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安い涙は馬鹿を買う。
ぼたぼた、よりは、ぽろぽろと、
彼女の涙は頬すら伝わず重力に逆らわない。
「何か」が私を支配する。
欲求、というよりも、むしろ何も考えずに消えていくような具合で。
「分からない。」
何が?
どこが?
どうして?
誰を誰に誰が?
言うな、分からないんじゃないことなんて知っているんだから!
ああ、あの、暑くて眩しい日差しを浴びて、
私はその頃、一体何を考えて生きていたんだか。
「ごめんなさい」
何に対して?
私が言ったの?
どの位反省して!?
思い出せばキリが無い、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
いつかまた飛べるって思った私は煙に失礼なほどの出来の悪さ。
彼女は涙を流す。
しかし彼女に何の苦痛も無いことは知っている。
…いや、少し、違う。
泣くまでに同情が得られるか、と、そんなことだけ考えて。
安い涙は馬鹿が買う。
馬鹿は、馬鹿の売った安い目薬を、高値で買い求める。
ありがとうございました、
もういらっしゃらなくて結構です、
返却もお止め下さい。
毎度、ありがとうございました。




