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いのせんっす!4-1

母というか親戚の美人なお姉さんというか、は無事だったのか……。

【プール】

4-1

 さて、そんなこんな(どんなだ)でも朝日は登ってくるわけで。

 普通にあのあと眠ってしまった自分が恐ろしい。

 センが再び窓際に座って、「私が見ているから大丈夫」と言ってくれたのも大きかったけど、何より二日連続で異形のものにあって、緊張して疲れていたんだろう。

 いつもより寝付きがいいくらいだった。

 まあ、そのせいで遅刻ギリギリまで寝てる事になったけど。

 顔が腫れて痛いのによく眠れたよな。

 我ながらすごいと思う。

 朝になった。

 センを先に下に降ろしてから着替えて自分も階下に降りる。

 するとセンはテーブルに着き母さんから牛乳をコップに注いでもらっていた。

 センは既に制服姿(俺はまだパジャマなのに!)。

 母さんは白と黒のボーダーのワンピースを着ていた。薄い生地だが、そこから十分に女性の魅力が主張されていた。

 そこってどこだって言われたら、多分全体としか答えようがない。

 若いなあ、と思った。

 思ったより、とか付けると殺されそうだけど付けないでおべんちゃら使ってると思われたるのもまた嫌なのでどうしたらいいのかよくわからず殺人的に自身の脳を加速させる。

 だが、その必要はなかったかもしれない。

 母さんは俺に気付くと、

「あらおはよう私のちっちゃいダーリン」

「はぁ」

 別に俺の背は低くは無い。

 中学生だから大人でかつ元モデルだった母さんよりは小さいというだけだ。

 そしてその呼び名はなんだ。

 というか母さんは昨日の事を覚えていないのか? 

「いやーよく寝たわー。あんたは眠れた?」

 まるで何事もなかったようだ。

 何事もあったというのに。

「うん、まあまあ」

「そ、あんまり寝過ぎると起きる時の脳内物質もたくさん出るだろうから、気を付けた方が良いわよ?」

「うん、と? 何でですか?」

 何を気を付ければいいというのだろう?

「私のちっちゃいダーリンのちっちゃいのが、必死に育とうとしてるの見るのなんて、私、ちょっと心の準備がずっと一生できそうにないし」

 ええ、と。

「ええと、僕のちっちゃいのって何の事ですかねえ?」

 何の事を言っているのかわかったようなわかりたくないような。

 というか朝から下ネタやめろこのヤケボックイがー!

 と俺が爆発寸前になっているとテーブルに座ったセンがボソリと、

「租○ン兵」

「うがー!」


 俺の怒りが有頂天になった(何か日本語おかしくなるくらいの圧倒的怒り表現)!


 母さんはさっさと俺という台風から逃れるようにして対面式の台所に移動し、朝ごはんを作ってくれている(こういうとこはすごいよな。俺の事からかいながらも母としての役割はちゃんと果たしてくれているっていうか)。

 まあ、母さんは関係ない。

 そこまでは我慢できていたんだ。

 暴言を吐いたのはセンだ。

 俺の怒りの矛先はこいつに対して燃えたぎる程ヒートしているぞおぉぉ!

 そして怒りにまかせセンを殴ろうとするも俺が殴るといつもセンは隣の椅子でのんびり牛乳を飲んでいる。

 拳は何故か宙を切っている。

 超スピードなのか幻術なのかわからない。

 ああ、残像かな、これ。

 残像はいつでも使えるわけではないみたいだけど、俺程度(日本人中学生平均)の動体視力じゃ、存在を誤認させるくらい速く動くなんて、特に意識しなくても簡単な事なのかもしれない(残像が速く動く事でできているのかは謎だけど)。

 それこそ、見てから余裕でした、的な? 自分の息が上がってきているのを自覚してアホらしくなったので隣に座ってセンに質問する事にした。

「牛乳好きなのか?」

 センはよくぞ聞いてくれましたというような得意満面の笑顔で俺の方を見て、

「君の好みは理解したから。及ばずながら、努力はする」

 俺はその笑顔を嘘偽りなくかわいいと思った。言ってる意味は不明瞭だったけど。とりあえず首肯してしまうくらいの破壊力はあった。そう、かの名言を借りるならば破壊力は抜牛ン(あ、打ち間違えた)だったと言えるだろう。……ていうか俺の好みってなんだ?


「部活?」

 放課後、俺は自分の用事を伝えると同時に、センを勧誘していた。

「ああ。俺、水泳部なんだ」

 水泳無難だ、というものでもないかもしれないけど。

「センも良かったらどうだ?」

 俺がこんな風にセンの事を誘ったのには理由がある。昨日の、母さんとの戦闘のあと、センから聞いた事だ。


「水は、想いを溶かしやすい」

 母さんを階下に戻した後、センは俺の涙が起こした奇跡について考えられる理由を説明してくれた。

「君も海に出てくる幽霊の話暗い聞いた事あるでしょう? 沈没した人の無念が実体化した邪念体、歌で人を惑わす邪念体、それに他にも霊が出てくる場所は、大抵湿度が高い場所。だけど、湿度が高い場所に想いが集まりやすいのは、何も悪意だけじゃない。良い想いも、水には、溶けやすい。私は聖水とかの概念は、そこからできたのだと思っている」

