34 イベント終了<叶えユメ>
ユウカさん
「すっかり暗くなりましたが、どーもワサビです!」
1曲目を唄い終えて、こう言った。
まだ普通では明るい時間だが、冬なので暗くなりはじめていた。
本当にこのイベントは終わりに近づいている。
ユウカさん
「じゃあ2曲目、聞いてください。」
唄い始めが、ユウカさんのアカペラで始まった。
この人の声は透き通っているなぁと、思う。
その声で聞こえてくる歌詞が頭に残り、心に染みる。
ジーン…。
周りを見ると、なんと涙してる人がいるじゃないか!
音楽を聞いて、涙を流す人を初めて見た。
そして、それはユウカさんがそれほどの力を持っているということだった。
そんな風になりたいと思った。
そんな風に唄えたらと思った。
でもまだ無理。
だけど、いつか必ず…。
早くも3曲目に入った。
すると、テツロウさんが寄って来た。
テツロウさん
「もうそろそろワサビのステージも終わるから、裏に集まってくれないかなぁ?」
オリジナルバンドに誘われていたので、そのことで言われた。
コウキさん
「じゃあ行こっか!」
ステージ裏に移動する。
自分達の時のステージより緊張はしていない。むしろ早くやりたくてウズウズする。2人共そんな感じだった。もちろんコウキさんも。
ステージ裏には他のグループの人達もいた。
テツロウさん
「じゃあワサビのステージが終わったら、上がっちゃってください。楽器の演奏を頼んだ方達は持って上がってください。それで、説明いれますんで。曲はオリジナルなんですけど、すぐわかると思うんで。」
リョウ
「そんなテキトーな感じなんスか?」
コウキさんにたずねた。
コウキさん
「そうだよー。俺も最初は驚いたけど、すぐ覚えられるよ。ほとんど繰り返しだからさぁ。」
リョウ
「繰り返しかぁ…。」
ケイ
「まぁ、上がったらなんとかなるっしょ!」
リョウ
「そだね!」
ステージ上のワサビは4曲目を唄っていた。この曲が唄い終わったら、オリジナルバンド・オリヅルの出番だ。
もうそろそろと思うと、やっぱり緊張してきた。
リョウ
「う〜、やっぱドキドキしてくるわぁ!」
ケイ
「俺もしてきた。」
ユウカさん
「ありがとうございました!では、続いてはオリジナルバンドの演奏を聞いてください!」
テツロウさん
「じゃあ行っちゃってください!」
順番にステージに上がる。そして、ステージは出演者で一杯になった。
シンゴさん
「えー、このイベントもいよいよ最後の組となりました。今日は寒い中、最後まで聞いてくださりありがとうございました!」
シンゴさんの説明の後、ステージ上のテツロウさんがしゃべり始めた。
テツロウさん
「初めて冬にイベントを開き、寒いにもかかわらず、こんな沢山の人達が来てくれました。これは成功と言って良いのでしょうか?」
ワーッ!!
観客は歓声をあげた。
テツロウさん
「ありがとうございます!では、最後です!オリジナルバンド、オリヅルの歌を聞いてください!」
夏のイベントに常連の出演者は、手拍子をし始めた。リョウとケイもそれを見て手拍子をする。
シンゴさん
「みなさん!手拍子お願いします!」
ステージに上がって来たシンゴさんが言った。
パッ、パッ、パッ、パッ…
次第に揃う手拍子。会場全体が一つになっていく気がした。
スタッフが観客の何人かにペンライトを配り、まばらな光が雰囲気を作った。
ジャーン…
そして、ギターの音が流れ始めた。
<叶えユメ>
オリジナルバンド・オリヅル
この日この場所に集まった
熱き少年少女は
いつか大人になるだろう
きっと夢をみるだろう
叶えようその夢を
繋げよう未来に
叶えようその思い
繋げよう明日に
叶えようその夢を
繋げよう未来に
叶えようその思い
繋げよう明日に