転回 part 3
森の獣道を5分くらいかけて歩き、道路に出た。
そこから実の車を止めている駐車場まで走った。
だが、駐車場が見えてきた辺りから実の車の周りに黒い服装を着た男が2人いた。
「あれあいつらの仲間かな?」
竜間たちは物陰に隠れて黒服の男達を観察した。
「多分そうだろ!あんな分かりやすい服装着てるんだから」
「実どうする?」
「とりあえず、さっきいたあの見張り台まで戻ろう。あそこだったら、あいつらの動向が把握できるし」
そこからまた5分くらいかけてさっきいた見張り台に戻った。
「あの車を抑えられたら厳しいね!」
咲が実に言った。
この二日間で実が指揮を執る姿勢が固まってきて、その雰囲気が咲も分かっただろう。
実は双眼鏡で咲の家の方をのぞく。
男達は咲の家の周りをぐるぐる周っている。
「ここから一番近いバス停か駅まで何分くらいでいける?」
「バス停が20分歩いた所にあるよ」
「20分か・・・・・・。向かっている最中にあいつらに見つかったら終わりだな。」
こんな会話をしているとガサガサと獣道の方から草をかき分ける音がした。
4人は屈んでその音の正体を確認した。
それはあの黒服の男だった。
どうやら1人で来ている様だった。
「おら!出てこいガキども!」
大声をあげ竜間たちを威嚇する。
「さっきこの場所に入って行くのを見たぞ!今なら痛い目に合わなくて済むぞ!」
そう言いながら男は竜間たちが潜んでいる所に一歩ずつ近づいてきた。
「私が出るわ」
小さな声で言って愛華が立ち上がろうとした、がそれを竜間が止めた。
「何すんのよ!もうこのまま行ったら終わりじゃない」
「俺に任せろ!」
そう言って竜間は、屈みながら3人と距離をとった。
そして立ち上がった。
そのまま竜間は3人がいる反対側に逃げていった。
男は「待て!」と言いながら竜間を追いかけた。