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君をずっと、待っていた。
「もう…遅いよ。」
僕に聞こえた言葉は、それだけなはずだった。
でも、君の言葉が次々に流れ込んできて、
感情、憂い、哀しみ、憐れみ、
沢山、沢山、流れ込んできた。
ごめんね。
僕は君を、助けられなかった。
もう少し、早く気づけば良かった。
君の香りだけがここに残り、君の姿はもう無い。
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「もう…遅いよ」
深読みし過ぎる君には、丁度良い言葉だ。
私には、この想いは重すぎた。
愛し、悲しみ、慈しみ、憎み、泣き、叫び、ここに立つ私を、
君は、許してくれるだろうか。
一歩、前へ出た。
君とはもう、これっきり。
ねぇ。
私が居なくなったら、君は悲しんでくれるよね?
そう、信じてるよ。
振り返ることも許されない二歩目を、少しも厭わず、大空へとダイヴした。