夢の中だけ ※
鐘が鳴る 「私は行かなくては」
階段を降りて 靴を片方だけ落として帰ると
王子様が迎えに来てくれるの
…なんて夢を見るのは 今日で5回目
王子は舞踏会なんて開いてなくて
-恋人もいて
魔法使いもここに来たことなんてなくて
-見たこともなくて
継母たちは今日も意地悪で
-父も加わって
どうしようもなく 助けもなく
今日も私は1人
仮面舞踏会で お互いが恋をして
二人だけで式を挙げて
不幸な偶然で 愛し合ったまま 死んでいくの
…なんて夢を見るのは今日で7回目
敵対している一族なんていなくて
-私の継母は一族から嫌われていて
助けてくれる神父さんなんていなくて
-私は友達なんて持っていなくて
お母さんは病気で寝ていて
-私の顔も分からなくて
何も変わらず 救いもなく
今日も私は1人きりで涙をも堪える
幾年も幾年も 日常は嫌になることばかりで
夢の中でさえ「ハッピーエンド」に辿り着かなくて
そんな私の“逃げ道”は突然見つかったの
父が野獣のバラを取ってしまって
私はその野獣と恋に落ちて
魔法が解けた彼は王子に変わって 幸せに暮らすの
…あら?今日は夢が覚めないわ
私は 幸せに 終わるのね!
継母が起きない私を見つけて
-継母たちは全員逮捕
王子がそれを耳にして
-国を変えようと努力して
母の病気は治って
-父と離婚して
救いも 助けもなかった世界は
永遠の夢の中で薔薇色の世界に変わる
ねぇ、私は嬉しいわ
だって
母が 世界で 唯一
私の死を 悲しんでくれているから!




