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いのせんっす!エピローグ

戦いが終わった後、主人公達はどうなっていくのか……。

【エピローグ】

「ちょっとあんた達、まだ寝てんの?!」

 中学二年生の朝は早い。一日くらい夜遅くなったとて、遅刻は許されない。朝の八時三十分に向けて、時計はカウントダウンを止めない。俺は時計を見て素早くデッドラインを見極める。

「うーん、あと五分三十秒~」

 チュ。

 その感触で一瞬で目が覚めた。おはように一番ふさわしい(?)感触。

 目の前にはセンの顔。センは不思議そうな表情で、

「何にも感じない。ただの十代半ばのこっちの世界の男性特有の肉の弾力が返ってくるだけ」

「ああ、だから『お姉さま』が来るまでは、こっちの人間にそういう事するのはやめような」

 自身の精神的及び肉体的反応について朝だから、などと言い訳はしない。

 俺は健全な男子中学生だ!

 センからの言葉の意味はあまり考えないようにする。

 考えたら朝から泣いてしまいそうだから。

「俊明は私にこういう事されるの、嫌い?」

 まっすぐに俺を見つめてくる、つぶらな瞳。

 赤い、瞳。

 まだ、コンタクトしてないんだな、などと無粋な事は思わない(今思ったけど)。

 この瞳に、惚れたんだよなあ。多分だけど。いやーでもこの色白で整った顔も良いし、自己主張しすぎないかつしまりのある体つきとか……。

 あー、今すぐ抱きしめたい!

「いや、全然ウェルカムだからこそやめようって事さ」

 願望と一緒に右手でセンの体を押しのける。

 布団の中にまで入ってきていなかったのは幸いだったのか。

 自制心と欲望(欲棒ではない)がビンビンにせめぎ合っていた。

「どうして?」

 そんな風に言われると困る。非常に困る。

 学校に遅刻してしまうからとでも言えばいいのか!?

 その方がのちのちの自分にとっては良いような気もする。そしてあとでセンの非常識を利用して体を好きに使用。

 ……いや、ダメだな。

 そんな悪代官みたいな真似はできない。小心者なのです。はい。

「うーん、こっちの世界じゃやりたい事をやったら何故か猛烈に罪悪感とか罰とかが襲ってくるような仕組になっているのですよ。ご了承下さい」

 納得してなさそうなセンを無理やり納得させて、ついでに着替えさせ(着換えろって言っただけ。魔法で着替えたんであって俺は何もしてないぞ。見てもいない。俺の言葉は人を誤解させる事がまれによくあるらしい。理由は知らない)る。

 部屋から出る時、父さんと母さんが映った写真に向かって、

「それじゃ、行ってきます。父さん、母さん」

 二人で階下へ行く。

「ほらほら早くしないと潤ちゃん来ちゃうよ!」

 ここの部分の記憶はマナキさんに修正して戻してもらった。魔法は便利だけど、結構怖い所もあるなあとか思う。

 いつもどおりかどうかわからない朝食を摂取し、センが俺の三倍食べている事に注意している暇も無く、呼び鈴がなる。

 潤の奴がドヤすので急いで準備して家を出る。

「もう、おっそーい!」

「はは、ごめんごめん」

 昨日の事はみんな覚えていない。

 朝の(俺の)着替え中にセンに聞いたところによれば、目を覚ましたらみんな何も考えずにそれぞれの家に帰って眠るように命令をかけておいたらしい。

 自己分裂によって繁殖する能力を持っていたのは朱里に寄生していた邪念体だけだったので、これから邪念体が増える事はないだろうとの事。

 頭がいなくなった事で、知性も徐々に消えていくだろうという事だった。

「あとは、残党狩りだけ」

 何故かそう言ったセンの表情は、明るかった。

 こいつ、任務にかこつけて暴力を振るうのを楽しんでるよな。絶対。

 道中の会話。

「相変わらず仲良いのね」(潤)

「そう、私達は仲が良い」(セン)

 これはなんていうか、一歩踏み込んだ発言だ。

 センの非常識が裏目に出なければいいが。

 センとしては人間と仲良くやっている所をアピールできればいいと思っているんだろうが、それはこちらの世界では通らない。

 若い男女で仲が良いとか言っちゃうと、どうしても色恋沙汰を想像してしまうわけで。それは潤も例外ではないようだった。

「あんた達、血はつながってないんでしょう?!」

 気付いてたか。勘が良いな。

「そう。でも私達は仲が良い。同じ部屋で一緒に寝るくらい、仲が良い」

 半分は事実だから否定しづらくて困る。

 仲が良いのはともかくとして、同じ部屋で一緒に寝泊まりしているのは本当だ。同じベッドではないけど。

「なっ!?」

 上ずった声。

 当たり前だ。俺だって潤が男と寝食を共にしていると聞いたらビックリする。

 同じ家で暮らしているという情報は得ていたようだが、まさか寝る部屋が一緒だとは思いもしなかったろう。

 本当、こんな美少女と一緒に寝泊まりしていて、間違いが起こっていないのが不思議なくらいだよ。

 しかも相手は貞操観念がまるでない(というか全力で間違っている)ような奴なのに。

「むぐぐぐぐ。私だって俊明にコロッケ口移しで食べさせたことあるもん!」

 何年前の話をしているんだ潤の奴は。

 そして一体、何を競い合っているんだ。

 でも、こいつ、プールの時持ってきてたあの手紙、結局どうなったんだろう。

 俺は結局今のところ渡されていないわけだが……。

 と、俺の方に潤がそっと寄って来て、真剣な声で俺に耳打ち。

「今日のお昼、屋上で会えない? 渡したいものがあるの」

 ……断れない。

 どうするかって?

