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いのせんっす!3-2

同棲という意味を皆さんは考えたことがあるだろうか。

生活を共にするっていうのは、大変なんだよ。

特に異世界ヒロインと生活を共にするってのはなァ!(超絶ベタ)

3-2

「これって、非常によろしくないような気がするんだが、健全な男子の精神衛生上」

 なるほど、センは入浴を終えて次は俺の番だ。

 母さんは一番風呂を自分以外の相手に譲るという献身の気持ちより、単に今すぐ風呂に入るのがめんどうだったって事なんだろうけど(テレビでイケメン人気俳優が演じるドラマがあったので、それを見たいのだろう。ミーハーなのだ)、それにしても。

 二番風呂というのはひょっとしたら一番風呂より緊張するものかもしれないな。

 なんていうか色々、意識してしまう。

「センの入ったあとの風呂って事だしな……」

 一応、既に身体は洗っておいた。

 顔も、髪も。

 ……それでは入らせていただくとしますか。

 あまり、意識しないようにして。

 でも、ゆっくりと。

 なんか、儀式みたいだ。

 両足を踏み入れ、身体を沈めようとした、その時だった。

 目の前の、脱衣所につながっている扉が、開いた。

「う、うわあああぁ!?」

 失敗した。

 いちはやく存在に気付いて、

 「貴様! 見ているな!」

 というべきだった。

 無理な話だけど。

 さっきまで電気が消えていたはずなのに、足を入れて身体を百八十度回転させた時には既に電気が付いていた。

 そしてその事を認識する間もなく、扉が空いたのだ。

 俺はとにかく自分の身体を隠す為に、浴槽の中に体育座りになる。

 鼻より下まで浴槽のお湯につかってしまい、それでもあわてた俺は「あばばばば」とかなんかそんな事を口にしようとして(自分でも何を言おうとしたのかわからない)、慌て過ぎて少しお湯を飲んでしまった。

 ゲホッ。

 そんな俺の動きをじっと凝視している赤眼の少女が一人。

 脱衣所から姿を見せたのは案の定というか、センだった。

 いまだに腰にバスタオルを巻いたままの格好をしている。

 魔法で服装が自由自在なのだから早く服を変えればいいのにと思うのだが、身体がきちんと乾くまではバスタオルを着たままウロウロする派なのだろうか。

 そういう人がまれによくいるとどこかで聞いた事もないけど現実を正しく理解する為には情報が不足していたのでそう推測した。

 てか、問題発生。

「き、貴様俺のオベリスクの巨珍兵を見たな!?」

「オベリスク? 巨珍兵?」

 センは一歩前に出て、浴室に入ってくる。

 それから、浴槽の中を覗くように首を前に倒し、

「フッ」

 ……とりあえず必死に両手で隠しておく。

 若干ブチ切れかかったが、許しておいてやる。

 だから早く立ち去れ、可及的にすみやかに、早く!

「租チ○兵」

 その瞬間、俺の中で何かが切れた。

 ザバッ、と立ち上がる。

「てんめえぇえぇえぇ! 鼻で笑った上に言いやがったな! ざけやがってんのやろおおぉおぉぉ、俺の巨珍兵は伸縮率がマジやべえんだよ甘くみ(見)てっとブチ貫かれかねねえぞゴルァァアアアァ!」

 多分その時の俺はダヴィデ像よりもクールで熱いポーズをとっていたと思う。

 あんま本筋と関係ないけど(ていうか本筋ってなんだ?)。

 で、バスタオル姿のセンは極めて落ちついた様子でのどこかを凝視したまま、

「いいの、君、さっきまで必死になって隠していたようだけど」

「ハッ……! ふぎょえあああぁぁあ!」

 羞恥レベル、五。

 雛○沢だったら発狂してるところだ。○見沢じゃなくても発狂してるけど。

 うああああああ、もう、お婿にいけない……。

 視線が下に向かなかったのは、センにも恥じらいというものがあったのか、それともそもそも興味(興味があるという表現も問題な気がするが、同年代の異性というのはどうなんだろね? 今度潤にでも聞いてみようかな。多分答えてくれないと思うけど)すらなかったのか、

「ていうか、何で来たんだよ? 今俺、風呂入ってるんだけど? こっちの世界じゃ、男女はお互いの身体を簡単に見せあっちゃいけないんだよ!」

 口元までお湯で隠しながら、実際にはお湯は透明なので隠せていないのだけど、非常識を指摘する。

 不満を、口にする。

 お湯も多少口にする事になった。だからどうした(爆)。

「そう。私はあんまり気にしないけど」

「俺は気にするの!」

 意味も無く意識してでもなく浴槽に口を付けてボコボコやって遊び羞恥を誤魔化しそれから、

「ていうか、質問に答えろよ」

 ていうか、ていうか。

 これだけ話題を自分から軌道修正してやらないといけないとは。わざとはぐらかしているのかと疑いたくなるレベルだ。

「気配が、したから」

 やっと答えたセンの内容は、うーん。

「ん、何もないなら、いいけど」

 要領を得ない。

 そして、

「早くここから離れた方がいい」

「そんな事言ったって、まだ俺ちゃんと風呂入ってないんだけど!?」

 何を言っているんだコイツは?!

