10 夢を見る<理想郷>
リョウ
「ケイちゃんはこれからどうしたいか、考えとかある?」
ケイ
「どうゆうこと?」
リョウ
「俺は今、働いてて、ケイちゃんは大学3年だべ?卒業して、就職とかしたら練習とか路上の回数が減っちゃうベ?そのぉ…、ずっとやるってこと考えてる?まだわかんないかもしんないけど…。」
高校を卒業して、ケイは4年制の大学に進学、リョウは2年制の専門学校に進学し、そこを卒業して働いていた。
リョウ
「俺はけっこう長めに考えてるんだけどさ、どうなるかわかんないけどね。」
ケイ
「俺は考えてなかったかも…。」
リョウ
「1回、ここではっきりしようか。俺はぶっちゃけプロになるためにやってないんだけど、ケイちゃんはどぉ?」
ケイ
「俺もそれは考えてないよ。」
リョウ
「ってことは、趣味の延長みたいな感じでやってるって事だよね?言い方悪いけど。」
ケイ
「そうなっちゃうよね。」
リョウ
「で、楽しいし、人を集めたいからやるって感じだよね?」
ケイ
「そうだね。でも、プロとか目指さないって言っても、やるからには本気でやるよ。」
リョウ
「そうだね。」
ケイ
「やるからには人も集めたい。人前に出て唄うんだから、そこで満足で終わりじゃなくて1人でもいいから自分達の歌で共感してほしいんだよね。」
リョウ
「おぉ。その考え…素敵だね。」
リョウが言った言葉にケイは照れた。
ケイ
「えーっ!素敵って…、やめてよ照れるじゃん。」
リョウ
「まぁ、そんな感じでこれからやってくベー!人を集めるためにはやっぱ曲だよ!ほんとにいい曲じゃないと人は立ち止まってくんないって最近、気付いたわ。」
ケイ
「そうだよね〜。まぁ俺は前から気付いてたけど。」
ケイがニヤつきながら言った。
リョウ
「うぜっ!」
ケイ
「でも自分達の曲で来てほしいよね〜。理想では、俺ら2人が唄ってるまわりをすげー人が囲んでるみたいなー。」
リョウ
「それがケイちゃんが目指すトコ?」
ケイ
「ん〜、つーか路上ライブでの俺の夢かな…。」ちょっとカッコつけながら言った。
ケイ
「リョウちゃんは?」
リョウ
「何が?」
ケイ
「夢は?」
リョウ
「俺の夢は…、サッカーせん…」
しゅ、とリョウが言う前にケイがつっこんだ。
ケイ
「聞いてない。そんなリアルな夢聞いてない。しかも、絶対目指してないし。」
リョウ
「ごめんね、まじめに言うよ、俺もケイちゃんと同じだよ。人、すげー集めたいね。」
ケイ
「俺と同じ?」
リョウ
「そう。俺もやるんならそんぐらいにやりたいからね!!」
<理想郷>
作詞 ケイ
思うことがある
それは君にとって ちっぽけなことであり
それは僕にとって 大切なことである
このことを君に話しはしないよ
きっと笑うから 信じてはくれないだろう
止まってほしい この時間が
止まっていたい この場所に
僕が思うのは こんなささいなことだから
きっと君は笑うだろう