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私だけ、冬。  作者: 奏花
1/2

#1 - 私は、何処に。【序】


「もう少しだけ...だけ、、」

そうして無理をしたことが、まさか。


【私だけ、冬。】

#1 , 私は、何処に。



 「人には、それぞれ個性があるのですよ___ 」

 「人には、人権があるのですよ___ 」

 小学校の頃、先生が言ってた。ずっと覚えてる。でも、心には刺さらない。

                        ◇◇◇

 言えない。何があっても。

 知らない方がいいことなんて、世間にそこら中に転がっている。

                        ◇◇◇

 私が知らなかったら、こんなことにはならなかった。私の中にはいつしか、蟠りが心の中に居座るようになり、全てが嫌になった。

 私は、何処で間違えたのだろうか。私は、何処で何を踏み間違えたのだろうか。

「夏菜ちゃんってなんでもできてすごいよね。」

「夏菜ちゃんだったらこのくらいできそう。」

 私は嬉しかった。人一倍できたことではなく。

 “友達と呼べる存在がいること。”

                        ◇◇◇

 いつからだろうか。私から友達が消えていったのは。

 気がつけば、私は独りぼっち。周りの人間が敵のように感じた。

 いつからともなく、私の体と心は疲弊していった。疲弊した様子を見た友人は、初めは励ましてくれたが。励ますのも疲れたのだろう。お前ばっかり構ってらんない、というように私の周りからは人が去っていった。

 そして、私の周りには、親、ひとりぽっきり。

 私の家は母子家庭。ただでさえ忙しい母は、幼い頃から自分ごとのように私のことを応援してくれた。初めこそ嬉しく、癒しの音となっていたそれはいつしか疲弊した心に響く喧騒になった。

                        ◇◇◇

 喧騒となりたそれは、恐縮された心をさらに圧迫する。もう無理だ、とは喋らない。でも、限界が近づいてくることは鮮明に読み取れる。

 いつしか親も応援することをやめ、呆れるようになった。私の気持ちに寄り添ってくれていた親さえも、敵に感じるようになった。ああ、本当の独りぼっちだ。

                        ◇◇◇

 そして時は流れに流れ、高校受験も難なく突破し、県内トップクラスの高校に進学。が、私の心には既に感情という概念すらなくなっているため、別に何も感じない。まるでモノクロ。

 母親も少しは喜んでくれたが、まだ大学受験があるのだからあまりぬか喜びするな、と言ってそれだけ。

 喜んでくれないことが悲しかった。母親の笑顔を失った。

                        ◇◇◇

 私は人から幸せを吸い取ってしまうんだ。私って疫病神に似てるな。

 私って誰のために今まで頑張ったんだっけ___



 そして、明日は入学式。中学校の時の私とは違う。あの時の自分を消し去って。頑張ろう。


【私だけ、冬。】

#2 , 忘れられない過去。


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