 なるようになるさ。

「センパ~イ! 待たせるなんてひどいですう!」

 道中の待ち合わせ場所であるバス亭まで行くと朱里が待っていた。

「あ! お供二人組!」

 朱里。

 お前の認識ではセンと潤は今はそういう認識なのか。

 そうなのか。ギャグにしては……少々危険過ぎると思うぞ?

「えー、朱里ちゃん、潤の事嫌いになっちゃったの!?」

 と滝涙の潤。

 冗談でも悲しいんだな。

「訂正しろ。こいつが私のお供なんだ。訂正しないなら、訂正させてやる」

 え、そうなん?

 俺、センのお供になっちゃったん?

 いや……嬉しいけど。

 そして二人が朱里に迫る。

 朱里はセンからボディーブローを受け動きを止められ、さらに潤からはヘッドロックを食らっている。

 貧民街の顔面を殴った後に親指を目に突っ込み殴り抜けるテクを使われなかった事を感謝した方がいいのかもしれない。

 潤のヘッドロックはどっちかってとおっぱいぱふぱふロックみたいな感じだったが。センも加減はしていたようだが、こっちの世界の人間にやるには少し強過ぎたんじゃないか?

 その証拠に二人の連携攻撃から解放されたあとの朱里が、

「セ、セン先輩ってすごい力持ちなんですね」

 まあ、肉にめり込む音が聞こえるほどのボディブローだったからな。

 センが女子ボクシングをやればハードパンチャーとしての栄光が約束されているだろう。

 対戦相手は戦う前から賞賛の言葉を考えないといけなくなる。

 スウィングに大器を感じた、みたいな。違うか。

 それにしても朱里さんの内臓が傷付かなかったかおじさんは心配だよ。

 センにはあとでもっと優しく戯れるように言って聞かせないと。

 ライオンの調教師になったような気分だ。やれやれだぜ。

 まああまりながい間心配していてもしようがないので俺は、

「うん、まあ、正義のヒーローになれちゃうくらいは力持ちなんじゃないかな」

 そして思う。

 できたら正義のヒーローの出番は永遠に無い方がいいなと。

 残党狩りが残っている以上、まだセンの戦いは終わってはいない。

 それでも、そう思わずにはいられなかった。

 別にもう、邪念体がこの街にいなくても、センはここにいる事になったんだし。

 マナキさんは、僕の机に手紙を残していた。ちなみに割と達筆。そして短文。


 センは、この街の監督者に任命したから。住む所もないだろうから、しばらく泊めてあげて? それから、その間に、キメちゃいなさい!(笑)


 最後の一文が意味不明(というか監督者とかいうのの役割もよくわからんけど。海の監視員さんみたいなもんではないんだと勝手に推測理解)だが、一つだけわかる事がある。

 この同棲生活はまだしばらく続きそうだという事だ。

 まあ、センはマナキ姉様が好きだっただけで。別に俺の事なんて好きじゃなかったんだけどなあ。

 俺の中にマナキさんの魂が間借していたから、なんとなくその雰囲気を感じて、俺の事を好きだと勘違いしていたんだ。

 別に俺の事が好きだったわけじゃないんだ。

 自然とため息が出る。

 はーあああぁぁぁ。

 そのまま泣きだしたいような気持になっていたが、

「センパーイ、何もたもたしてるんですかあ? 先、行っちゃいますよぉ~?」

 朱里の声が耳に入り、俺は現実に帰る。

 いつの間にか三人と距離が空いていた。

 俺が感傷にひたっていたせいだ。誰にも言えない感傷に。

「あ、ああ、すまない。今行く」

 歩き出す。どんなときでも、つらくても、それしかないんだ。

 朱里より少し近くに潤もいて、俺の事を心配そうに見ている。

 具合悪いのかとか心配してるのかな。

 あいつ、優しいからなあ。

 センは、三人の中で一番近くに、いた。

 そして俺の顔を覗き込むようにし、

「大丈夫? 具合、悪いの?」

 潤が聞きそうな事を聞いてくる。なんか変だ。こいつらしくない。

「いや、大丈夫だよ」

「ふうん、ならいいけど」

 お前のせいで気持ちが落ち込んでるだなんてとても言えないよな……。

「今度、一緒に買い物に行こうよ」

「え?」

 唐突だった。

「約束、してたでしょ?」

 笑顔は無かった。

 ただまっすぐに、見つめてくれていた。

 俺の事を。

 黒い瞳の奥底にわずかに赤が見える。

「あ、ああ」

 空の光がそれ以上何も言わずにUターンした少女をまぶしく照らす。

 ゆるい風が吹いて少女のスカートをはためかせる。

 俺は慌てて彼女の進む方に駆けていく。

「おーい、待ってくれよォ!」


 了

俺達の戦いはこれからだ!(嘘)

まあこの話はとりあえずセンが好き(テンプレだけど)ってだけで書いてしまったね。

うん!

そのうち続きも書けたら書いてみたいね!

ご愛読ありがとうございました!

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