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旅路  作者: 下っ端
2/14

出会い part2

女の子がいた。

身長は大体150後半くらい、髪の毛は長くて少し茶色い、眼はパッチリ大きく第一印象は可愛いだった。

竜間の通っている高校の制服ではなく、近くの高校の物でもない。

もしかしたら中学生という可能性もある。


掃除用具入れの中にいた女の子に竜間たつまはあ然とした。

放課後まで日常の1ページだったはずの今日に、非日常が少し混ざった気がした。

竜間は日常を好む。

朝起きて準備をし誰も通らない通学路を通り、放課後になると教室を掃除して帰る。

こんな日常が好きだった。

竜間は女の子と数秒目が合い耐えきれなくなって用具入れの扉を閉めた。

それは強制的に日常に戻したい!その気持ちが竜間に働いたのかもしれない。


ー変な趣味の奴もいるんだな~

竜間は自分に言い聞かせながらカバンを手に取り教室を出ようとした。

教室の扉を開き一歩教室から出た時、竜間は何かに当たった。

それは分厚い壁に当たった様な感覚だった。

上を見上げると2メートルはありそうな、男が立っていた。


ガタイが良く、長年空手をやっていた竜間でも見たこと無い体つきだった。

男は低い声で「この女の子を見てないか?」と写真を胸のポケットから出した。

その写真に写っていたのは、用具入れに入っていた女の子だった。

一瞬ギクッとして竜間は、「見てない」と平然を装った。

何故この時竜間が女の子を庇ったのかは、竜間自身もわからなかった。

ただ直観的に竜間がそうした方がいいと判断したのだ。

その瞬間、教室の用具入れからガタンと音がした。


男は、その音を聞き逃さなかった。

「何だ今の音?お前この女を庇っているな?」

ー察しが良すぎる。

竜間は少し動揺したがまた平然を装い「知らない!」と言った。

男は教室に入って行き、キレイに整頓された机の間を通って用具入れの前に立った。


ー全く運の悪い女だ。俺は出来るだけの事はやったぞ。

竜間は心の中でそう思い廊下を歩いていった。

ーここで物語の主人公は助けに行くんだろうな~。それが普通の事の様に助けるんだろうな。だけどこれは物語じゃない。あの女の子が家出少女とかであの男が警察で捜索願いが出されていて、それで探している可能性だってある。

ー悪の組織が女の子を連れ去っている、みたいな可能性の方が低い。だからあのガタイの良い男は警察なんだその可能性が一番高い。だから早く日常に戻ろう。

竜間は自分に言い聞かせながら廊下を歩いた。


「キャー」と甲高い悲鳴が聞こえたのは教室を出て少し経った後だった。


「おい!おっさんその子にどんな目的があるのか知らないけどそれはやり過ぎだろ」

竜間は気が付くと教室の中に入っていた。

キレイに並べた机が歪み、男が女の子を取り押さえている。

男は声に反応して竜間を見た。

「おいガキ!俺をおっさん呼ばわりした事なら許してやるから、この件に関わるな。子供が関わる問題じゃない」

「その子だって子供だろ!」

女の子は竜間の方を大きな眼で見ている。

「ダメ!帰って今ならまだ間に合うから!」と女の子は竜間に注意する。

「いや・・・。もう無理だこいつもに連れ帰る」

男は竜間の方に近づいていった。

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