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22 打ち上げの中で…

アツさん

「そろそろ時間だからさぁ、ちょっと失礼してもらってもいいかな?」

ケイ

「あっ、はい!失礼します。」

リョウ

「頑張って下さい!」

控室から出る2人。

向こうの方はザワザワしている。

ステージの方に戻ると観客ですでにうめつくされていた。

満員だった。

リョウ

「すげー!ちょー人いるよ!」

ケイ

「前の方に行こう!」

回りを見回すリョウ。

リョウ

「まだケイちゃんのねーちゃん来てないね。」

ケイ

「挨拶も済んだことだし、もう平気だよ。」

前の方に移動するが、人がいっぱいで最前列までは行けなかった。

ステージはまだ暗い。

妙な静けさがライブハウス内を包む。

予定時刻になった。

ステージの脇からワサビの4人が登場した。

うぉーーー!!

一気に歓声が上がる。

それぞれ持ち場について音合わせをする。

スピーカーから出る音が中の客を盛り上げた。中低音が身体や地面を震わせた。高音が頭の中に鳴り響いた。

すげぇ。

2人はそう思っていた。

突然、曲が始まった。

そうすると、客もリズムに合わせて手を動かしている。

2人も真似をする。

ライブハウス内には一体感が生まれていた。

疾走感で溢れていたステージがバラードに変わり、ゆったりした雰囲気になった。

ワサビというバンドは完全に客の心を掴んでいる気がした。

盛り上がりながらライブ終了。

2人はおつかれと言うために控室に向かった。

すると、ケイの姉の姿が見えた。

ケイ

「あれっ?いたんだ。」

ケイの姉は友達と一緒だった。

ケイの姉

「うん。ちょっと遅れたけどね。挨拶しにいった?」

ケイ

「おぉ。行った。すげぇ気まずかったけど、ちゃんと知ってた。」

ケイの姉

「言ってあるって言ったじゃーん!打ち上げも参加しなよ。」

ケイ

「打ち上げも!?平気なのかよ?」

ケイの姉

「だいじょぶよ。リョウちゃんも行くでしょ?」

リョウ

「あっ、行ってもいいんなら…。ケイちゃん行くベ?」

ケイ

「平気らしいから、行こう。」

ケイの姉

「とりあえず控室行こうよ。」

控室は興奮しているワサビのメンバーがいた。

トモさん

「おぉ!今日はありがとな!」

ケイ

「最高でした!」

リョウ

「すげぇカッコ良かったッス!」

ケイの姉

「みんなおつかれさま〜!」

ユウカさん

「ありがと〜!打ち上げ来るでしょ?」

ケイの姉

「うん。行くよ〜!」

ユウカさん

「いつものとこだからさ!2人も来るよね?」

ケイ

「あっ、だいじょぶッスか?」

ユウカさん

「ぜんぜん平気!きなよ。」

リョウ・ケイ

「はい!」

打ち上げの場所は、ライブハウスのすぐ近くにあるチェーンの居酒屋で行われた。

いつもの場所らしい。

4人のワサビのメンバー、ケイの姉、みんなの友達たちが5人に、リョウとケイの2人で、総勢12人での打ち上げだった。

ワサビのリーダーであるアツさんが乾杯の音頭をとる。

アツさん

「えー、まぁ、今日はさぁ、ありがと!乾杯!」

一同

「乾杯!」

いろいろ話していると、しばらくするとリョウとケイに話題がふれられた。

ヨシさん

「路上ライブとかやってるんれしょ?」

酔っ払って、口がまわらなくなっているヨシさんが2人に聞いた。

つーか、今日初めてこの人の声を聞いた。

ユウカさん

「しゃべれてないから。で、そうなんだよね?」

リョウ

「そうッスね。」

トモさん

「うぃ〜!かっけ〜!」

さっきとおんなじリアクション。

時間が経つにつれ、バラバラに話すようになってきていた。

ケイはユウカさんの隣に座った。

ケイ

「聞きたいことがあるんスけど、いいッスか?」

ユウカさん

「ん、な〜に?」

ケイ

「やっぱメンバー内でケンカとかあるんスか?」

ユウカさん

「ん〜、たまにあるけど、どうしたの?」

ケイ

「いやなんか、本音でぶつかって結束を固めるとかよくあるじゃないッスか。なんか、とことん話し合って決めるとか、そうゆーのやってんのかなぁって思って…。」

ユウカさん

「あー、あるね、そうゆうの。2人はあんまりケンカしなそうだね。仲良さそうだもん。」

そう言って、リョウの方を見た。

リョウは、トモさんとヨシさんになにやら熱く語られていた。

ユウカさん

「ケンカするのは、良くないかもしれないけど、悪いとは言えないかも…、ってどっちだよ!。」

ケイ

「う〜ん。」

ユウカさん

「あの3人、何の話してんだろ?」

席を立ち、3人のところに行った。

ケイはユウカさんが言ったことを考えていた。


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