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短編集  作者: 篶-suzu-
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奈落の底で想う

今なら全てがどうでも良いかもしれない。


というのも、それは今私が文字通り自暴自棄に陥っているから言えることなのである。


例えるなら、そう、地上3000階の建物から突き落とされたような。


突き落とした相手の顔は見えないけどなんとなくその笑い顔に予想がつく、みたいな。


お前やっぱり敵なのかよ、的な。


単刀直入に言えば、事実上の失恋をした、といったところか。


なんかもう、悲しいとか悔しいとかそれでも愛してるとか、そんなことよりも、

とにかく諦めが私の中でぐるぐると駆け抜けた。


もうほんとうにどうでもいい。

もうなにもかんがえたくない。


そんな気分なのに、寒さが私の目を覚まし、嫌でも時の流れ、そして一日の始まりを感じざるを得なくなる。




私は成長し、世界も私も変わる。




毎日同じこと。


昨日と同じ、明日と同じ。


きっと「お前」は私と笑顔で会話するだろうし、私も笑顔で答えるだろうし、他人が見てもなんら不自然さのないように二人は対峙しているのだろう。


「お前」は私が苦手な人間だ。


なぜならその「お前」の笑顔は本物で、私の笑顔は偽物だからだ。


「お前」は生に対し、生を受けることに対して余裕があって、その余裕から笑顔がにじみ出るのだ。私とは違う。


私が目指した理想はきっと「お前」のもつ特性と似ているのだろう。私が望んだものなのに。


憎さ?悲しみ?嫉妬?無念?怒り?やっぱりどれもしっくりこない。


やっぱり諦めなのだ。私はもう諦めたのだ。


ただ、執着しているふりをして、もしくは本当に執着して、私が自力で叶えられなかったものを容易く叶えてしまった「お前」が今後どう歩んでいくかを勝手に見届けたいだけなのだ。


ああ、なんと私は惨めだろう。こんなところで、ただ負けた相手を見ているだけだなんて。


私が奈落の底に落ちたとて、そのうち「お前」は手を伸ばしてさえくれるのだから、本当に惨めだ。


私は早く、早くそこから抜け出したい。


惨めな私を可哀想に想う私と、決別を。

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