14 2度目
あのライブから一夜明け、練習を行う。
話題は昨日のライブのことだ。
ケイ
「ついに来たのかぁ。」
昨日のことを思い出しながら言っているようだった。
リョウがすぐに引き戻す。
リョウ
「でも、止まって聞いてくれたのは1曲だけだったね。しかも、コピー曲。」
ケイ
「そうだけどさぁ。」
リョウ
「なんで来てくれたんだろ?」
ケイ
「それは…。」
リョウ
「…。」
黙る2人。
ケイ
「…。」
リョウ
「…。」
まだ続く沈黙。
ケイが口を開く。
ケイ
「俺らがうまいと思ったからじゃね?」
リョウ
「…そうなんのかね。」
納得していないリョウ。
ケイ
「まぁそう思っとこうよ。」
リョウ
「…だね!」
あきらめた。
話しは人がきたときの対策にうつる。
ケイ
「緊張しちゃうんだよね。」
リョウ
「ん〜…。その場にいやすくすれば、長くいてくれると思うんだよね。」
ケイ
「曲と曲の合間の時間のときに、いかに留められるかだね。いるときに、ちょっとでも話しておいて、雰囲気をいい感じにしておくかが大切だと思うわ。」
リョウ
「でもその話題とゆーか、話すことが、いざって時にでないんだよね〜。」
ケイ
「そうだね〜。どうしよっか?」
リョウ
「なんか決めとかない?まず来てくれたときに絶対これだけは言っとく言葉とか。」
ケイ
「何て言うのよ?」
リョウ
「えーっとねぇ…、どうもー!レッドパープルでーす!みたいな。」
ケイ
「芸人みたいじゃん!」
リョウ
「…ダメ?」
ケイ
「ダメ!」
リョウ
「じゃあ、ケイちゃんなんかあんの?」
ケイ
「…どうもー!みたいな。」
リョウ
「同じじゃねぇかっ!」
ケイも具体的にはなかった。
ケイ
「まぁ場面、場面ってことで…。」
リョウ
「この話し合いの意味は一体…。」
そんな感じで解決した。
ケイ
「後は、オリジナル曲だけど…。」
リョウ
「このことについては、もう頑張るしかないね!何とも言えないね。」
ケイ
「そうだね〜。自分の問題だからね。」
リョウ
「ある程度は曲数あるからライブはできるけど、常に増やしていかないとパターンが決まっちゃうからね。」
ケイ
「また人来てくれんといいね。」
リョウ
「もちろん!」
あの喫茶店に到着する。
2人は今日、路上ライブを行おうとしていた。
ケイ
「今日も頑張ろ!」
リョウ
「人来てもらうためにね!」
ケイ
「今日も開いてないから、隣の人に言おっか。」
喫茶店はシャッターが閉まっていた。
リョウ
「そうだね。」
隣のケーキ屋に行く。
ガチャ
ケイ
「すいません。今日もやらせてもらってもいいですか?」
前回と同じく、店長らしき人に言った。
とゆうか、もう店長だと2人は思った。
店長
「あぁ、ちょっと待ってて。」
そう言って店の奥に入っていった。
すぐに出てきた、眼鏡をかけた人と一緒に。
どうやら喫茶店の店長のようだ。
喫茶店店長
「兄貴に聞いたんだけどね、君達どっからきてるの?」
どうやら兄弟らしい。
2人が質問に答えると、喫茶店店長は驚いた感じで言った。
喫茶店店長
「そんなとこから来てんのかぁ。いや、お客さんとかに聞かれたら答えられないのもアレだからさぁ、聞いたんだけどね、そうなんだ。まぁ頑張ってな。」
これで正式に許可もとれた。
この場所でのライブは2回目だ。しかし、準備をしているときに、
「頑張れよ」と声をかけられた。
2人が有名なのか、よっぽど珍しいのか(多分こっちだと思うが…)はわからないが、前よりはいい方に向かっている。
2人は手応えを感じていた。
今日も人は来てくれると。
ライブスタート。
2、3曲唄った辺りで、人が来た。
前回来てくれた3人の女子高生の内の2人だった。
沈黙にならないようにと、すぐにリョウは声をかけた。
リョウ
「こんばんわッス!前も来てくれたッスよね?」
女子高生
「はい!そうですね。」
気まずい雰囲気は今日はなかった。
実に自然な感じで時が流れてゆく。
リョウ
「じゃあオリジナルを…。」
カッカッカッカッ
曲が始まる。
と、それに合わせて手拍子しる女子高生達。
まさにこれだよ、と2人は思ったに違いない。
曲が終わる。
パチパチパチパチ
拍手の音。
キターーーー。
これしかねぇよ、と2人は思ったに違いない。
しかし、女子高生達はオリジナルを1曲聞いただけで行ってしまった。
女子高生達
「頑張って下さい!」
黄色い声援は行ってしまった。
リョウ・ケイ
「ありがとございます!」
心の中では行かないで〜と叫んでいた。
その後は、誰も来ないで終わった。
ケイ
「また最初の方だけだったけどさぁ、人来てくれたね!」
片付けをしながらケイが言った。
リョウ
「そうだね。」
ケイ
「…リョウちゃん、どうかしたの?」
テンションの低いリョウにケイがたずねた。
いつものリョウなら、人が来たことに喜んでいるはずなのに、今日はそんな風に見えなかった。
リョウ
「何よ、いきなり。なんでもないって。帰んべ!ハハハッ。」
笑ってみせるリョウ。
自分の勘違いか、とケイは思ったが、まだなにかひっかかる感じがした。