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21 サバンナでワサビが…?

Y駅での路上ライブから何週間か過ぎた。

2人はいつもどうりのO駅での路上ライブに戻っていた。

Y駅のライブは、声はかけられはしたが止まってくれる人はいなかった。

1時間くらい唄って撤収した。

得たものはほとんど無い。失ったものはデカイ…お金だけど。

しかし、そのこともまた経験として2人に残るだろう。


次のライブの打ち合わせをしていると、ケイの姉がやってきた。

リョウ

「あっ、お邪魔してます。」

ケイの姉

「おぉ、久しぶり〜!打ち合わせしてるの?」

リョウ

「そッスね。」

ケイの姉

「前にウチの友達もライブとかやってるって言ったじゃん?今度ライブやるんだけど行ってみる?」

リョウ

「えっ!ホントッスか!いいんスか!?」

ケイの姉

「大丈夫だよ。誰か誘って来てって言われてて、ちょうどいいからさ!」

リョウ

「あざーす!ケイちゃん、行くベーよ!」

ケイ

「…行ってみよっか!他の人たちの歌を聞くのも大事だしね。」

ケイの姉

「じゃあ言っとくね。私、遅れていくから。」

ケイ

「えーっ!遅れて来んの?俺ら気まずいじゃん!」

ケイの姉

「平気だよ。ちゃんと言っとくし。」

ケイ

「ホントかよ?まぁいいけど…。」

場所、日にち、時間を聞いて一度ケイの家に集まってから行くことにした。



ケイ

「ライブハウスでやるらしいよ!楽しみじゃね?」

ちょうどいい時間になるまでケイの家で待機していた。

リョウ

「へぇ〜、ロックかなぁ?」

ケイ

「詳しくは聞いてないけど、そうなんじゃね?」

リョウ

「ケイちゃんのねーちゃんはいつ来るの?」

リョウも気まずいと感じていた。

ケイ

「なんか用事があるから友達とあとから行くってさ。そんな遅くならないって言ってたけど、気まずいよね。」

リョウ

「…そうだね。」

だんだんと予定時刻が近づいてくる。

リョウ

「そろそろ出んべーか。」

ケイ

「だね。遅刻しちゃう。」

ライブが行われる場所はケイの地元だった。

そんなに遠くはなかったけど、始まる前に挨拶をしとくということで早めに出といた。

ライブハウスは地下になっていた。

ネオン管の看板がピカピカとしている。

英語で書いてある。

リョウ

「筆記体になってるからわかんねぇや。S、A…わかるケイちゃん?」

ケイ

「読めないけど。サバンナって言ってたからここでしょ。」

階段を下る。地下になっているから。

5、6段くらいしかない階段を下る。

いい感じに廃れた木の扉を引く。

開かない。

リョウ

「鍵閉まってんの?」

ケイ

「わかんねぇ。でも開かない。」

ドアノブの下に書いてある文字をリョウが見つけた。

PUSH。

SAVANNAは読めなくてもこれは読める。

リョウ

「…押すんじゃねーの?」

ギィ…

開いた。

ケイ

「テヘ…。」

リョウ

「テヘじゃねぇ。」

中に入る2人。

うっすらと明かりがついていた。

2、30人くらいで人がいっぱいになりそう客席。

開演時間まではちょっと早かったので人はいないが、これからここに人が来るのだろう。

ここはライブハウス、SAVANNA。

奥にある通路を少し進むと部屋があった。

ワサビ様と書かれている。

バンド名か?。

ケイがドアをノックした。

コンコン。

ガチャ。

ドアが開く。

「ん?どうしたんスか?」

ケイ

「あの…ちょっと挨拶に…。」

もう一人のメンバーが来た。

「どうしたの?」

ケイ

「いや、挨拶に来たんスけど…。」

「…もしかして、ミキの弟さん?」

ケイ

「はい!そうッス!」

「なんだー!はやく言ってよ!どうぞ中に。」

2人は部屋に入った。

ワサビのメンバーの自己紹介をしてもらった。

4人組で、ボーカルのユウカさん、ギターのアツさん、ベースのトモさん、ドラムのヨシさんで構成されているバンド。

ボーカルのユウカさんだけがケイの姉と友達だと思ったが、全員がそうだった。

高校が同じで、2年からやり始め、大学を卒業しても活動は続いている。

ユウカさん

「ミキから聞いてるよ!ケイ君とリョウちゃんだよね?ケイ君がミキの弟?」

ケイ

「そうですね。」

アツさん

「2人もさぁ、ギターやってんだよね?路上ライブとかも。」

リョウ・ケイ

「やってます。」

トモさん

「うぃ〜!かっけ〜!」

ユウカさん

「まぁ、今日は盛り上がっていこうね!」


ライブが始まる時間が早くこないかと2人は思って待っていた。


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