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平凡な者の異世界旅  作者: 悠遊之抽


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第79.5章:回廊で交わされる対話──平和という難題

食堂へと続く回廊を歩く中で、シャルルマンが口を開いた。


「我が友よ……まさか、大広間であのような発言をするとは思わなかったぞ」


「えっ?……ああ、それは……貴族の誰かが、俺の“撤退”の件を持ち出すんじゃないかとは予想してました。でも……ジェイソンたちの犠牲を侮辱されたときは、黙っていられなくて……」


「ふむ、だがな……お前の発言がどれほどの波紋を呼ぶか、分かっているのか?あの貴族たち、これからお前を次々と弾劾しようとするだろう」


「……すみません」


風間伊佐が素直に謝ると、シャルルマンは少し溜め息をついて言った。


「だが、言っていることは正しい。貴族というものは、権力を持つからには責任も負わねばならん。民を顧みず、私利私欲に走るだけの連中は……もはや貴族ではない。そんな者たちを糾弾するのは、間違いではないさ」


「じゃあ……陛下も、貴族たちの実態をご存知だったんですか?」


「ふっ、当然だろう?それを知らずに王を名乗るなど、滑稽ではないか」


「……じゃあ、なぜ放っておいたんです?」


「我が友よ……この国の貴族たちは、すでに深く根を張っている。軽々しく手を出せば、かえって国に混乱を招く。今、ロールス帝国やプシス王国が虎視眈々と我が国を狙っているというこの時勢……牢を乱立するわけにはいかんのだ」


「……魔族だけじゃなく、人間の国同士でも警戒しなきゃならないなんて……面倒ですね」


「まったくだ。時に、人の国を相手にするほうが、魔族よりもやっかいだと思うことさえある」


「……俺の世界にも、魔族みたいな存在はいませんが……人間の国同士の争いは絶えません」


「そうか……お前の元の世界も、やはり平和とは言い難いのだな」


「うーん……表面的には平和な国が多いですけど……本当の争いは、政治や経済の利権争いとして水面下にあります。戦争にまで発展するのは稀ですが……その大半は、主要国以外の弱い国が巻き込まれるんです」


「なるほどな……真の平和というものは、やはり遠い存在か……」


「たぶん……それが“人間の本性”なんだと思います。人は自分の利益を守るために争い、資源や立場、権力を巡って争う。それは、きっと心の奥深くに根差した本能なんです」


「……“人間の本性”か。興味深い考えだな。我が友よ、もし我らが魔族を打ち倒したとして——その先に待つ世界は、どうなると思う?」


風間伊佐は数秒間黙考し、やがて静かに口を開いた。


「……たぶん、人間同士の戦争が始まると思います」


「……やはり、私もそう思っていたよ。我が友よ、その時……お前はどうするつもりだ?」


「……それは……」

シャルルマンの問いかけに、風間伊佐は答えに詰まった。


「我がアレクスに、力を貸してくれるか?」


「……たぶん……はい……」

はっきりとしない返答だったが、そこには戸惑いがにじんでいた。

風間伊佐の脳裏には、プシスで目にした貧民たちの暮らし、そして戦場で命を落としたジェイソンたちの姿が蘇る。

もし人間同士が争えば、また多くの命が奪われ、家族が引き裂かれ、誰かが大切な人を失う。そんな未来を、彼は望んでいなかった。


「……そうか」

シャルルマンは風間伊佐の表情を見て、声を和らげた。


「その時が来ても、我々が友であることを願っているよ」


沈黙が、場の空気を包んだ。


ちょうどその頃、一行は食堂の前に到着した。

エリザベートが、ぱっと空気を変えるように明るく言った。


「もう、まだ魔族に勝ってもいないのに、そんな先のこと考えてどうするのよ?とりあえずご飯にしましょ!」


「ふっ、そうだな」

シャルルマンも笑いながら頷いた。


「今は目の前の戦いに集中すべき時だ。未来を憂うのは、そのあとでいい」


「うん……でも、私はできれば……陛下と敵になりたくはないですけどね」


「ははっ、その時が来たら——“光の獅子王”の真の力を見せてやるさ!」


「うわっ、どうか手加減してくださいよ!!」


笑い声が回廊に響き渡る。

そして一行は、食堂の扉をくぐった。


その後ろ姿を静かに見つめながら、エリザベートはそっと手を組み、心の中で祈った。


——光の神・エリクスよ。

どうか、あの日が……決して来ませんように。



アリアン(Arian):


主人公と仲間:

風間かざま 伊佐いさ〔MAX〕

リック(Rick)

エマ(Emma)

レイチェル(Rachel)



世界・国家:

休ジェスト(ヒューゲスト)〔世界名〕

アレクス王国アレクス



王族・王宮関係者:

シャルルマン・ハンスウォーケン〔国王〕

エリザベート・ハンスウォーケン〔王女〕

ウォリック・ハンスウォーケン〔第一王子〕

ジフク・ハンスウォーケン〔第二王子〕

クリス・ハンスウォーケン〔第三王子〕



宮廷・騎士団関係:

リゼス・アンコベル〔首席女神官〕

アルドフ・ツァイコロフ〔宰相〕

アルドフ・ツァイコロフ〔騎士団長〕

マイヤー・オギリテ〔騎士団副団長〕

アリアン・レフォルト〔魔法騎士団長〕

カフス・フォンデシーン〔魔法騎士団副団長〕

ジュリエット・ナスタント〔初級神官〕

ダンブズ・ホークランド〔前大賢者〕

イレス・ヴォジリット〔メイド〕

リチャード・ディオジット公爵〔東方領地領主〕




主人公関係者:

天翔てんしょう〔風間伊佐の騎乗馬〕

養女の庶民の女の子: アンナ

養子の庶民の男の子: ジェミット



他国・神・魔族

東方帝国 ロールス

南方王国 シーク

中土王国 プシス

中土王国 ウランクス

シドレフ・グランシス〔プシス国王〕

プシス公爵 ヒルトン・ヴァルキス

ウランクス公爵 ヴァキル・キルコフ

魔族将軍 クラシド

魔族魔法将軍 シフィス



神:

光の神 エリクス(エリクス)

大地の神 ディートラ(ディートラ)




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