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12 変化<いずれどこかで…>

リョウ

「とりあえず練習しよっか!」

ケイ

「じゃあまず新曲聞いて、できたから。」

リョウ

「ホントに!?聞かせてよ!」



<いずれどこかで…>


作詞 ケイ


君とは もうなんにもないけど

記憶からは消えないと思う

僕はそうだし 君もそうだし

でも そのことでまた何かあったりするわけじゃない

だから僕はこう思うんだ

はなればなれになるけれど

いつかどこかで会える気がする

そのいつかは わからないけど

君は消えたりしないから

いずれ

どこかで


君のことは もう思わないようにする

それはもう 思ってしまっている

だけども君は さっぱりと今までのことを

振り返りはしない

だけど今でも僕は思うんだ

はなればなれになるけれど

いつかどこかで会える気がする

そのいつかは わからないけど

君は消えたりしないから

いずれ

どこかで

いずれどこかで



ケイ

「どうだった?」

唄い終わったケイは満足した感じで言った。

リョウ

「いいね!ってか、ケイちゃんが作る曲って、恋愛系が多いよね。」

ケイ

「マジで!そうだっけ?」

リョウ

「なんか詞の内容がそっち系のが多くない?」

オリジナル曲が書かれたノートを見ながら言った。

たしかに、ケイの詞は恋愛を思わせるような内容が多かった。

ケイ

「そうなのかぁ。気をつけよ。」

リョウ

「でも、スゲーね。俺、うまく書けないんだけど…。」

ケイ

「俺は、詞の中に主人公がいて、物語みたいな感じで作ることが多いねぇ。」

リョウ

「へー。そうなんだ。」

ケイ

「でも、恋愛系ばっかになってたのかぁ。」

思わぬところを指摘されたケイだった。

リョウ

「でも、だんだん曲数も増えてきたね!」

ケイ

「じゃあそろそろ…路上やりますかぁ!」



リョウ

「俺、思ったんだけどさぁ…。」

電車の中でリョウが言った。

今日は路上ライブの日だ。

リョウ

「今やってる場所、変えねぇ?」

ケイ

「えっ?O町でやんないの?」

リョウ

「んー、そうじゃなくて、今、駅の向こう側の道沿いでやってんべ?それをもっと人通りの多い方に変えよっかなぁってさ!人に聞いてほしくてやってんのに、自ら人の少ない方でやってたって、なんかウケるね。」

ケイ

「ハハハッ!それもそうだね。じゃあ向こう着いたら決めよっか!」

2人はようやくそのことに気がついた。


電車がO町に到着する。

ケイ

「場所どこがいいかなぁ?」

リョウ

「ん〜…、ここは!?」

リョウが言った場所は、駅のすぐ近くの、KIOSKの横だった。

ケイ

「いいね!なんか路上ライブの定番の場所っぽいよね。」

早速ギターを置いて、準備を始める。

すると、警官がやってきた。

警官

「君達、許可とった?」

若い顔立ちの警官は言った。

リョウ

「…いや〜、とってないッスけど。」

警官

「じゃあダメなんだよねぇ。ここJRさんの敷地だからさぁ、やるなら許可とらなきゃ。」

リョウ

「そうなんスか。わかりました。」

2人はその場を離れた。

今、だんだんと路上ライブが禁止になっていく地域が増えていってるらしい。理由は、騒音問題や終わった後のゴミの置き去りなど、路上ライブをする側の人間のマナーが原因だが、みんながみんなそうではなく、純粋に音楽をやりたい人も中にはたくさんいる。しかし、現実にやる場所は限られてきている。

2人はその事実を実感した。


ケイ

「あそこはっ!?」

ケイがシャッターの閉まった喫茶店を指差した。

その場所もいかにもという感じな場所だった。

その場所に移動する。

ケイ

「店の人にやっていいか聞いてみる?」

リョウ

「そうだね。」

裏口にまわる。

そこにはピンポンがあった。

迷わずリョウが押す。

が、反応なし。

リョウ

「音鳴った?壊れてんじゃね?」

ケイ

「ドア開いてんのかな?」

ドアを開こうとするが、鍵がかかっていた。

仕方なく店の前に戻る2人。

ケイ

「…隣の店の人に聞いてみる?」

隣はケーキ屋だった。

リョウ

「そうしよっか!」

ケーキ屋に入る。店内は甘い香りが漂っている。

(食いてぇ…)リョウは思った。

ケイ

「すいません、ちょっと隣で路上ライブやりたいんですけど、平気ですか。」

ケイが店長らしき人に言った。

店長らしき人

「…ちょっと待っててください。」

レジカウンターの横の窓から何やら話している。

店長らしき人

「大丈夫だよ。」

「ありがとございます!」

2人は同時に言った。

すぐに準備にとりかかる。

しかしまたしてもあの警官がやってきた。

警官

「許可とった?」

リョウ

「ちゃんと言って、とったんで。」

ちょっと不機嫌そうに言った。

警官

「そうか!わかった、頑張れよ!」

応援してくれた若手の警官を(コイツいい奴)とリョウはころっと印象を変えた。

これでこの場所でできる。

楽譜立てを出してノートをひろげた。

ケイ

「緊張すんなぁ。」

リョウ

「なんかいつもと違うなぁ。」

ケイ

「どうした?」

リョウ

「ん、別に。ただいつもと違う感じがさぁ。」

ケイ

「場所変えたからね。」

リョウ

「そうだよね。じゃ、やりますかぁ!」

2人にとって記念すべき路上ライブが始まった。

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