追跡 part3
部屋の中が静寂になる。
竜間と実は、咲を警戒した。
咲が親切な人から、得体のしれない者になった。
この家の中は、咲の空間だからだ。
咲の薄らっと浮かべる笑みも少し怖くなってくる。
「何でそんな事言うんだ?」
竜間は恐る恐る咲に訊いた。
「いや、普通にあなた達が嘘付いてるって顔してるし・・・・」
「それだけか?」
「いろいろあるけど、一番は大宮ナンバーの車乗ってるって事はそこから来たんでしょ?で今ここ長野県なんだけど・・・」
長野県まで来ていたことにその時初めて知った。
「ずっと窓から外を警戒してるし、大宮から長野県まで来たんだから「警戒してる人」は親じゃないと思ったわけよ!」
「そして先の私に対しての警戒の姿勢。誰かに追われてると見たね!」
咲の説明は終わった。
咲の説明で納得はしたが、咲の洞察力が油断できない。
「ふー!良い風呂だったよ!ありがとう!」
愛華が咲の家の風呂から出てきた。
竜間は愛華に合ってからずっと制服姿しか見てなかった、だかリビングに入ってきた愛華はおそらく咲に借りたであろうパジャマを着ていた。(竜間と実もずっと制服だった)
「どういたしまして!」
咲は笑った。
「あれ?愛華ってそんなネックレスつけてた?」
竜間は愛華の首元にぶら下がっているネックレスが気になった。
ネックレスは大きな太陽らしきものが一つあるだけの物だった。
「ああ!これ!これはずっとしてたよ!制服で見えなかったと思うけど」
「へぇ~大事な物なの?」
「うん!パパがくれたの」
愛華は微笑んだ!
「とりあえず今日は咲の家に泊めさせてもらうか・・・。それで大丈夫?」
実は咲に訊いた。咲は「大丈夫だよ」と答えた。
愛華は咲のベットで、実はリビングのソファーで寝させた。
竜間は外を警戒しす為に今日も徹夜する予定だった。
ーやっぱり一人だと暇で眠たいな・・・
「一人で暇そうね!」
あくびをしている竜間に咲が話しかけてきた。
「愛華がベットを使って大丈夫なのか?」
「大丈夫!私は夜型だから・・・・」
「そうかだからこの家だけ電気が付いてたのか」
「先は話が終わったけど、本当はどういう状況なの?」
竜間は咲に今までの話をした。
「そんな事があったなんてね・・・。だから今も竜間は外を警戒してるのね」
「ああ!実は運転手だから睡眠不足じゃ危険だし、愛華は寝たそうだったし、俺が起きて警戒しとかなくちゃ!」
「何で愛華に手伝うの?好きなの?」
「昨日も実にそんな事言われたよ!そんなんじゃないよ!」
「だったら何で?」
「いや・・・何でかはわからない!」
咲は「ふ~ん」と言って竜間の顔を見た。
「それより、何でこんな田舎って言ったら悪いけど・・・・こんな所に一人で住んでるの?」
「う~ん?今日会ったばっかりの人に言う事じゃないよ」
「そうかゴメン!」
「いいよ」咲は囁いた。