「なんだか難しい話だな」

「それが正しいとするなら、涙は、人の想いを最大限に込めた液体。多分だけど、さっきの涙は、君がもっと力が欲しい、お母さんを助けたい、そういう気持ちがこもっていたから、効果があった。今私が流させた涙には、そういう『想い』がなかった。だから効果がなかった。そうなんだと思う」

 つまり殴られ損って事ですよね、俺は。ああ、もう。

「なんでもいいけど、納得したなら俺の顔の怪我を直してくれないか?」

 するとセンは今気付いたという感じで申し訳なさそうに、

「ごめん、私、攻撃魔法専門で、治癒魔法は覚えてないの」

「いやいやいや、お前記憶操作してただろ?!」

「あれはこっちの世界に来る時になるべくこっちの世界の人間に影響を与えないように覚えさせられただけ。私は他に補助魔法は使えない」

「さっき俺の傷全部直ったのに」

「あれは君の涙の、想いの力を借りてできた事。私一人じゃ、できない」

「マジかよ……」

 白魔道士(女子)も一緒に来てくれればよかったのに。俺はがっくりとうなだれた。


 はい回想終了。

 つまり異界の奴らは水辺に集まりやすいって事で、あまり水辺、湿度の高い所に近付くのは化け物が引き寄せられている可能性が高いので危険だという事になる。

 そして……俺は泳いでいた。

 水泳無難だ(爆)。

 だって部活休むわけにもいかないし。理由説明できんし。

 センは来なかった。

「別に君に興味ないし」

 が理由だそうだ。

 そっか。うーん。

 それなら、と。

「先に帰ってろ」

 と言っておいた。

 センは何も言わなかった。

 昨日の今日だから正直少し怖かったが、明るいうちに化け物が出てきたことはないから、少し甘く考えていた。

 部活帰りに朱里と一緒に帰る。

 その日は恵輔は用事があるとかで、部活に来ていなかった。

 なので一緒に帰るのは朱里だけとなる。

 着替えが終わると朱里は更衣室の外で待っていてくれた。

 濡れた髪が女を感じさせた。

 うーむ……。

 これだけ背が小さいのに、出る所は潤より出ている。

「お前さ」

「なんっすか、センパイ」

「そんなに胸でかくて、泳ぐ時大変じゃないか?」

「な、なななななな、何言ってんすか、っていうかどういう目をして私の事見てんっすか!」

 確かにに邪魔ですけど背泳ぎの時とかは浮輪代りになるからかえって有利なんですよとかモゴモゴ言っていてそれに対して俺は心の中では、

「うーん、でも大会結果とか見るにお前運動神経あまり悪くないのに伸び悩んでる所見るとやっぱ胸が邪魔なんじゃね?」

 とか思いつつも表面上は華麗にスルーし、

「どうって、こんな目だが」(開眼。さっきまでいたのはただの人工消毒水の中。海岸では略)

「そんな事を言っているんじゃないっす!」

 なんだってんだ?

「恥ずかしいっすよぉ。同じ部活のセンパイに、そんな風に見られてただなんてえぇ……」

 後半、消え入りそうだった。

 確かに、よくない発言だった。

「すまん、軽いつもりで言ったんだデリカシーが無かったすまないごめんなさい許して」

 何かただならぬ殺気のようなものを感じて俺は即座に謝った。

 ……なんで殺気?

「そんなまっすぐに変態なセンパイも嫌いじゃないっすけどね」

 まっすぐ俺の方を見ているのは朱里、お前だったんだがな。

 ていうかこいつ風邪でも引いているのだろうか、さっきから顔が赤い。

 まさか別の理由?!

 なんて考えるほど冒険家ではなかった俺に隙は無かった。

 ……なんの隙かは知らない。

「お、おう、サンキュー」

 そして何故か感謝の辞を述べる俺。

 ていうかさっきの殺気シャレでなしにはなんだったんだ?

 朱里の殺気ではなかった。

 というか朱里がそんな殺人鬼みたいな真似できたら困る。

 てことは朱里じゃなくて誰かが俺の事こっそり監視して見てたのかな。まさかな。

 しかも尾行対象に気付かれるような殺気を出したりするような奴なんて、いないよなー。ていうかそもそも、殺気を発する理由が無い気がするし。

「てことで、はい、コレ」

「ん、なんだこれ」

 校門を出る所くらいで妙な紙切れを渡される。

「チケットっすよ、チケット!」

 どうも最近この街にできたばかりの市民プールのチケットらしかった。

「いや、ていうか俺ら水泳部なのにわざわざ」

 プールに行っても仕方なくね?

「潤先輩が、たまには俊明先輩と遊びたいって言ってたんすよ」

 それから朱里は、

「プールでお互い裸の付き合いをして距離を縮めたらいいんじゃないかってのは、私の発案っすけど」

 と付け加える。

 ええと、とりあえず。

「それは裸の付き合いじゃないだろ!」

「私も行く」

 いきなりなんか横から紺髪の色白魔法少女(制服仕様黒目ver)が声をかけてきた。部活だから先に帰ってろって言ったのに、待っていたらしい。

 ……なんでなんだろね?

個人的にヒロインが出揃った後は体で魅力勝負をするべきだと思うんだ! 次回、水着展開……ッ!

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