第03話「女顔って好きじゃない」
きつい・・・はっきり言ってきつい・・・
ていうか、なんでこんなことやらなきゃいけないのかなぁ!
『自動電力発電』だなんてっ!
もう、汗はだらだら。喉渇いた。だが、僕は自転車をこぎ続ける。
「せんせぇ・・・なんで、こんなことぉ・・・」
暁先生は、チューとオレンジジュースを飲みながら答えた。
「あなたをただで泊めるわけには、いかないでしょ?これから、いろいろやってもらうわ。」
「はぁはぁ・・・だけどもぅがっこ・・はじま・・・・」
僕が、死ぬ気の勢いで人差し指で時計を指す。暁先生は、手に持っていたオレンジジュースを握りつぶすと疾風のごとく
部屋を抜け出した。
せんせぇ・・あなたは、鬼ですぅ・・・というか・・・僕・・動けないのですが・・・
「もぅ・・・だめ・・・」
僕の意識は飛んでいった・・・
*
おかしいなぁ・・・先生に預けといたプリントが見つからない・・職員室にもないし・・
一応、宿直室に来てみたけど・・・ないなぁ・・・
う〜〜ん、仕方がない。直接先生に聞いて・・・
『がたっ!』
向こうの部屋から、なんか物音が聞こえたよ!どうしたのかなっ!
私が、急いで駆けつけてみると知らない女の子が寝込んでいた。
その横には、テレビで見たことがある『自動電力発電装置』
ああ・・・また暁先生か・・
もしかして、あれかな?先生が言っていた、居候さん。
へぇ・・・男の子って言ってたけど、まるっきり女の子じゃない。
先生のボケも相変わらずよね。
ていうか、なにやらせてるんだ・・・先生は・・・
もう、この子ぐだぐだじゃない・・・
可哀想に・・・先生ってたまに無茶なことやらせるからなぁ・・・・
とりあいず、手当てしないと。
私は、女の子の側に近づく。
さらさらとした、柚色の髪。汗が、きらきらと輝いて、綺麗だった。
思わず、どきっとしてしまう。
って、私レズじゃない!
それに、この子苦しそうだし!
見惚れている、場合じゃないわよ!
ふーと、ため息を漏らしながら女の子の肌に触れようとした。
―――その時。
女の子が目を覚ました。
「ん・・・誰・・・ですか?」
女の子は、うっすら目を開けて、私に聞いた。
「石ノ巻黎ていうの。あなたは?」
「っ・・・自分は―柚木柚です。」
はぁはぁと、息を荒くしながら、柚ちゃんは自己紹介をする。
こんなになるまで、なにやったんだ・・・先生・・・
改めて、暁先生の無茶振りの怖さを知った。
「柚ちゃん。私が看病するから、じっとしててね?」
私は、柚ちゃんを膝の上に乗せた。
こくっと、柚ちゃんはうなずいた。
まず、全身の汗を拭こう。タオルで、顔の汗を拭き
首、腕、足――よし、次は胸――
胸を拭こうとした時。彼女の胸がないと言うことに気づく。
もしかして・・・男っ!?
えええーーー!!こんな綺麗な顔してるのに?
ていうか、私・・・ひ、膝枕っ・・・
私の顔は真っ赤かになる。
あぁ・・・もう柚君より汗が出てきそ・・・
「大丈夫ですか・・・?顔、真っ赤かですよ?」
柚君が、私の顔に手を近づけてくる。
柚君が男と知り、私の体温は急上昇中なのに・・ッ
そんなことされたら・・・私・・・!
「っ―」
目をぎゅっとつぶり、なるべく柚君の顔を見ないようにする。
だって、柚君がとっても綺麗だったから。
「すいません――」
「へ?なんで、誤るの?」
「だって――」
「黎!もう時間だよーー!!」
その時、私の親友が入ってきた。