「それでもいいから」

「いやよくねーよ」

 強引に俺を浴槽から引きずり出そうとしたセンの手を少し乱暴に払う。

「あむぅ」

 うっ、かわいい。ちょっと、罪悪感。

「まったく、もう、早く出て行けよ」

 シッシッと犬でも相手にするかのようにして手をヒラヒラさせ追い払うと、俺はようやく湯船につかる事ができた。

 うーむ、非常に精神衛生上悪い。

 すぐに上がってシャワーで丹念に身体を再度流す。

 センの甘い匂いが、俺の頭をおかしくしそうだった。

 結局そのあとすぐ浴室から出た。もちろん脱衣所に誰もいないのは確認してから。


「なにこれぇ、ぬるぬるうごひゅのぉ!」

 身体を拭いてパジャマに着替え、歯を磨いて、それからいつも寝ている場所に向かうと、その俺の部屋からは奇怪な声が聞こえていた。

 風呂上がりの若者の理性をむしばむ声。

 精神衛生上非常によろしくない声。

「なんだよ?」

 ドアを開ける。室内には先程浴室に乱入してきた少女がピンクの水玉の寝間着姿になって立ったまま読書の真っ最中だった。

「おっきいのぉ! お口の中でだんだんおっきくなってきひゃうのぉ!」

「何やってるんだお前は」

 センは俺の見覚えがある本を音読していた。

 しかも口にハブラシくわえたまま。

 なんていうか、はしたない。

「キミのベッドの下に置いてあった写真付きの本のセリフを真似してみただけ」

「プ、プライバシーの侵害はやめてもらえるかな!」

「こういうの、こっちの人間は好きなのかと思って。任務の遂行の為、潤沢な情報源の確保の為にはこっちの世界の人間と円滑な交流をして、好かれる必要がある。だからこっちの人間に好意的な印象を持ってもらえるよう、キミで試してみた」

「あのね、好きだからって、何でも相手に合わせてやってあげるのはよくない」

 それにそういうのはみんなが好きなわけじゃないと思うぞ、多分。

 若い男だけだ。

 いや、まあ、そういうのに終わりはないのかもしれないけど、とりあえず女はそういうのあんまり一生懸命読まない気がする。

 BLとかは腐ってる人達に人気みたいだが、男子のそういうのほど一般的じゃないだろうし。

 と、そこまで色々細かく教えてあげる前にセンは俺に、

「別に私はキミの事好きじゃないけど」

「いやそういう意味じゃなくてね。俺がこういうの好きだからって意味で……ていうかそういう事はっきり言うのやめてくんない!? これでもし俺がライトノベルの主人公だったりしたら、フラグメキ折られで別の女の子に流れちゃうところだよ?!」

 興味あるって言ってくれた日にその女の子に別に好きじゃないと言われる俺。

 なんなんだよまったく!?

 泣きたくなる。

 ていうかちょっと泣きそう(リアル話)。

 昨日は一目ぼれしたかもって言ってくれたのに。オヨヨヨ。

「何を言っているのかわからない。私まだ、この世界に詳しくはないから」

 そもそもライトノベルって何??

  と問いたそうな顔をしているので訴追を諦める事になる。

 上告は棄却されたが控訴くらいは認めて欲しかった。

 裁判官自身がかわいいは正義をナチュラルに実践しているような奴なので、口頭弁論は強制的に終了させられる。

「とにかく、そう、ほら、あれだ。恥じらいを持ちなさい!」

「恥? キミのこれ、『ドキッ! 僕以外は女だらけのハレンチ学園』は、そんなに恥ずかしいものなの?」

「タイトルまで言わなくていいから……。ええ、そうです。ですから、そっと、そっと、ね? なるべく人の傷口に塩とか辛子とかマスタードとか塗るような真似しないで、そっとそれをベッドの下の棚に隠してくれないかな?」

「隠す? 戻すんじゃなくて?」

「どっちでもいいから早くやれ」

「あむぅ」

 センは子供っぽい甘くすねたような表情をしながら『それ』を棚にしまった。

 コウノトリを信じてる少女にポルノ雑誌を見せる程ではないが、こっちの世界の事を何も知らない純粋無垢なセンがそうしていると、白いキャンバスに薄汚れた自分の絵具をぶちまけた時みたいな下卑た快感が押し寄せてくる。

 ……俺は、あとで懺悔室に行った方がいいな。行った事ないけど。

 そこで土下座して「OH! ジャパニーズ土下座!」とか言われてそれから鞭打ちの刑を受けて自らの罪を粛々と購うくらいしか自分の精神性の救済方法がわからない。

 わからないんだ(切実)。

「なんか、口の中でまだ動いてる」

「何言ってんだよそれ、電動歯ブラシじゃないぞ?」

 センの頬が一瞬大きくふくらむ。

 何か特大エジプト兵士をくわえているような表情になったが、それから嫌悪の表情と共に口内で『何か』を噛み切った。

 ペッ。

 緑色の粘液を傷口から垂らす紫色の触手を口から吐き出す。

 ステッキをワンセコンド(一瞬)だけ取り出すと、一振りで触手は燃えるようにして消えていく。

 俺は今のセンの様子を見て特に萌えていない。

 これは本当。俺は特に萌えていない。大事な事なので(以下略)。

 ……にしても、怪物は俺の家の中にまで来ているのか。

 いよいよ疑念が確信になってきた。非常に残念なお知らせなわけだが。

「まったく、どこにでもいる」

 俺は改めて、センのいう「邪念体」、怪物が、街の至る所にいるのだと理解した。

 ……センを俺の部屋においておいて正解だったかもな。センがいると敵が襲ってくるかもと恐れる半面、センがいないとあっという間に取り殺されてしまうのではないかという不安。

 ただの中学二年生であるこの俺が得体の知れない触手の怪物と戦えるとも、思えんし。妄想の中でならワンチャンあるんだけどなあー。

 っていうか、こんな風に街中にいて、俺の友達とか、大丈夫なのかな?!

ここら辺での主人公の妙な緊張感の無さはいかがなものなのか……。

次回、以外に動じない系の主人公にさらなるピンチが……!

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