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ゲンエーのサナカ
キミの瞳に映るのは僕であって欲しい。
そう願うのに、そう呟いた先にキミはいなくて。
代わりに佇む鏡が僕を映し、あまりにも憎らしくて。
…いつの間にか鏡は沢山の僕を映し出していた。
−−−−ゲンエーのサナカ−−−−
大体、僕のことを好きだと言い出したのは誰だっけ?
あの少し肌寒く桜もまだ隠れるような季節に、僕の袖を掴んで握りしめて。
か細く消え入りそうな小さな声で僕の耳を捕らえたのは誰だっけ?
僕はもちろんその時快く告白を受けて、
いなかったよね、動揺して突き放したんでした。
その後もキミはめげずに話しかけたり笑いかけたりしてくれて。
ちょっとだけ気まずさが残っていたけど、僕は応じたり、時には僕から話しかけたり。
楽しい時間だった、
嘘、ちょっとツラかった、色々と。
半年経って、キミはもう一度告白した。
今度もおどおどして、
いや、むしろ僕が応じたことで少し自信を持って。
そして僕はその告白を受けた、
なら良かったんだけど、僕はまたキミの告白を---
あれ?
ぇ、待って、
違う
全部違う
-違うくない。
-キミを僕は振ったんだ
…そっか。
僕はどうやら疲れているようだ。
また記憶違いを引き起こしてしまったらしい。
…もし。
もし、全てが真逆だったら、どんなに良いか…
そう、考えたことはないかね?




