第3話 交わる時
戦いの中で目覚めた蓮の力。 その存在を知る者が、静かに動き出す。
生物教師・黒瀬彼は何者なのか? なぜ”コード”を知っているのか?
交わる運命、重なる謎。
そして、蓮たちは新たなゾイオムとの戦 いに挑む。
今、物語は“個から“組織”へと広がり始 める。
放課後、理科準備室の重たい扉がきしみを上げた。
「蓮、ちょっと話がある」
振り返った先にいたのは、担任で生物の授業を教えているの黒瀬先生。普段は生徒とほとんど関わらないはずの彼が、わざわざ呼び出してきた。
「……昨日の夜、青い光に包まれていた“君”を見た気がしてね…」
その言葉に蓮は一瞬、息を呑んだ。
「……見間違いじゃないですか?」
「そうかもしれない。でも、その青い光は最近うわさの街で暴れた生物と交戦していたように見えた」
蓮は黙っていた。先生の目は冷静で、だがどこか見透かすように鋭い。
「……あれは君だろう、天城蓮。コードと呼ばれる、戦う術を持った存在」
おかしい…
なぜ彼はコードという名を知っているのだろうか…
あれは暗闇の中で謎の声が言っていた名前…
なのになぜ先生が…
しかし、逃げられないと悟った蓮は、ため息とともに小さくうなずいた。
「何でゾイオムと戦った俺を知っている……?」
すると黒瀬は「ゾイオム…そうか奴らはゾイオムというのか」
すると黒瀬は無言で、古びたノートを差し出す。中には、途中途中たくさんのページが破れていて、残されたページは数ページだがそのページには今までに出た2体のゾイオムの体構造のスケッチ、行動パターンの分析、が細かく描かれていた。
「私はその謎の生物の出現初期から、それを研究していた。そして君に出会った…」
そこに陽菜が駆け込んできた。
「先生!? 蓮になにして――」
「橘さん、あなたも現場にいましたね…」
先生は不気味につぶやく
「せ、先生…」
「安心しなさい。僕は敵じゃない。むしろ、君たちに情報を渡しに来た」
黒瀬は、ゾイオムは謎の生命体であり、感情も意思もなく、“戦うために設計された存在”であることを説明した。蓮も陽菜も、その残酷な真実に言葉を失う。
その時、街にまた新たなゾイオムの出現情報がSNSに出ていた。
「行くしかない……!」
蓮は駆け出し、陽菜もその後を追う。黒瀬も無言でついてきた。
夕方の街。薄暗くなり始めた空の下、黒くねじれた姿のゾイオムが街灯の下でこちらを見ていた。
蓮はポケットからコードボールを取り出し、静かに天を仰ぐ。
「もう迷わない」
蒼く脈打つ球体を、彼は力強く真上へと投げ上げる。
光の尾を引いたボールが空中で一閃し、静かに落ちてくる。
――「コード、イン!」
蓮は落ちてきたそれを拳で叩き潰した。
バチィッという高音とともに青い光が弾け、粒子となって蓮の体を包み込む。
光の鎧が脚部、胴体、腕、最後にマスクへと走り、視界が蒼に染まる。
「さぁ、戦いの時だ!」
青く輝く“コード”がゾイオムの前に立ちはだかった。
ゾイオムが低く唸り、猛然と突進してくる。蓮は回避しながら反撃に出るが、そのスピードはこれまでとは段違い。連撃が続き、装甲が一部ひび割れる。
「くっ……強い……!」
ブレードで斬りつけても、ゾイオムは学習したかのように受け流す。地を蹴り飛び回るその姿に、蓮は焦りを感じた。
「蓮、無理しないで!」陽菜が叫ぶ。
ゾイオムの鋭い爪が襲いかかる。ギリギリでかわすも、蓮は地面に叩きつけられ、動けなくなる。
「攻撃が通らない……!」
そのとき、冷静な声が響いた。
「背中だ!」
振り返ると、黒瀬の目がゾイオムを射抜いていた。
「奴らの神経中枢は、外殻の下、背中側に集まっている。そこが唯一の“弱点”だ!」
蓮は跳躍し、空中で体を回転させながら背後に回り込む。
コードの光が一閃し、ゾイオムの背中を貫いた。
黒い霧のようにゾイオムが消え去り、蓮は変身を解除して地面に崩れ落ちた。
「ありがとう、先生! すっごく助かりました!」
陽菜が駆け寄ってそう叫ぶ中、蓮は立ち上がりながら、黒瀬を見つめる。
(……こんな短期間で、ここまで解析できるもんか?)
疑念が胸をよぎる。だが、今はそれを飲み込んだ。
「仲間が……増えたな」
黒瀬は答えず、わずかに目を伏せた。
背後にある闇の一部を隠すように。
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続く
謎の教師・黒瀬の出現。 彼の言葉が、蓮たちの戦いに新たな視点 をもたらした。
ゾイオムの正体、コードの力、そして蓮 の疑念
少しずつ、点と点が線になっていく。
だが、真実に近づくほど、闇は深くな る。
次回――「鋼を越える時」
新たなゾイオムの脅威と、蓮の“突破力” が試される。




