転回 part1
竜間が目を覚ましたのは昼の12時だった。
昨日の深夜、竜間は咲と外を警戒しながら話し日が出てくると実を起こしそのまま寝た。
辺りを見渡すと咲がいないことに気が付いた。
「咲は?」と竜間は愛華に訊くと「ベットで寝てる」と答えた。
「今日は何時くらいに出発する?」
竜間は実に訊いた。
「ちょっと確かめたい事があって・・・・。それと咲が起きるのを待とうか・・・」
「まぁ何も言わずに出て行くのはおかしいしな」
そうして3人は、昼間を自分の思い思いにすることにした。
咲が起きてきたのは2時半を少し過ぎた頃だった。
寝癖をつけながら、寝室からリビングに入ってきた。
そこから、実が「今日の5時過ぎにこの家を出る」と咲に言った。
咲は少し考えて、実の手を引っ張り、リビングから出した。
竜間はそれがどういうことかわからなかった。
「私も付いていくことになりました!!」
咲がこう言い出したのは、実と一緒にリビングに帰ってきた時だった。
リビングを離れていた時間は、数分だったけど実と咲がどんな会話をしたか想像もつかなかった。
「え!?」
竜間は思わず声が出てしまった。
「ちょっと、これ以上私の事情で人を巻き込みたくないの!」
愛華は実に言った。
「咲が自分から言い出したんだ。あと咲の洞察力は多分これから先役に立つと思うぞ!」
実が淡々と愛華に説明した。
「でも咲何で?」
「昨日、竜間の話を聞いた時から考えてたんだ!どうせこの村にいれも何にもないし・・・・」
咲は俯いた。
「それってどういうこと?」
竜間が咲に訊くと「なんでもない」と、咲は笑いながらかえした。
「で!これからどうするか何だけど・・・・・」
勝次は焦っていた。
昨日、ターゲットを逃がしてしまって、兄貴から電話で今日成功しなかったら縁を切ると言われたからだ。
知らない高校生が、ターゲットを助ける何て、しかもそれが二回続いた。
これは勝次以外がやっても失敗しただろう。
だが勝次はこれまで言い訳を吐いたことがなかった。
ヤクザとして生きていく前からずっと言い訳を吐かなかったのだ。
それは勝次の意地みたいなものだった。
だから兄貴の電話でも、言い訳もしずに「失敗した」とだけ伝えた。
言い訳をしたら何かは変わっていたかもしれないが・・・・。
勝次は、今アジトにしているホテルで自分の手下とパソコンの画面を眺めていた。
「もう少しで4時です!」
そう手下の一人が言って、時計の針が4時を指した。
その瞬間、パソコンの画面に地図が表示され長野県の小さな村に赤いマークが付いている。
そこにターゲットはいる。
今回で三回目の襲撃になるので、次は逃さない様に急いで自分の愛車のBMWに乗った。