合わないとは少し変だった。
夕方の時間帯に誰ともすれ違わないなんてありえない。
学生と合わないならまだわかる。学生は竜間の家付近に近づきたがらない。
竜間に脅えているからだ。(時々ケンカをふっかけにくるやからはいた)
だけど1キロ近く歩いて誰とも合わない、竜間がその事を考えている間に二人は家に到着した。
「状況を整理って・・・。俺は殆どわからない状態なんだから、整理じゃなくて教えて欲しいんだけど」
「そうね!教えるわ。私のパパは色々と恨みを買いやすい職業をしてるの。でも関西ではパパが怖くて誰も手を出せなかったの。」
竜間の頭の中には疑問が話を聞くたび増えていく、だかそれを質問しなかった。
「で、私が東京に友達と旅行に来た時に、あの大男達に襲われたの。多分パパに復讐する為に私を利用する気なの。でもこのまま友達といたら危険だなって思って友達から離れてここまで逃げて来たってわけ。」
愛華が「以上!」と大きく言って説明が終わった。
「いや、以上じゃねぇよ!説明不足にも程があるわ。大雑把なことを説明して肝心なとこは説明無しじゃねぇか!」
机をドンと叩き竜間は愛華に言った。
「肝心なこと?」
愛華は首を傾げながら竜間に訊いた。
これがとぼけてるのか本当にわからないのかは、竜間にはわからなかった。
「あいつ等何者なんだよ!学校とかにも普通に入れてたし・・」
「う~ん・・・・。平たく言えばヤクザって言われてる人達なんだけど、世間一般が考えるヤクザとはちょっと違うの」
「どこが違うんだ?」
「政界の大物にお金を流してるの、だから政治的にも大きな権力を持ってるの。特に関東に強い権力を持ってるの!警察にも大量の賄賂を渡してるから警察も頼れない」
「は!?警察も?そんな奴らに俺も狙われたかもしれないのか、どうするんだよ!」
「だから京都に行けば大丈夫なの!」
その時、インターホンの音が家中に鳴り響いた。
竜間は、インターホンに付いてるカメラにあの大男が映ってる事に気が付いた。