声 が 聞 こ え る
部屋に充満した、誰よりも私が好まないにおい。
なのにクセになっていて、1日1度はこのにおいを出す行為を行う私。
「嗚呼、今日も私はやってしまった。」
言い知れぬ罪悪感と快楽と達成感が、そこにはあった。
朝、登校してくると廊下でばったり会う。
挨拶は、どちらもしない。
したことは、一度も無かった。
教室で授業を幾つか受けて、待ってましたの体育。
更衣室の窓から、歩いているのを見る。
体育の授業では、もう惚れ惚れ。
昼休み、友達と自販機へ行く。
きっとお弁当を食べてるだろう。
でも、流石に周りの目を気にした。
掃除の時、清掃場所が隣。
ちょっとうきうきして、でも緊張して、精一杯お掃除。
でも勿論、見られることなんて無い。
放課後、それぞれ部活へ。
私は部活に行く前に、教室の窓から外を見る。
鞄を持って歩く姿。
夜、今日見た姿を思い出し、メール文を打つ。
でも恥ずかしくなって、迷惑かなって思って。
結局送らず、寝る前に写真見る。
ねぇ、私、ストーカーかな?
確かに会話もせず、メールの返事もあまり来ず、目が合っても逸らされ、盗撮した写真を見、録音したクラスの音の中から探す毎日だけど。
でもたまに返信来るし、メアド相互で知ってるし、顔も名前も分かるし、嫌な顔はされてないハズだよ?
嗚呼、今日も、貴方の声が、私の頭を駆け巡る。
名前を呼ぶ。
挨拶する。
笑い声。
日常会話。
本当は私のこと嫌いかな?
本当は私のこと怖いかな?
本当は私のこと迷惑かな…
聞きたいけど、臆病な私は返信が来るか分からないメール文を打つことしか出来ない。
このままじゃ、だめ、だよね?
「失恋したんで、バッサリ髪切って下さい。」
『え?こんな長くしたのに?
よっぽど気合い入った失恋だったんだね。』
多分、美容師さんの言う失恋とは違う。好きと、伝えていなかった。
けど、失った恋、でしょう?
全部振り切って、貴方を追える資格を取ってくるから。
まだ、声が聞こえるうちは、諦めるね。




