29 冬のライブ!!<君を消そうとする君へ>
会場が段々と賑やかになっていく。
ケイ
「多くねぇ!?」
リョウ
「多い!やべぇ、緊張してきた!」
葉留沢でのライブより人が多かった。
屋台などがでているので割と騒がしい。
突然、BGMが鳴る。
テツロウさん
「どーも!いや〜始まりました!寒空のフェス!真冬にやってもいいでSHOW!」
チラシの文句とじゃっかん変わっている。
テツロウさん
「毎年ね、夏にやってるんだけど、今年は冬にもやろうってね!で、えー申し遅れました。このイベントのMCを勤めさせていただくテツロウと申します。夏来てくれた人はね、またかよ〜!みたいな感じですけど、よろしくお願いします。」
シンゴさん
「同じくMCのシンゴです!夏来てくれた人はね、またかよ〜!みたいな感じですけど…」
テツロウさん
「言った。今、言った。」
シンゴさん
「えっ、言った?言ったっけ?」
テツロウさん
「言ったから。俺がほんの少し前に言ったから。」
シンゴさん
「そうかぁ。まぁ、そんな感じで今日はヨロシクオネガイシマス。」
テツロウさん
「なんで最後カタコト?えー無視していきましょう。このイベントは、森林育成の為の募金を会場内に設置してあり、そして屋台の売り上げの一部も寄付されます。会場内にはゴミ箱も設置してありますが、ちゃんと分別されていますので、ご協力お願いしますって書かれた紙を、あの、まる読みしました。それを踏まえた上で今日は楽しんでいきましょう!ではそろそろ歌にいきたいと思います!トップバッターを務めてくれるのは、コウキさんです!どうぞー!」
コウキさんがステージに上がる。
アンプに繋ぎ、軽く調節している。
テツロウさん
「準備は…オッケイですね。ではお願いします。」
コウキさん
「えー、はじめましてコウキです!今日は盛り上がって、騒いでいってください!」
激しいギターの音がアンプを伝い、スピーカーに流れ出る。
リョウ
「近く行って見に行くべ!」
ケイ
「そうだね!」
ステージの近くは物凄い爆音で地面が揺れていた。
完全に見入っていた。
2曲目は激しい曲調からスローテンポな曲調になった。
3曲目、4曲目は激しい感じの曲。すべて聞いたことのない曲だったので、おそらくオリジナルだろう。
走り抜けていく感じにコウキさんのステージは終わった。
リョウ
「かっけぇね!」
ケイ
「やばいね!」
2番目の出演者が放送されるのと、ちょうどくらいにイベントのスタッフに2人は呼ばれた。
スタッフ
「レッドパープルさんそろそろ準備を…。」
リョウとケイの組は4番目。以外と早めだ。
リョウ
「あっ、わかりました。」
ケイ
「行こうか。」
リョウ
「緊張する。」
ステージの裏手に回り、ギターなどを取りに行く。
ステージでは2組目のバンドが演奏している。コウキさんのアコギ1本とは違い、4人組バンドで、ベースやドラムの音が聞こえる。さっきとは違うがとてもいい感じだ。なによりこのライブの出演者はめちゃくちゃ上手い。
ケイ
「みんな上手くねぇ!?」
リョウ
「俺も思ったわ!すげぇね。でも俺っちもやれるだけやろう!楽しもう!」
ケイ
「オッケイ!」
またスタッフから声がかかる。
スタッフ
「じゃあステージ横のテントに移動してください。」
もう2組目も終わったらしい。
リョウ
「はぇー!緊張するー!」
テントに移動して、ギターをチューニングする。
スタッフ
「今やってるバンドが終わったら、紹介しますから、そしたらステージ上がっちゃって大丈夫ですよ。」
リョウ・ケイ
「ハイ!」
微妙に声が裏返る。
緊張していた。2人とも。
あっとゆうまに3組目が終わった。しかし、緊張しすぎていて、どんな曲を弾いてたのかさっぱりで、音楽が耳に入っていかなかった。
テツロウ
「…続いては、初めて参加するバンドですね、レッドパープルです!!」
スタッフ
「どうぞー!上がっちゃって!」
緊張したまま2人はステージの階段を駆け登って行った。
入ってくる音は、自分達が上がっている階段のきしむ音だけだった。
<君を消そうとする君へ>
作詞 ケイ
ハロー
この眼から見える世界は
僕にとって不思議な世界なんだ
電車にゆらり揺られ
窓から見た景色が
溶けてゆく流れてく
次の場所に止まる
開く自動トビラ
降りた人達が流れてく
あの額縁のようなトビラを横切る乗客だった人
意味もなく他人と競争
目的なんてないくせにさ
世界が在る意味なんてあるの?
僕がいる意味なんてないよ
世界が在る意味なんてあるの?
僕がいる意味になんないよ
そう思うことができた君は
救世主になれる存在なのかもね