第7章: 勇者の潜質
「勇者様!!!!! 勇者様!!!!! 聖殿はすぐそこです。勇者の儀式を通過し、勇者の力を得れば、魔族を打ち倒すことができるでしょう。その時、魔族はもはやあなたの敵ではなくなります!!!!」
リジェスは興奮して言った。
「勇者の力!? あんな怪物を倒せるのか!? リジェスの技と騎士たちの技ではせいぜいあの怪物を追い払うことしかできない、いや、その怪物にとっては、それすらも無駄のように思える、特に最後の一撃を受ける前に、周囲がすべて破壊されるような恐怖を感じた。」
「勇者の力がどんなものかすら知らない!? 本当に勝てるのか!? 俺は王様よりも強い力を得られるのか!?」
風間伊佐は恐怖に囚われ、その心はひたすら考え続けていた。
「友よ、マックス!!!」
その時、低い声が風間伊佐を現実に引き戻した。
「魔族の力がどれほど強大か、私はよく知っている。そして私もそれを直接体験した。そのような強さを目の当たりにしたら、誰でも恐れを抱くのは無理はない。しかし、友よ、魔族に立ち向かう人間を率いるのは、君しかいない。周りを見てみなさい。」
チャリマン王は言った。
「彼らは魔族と戦い、そして生き残った騎士たちだ。彼らも魔族の強大さを知っており、人間の力だけでは魔族に立ち向かうことができないことを理解している。彼らも君と同じように一度は勇気を失ったが、勇者の到来が希望をもたらすと知り、再び騎士としての勇気を取り戻した。」
「私はこれが非常に難しいことだということは理解しているが、君には本当に私たちを、そして人類を率いて、この重要な戦いを勝ち取ってほしいと願っている。お願いだ。」
風間伊佐は周囲を見渡した。その目には決意と希望が満ちている騎士たちがいた。彼は心が揺れ動いたが、それでも十分な勇気を持って約束をすることができなかった。
「俺…俺…もう少し考えさせてくれ。」
風間伊佐は頭を下げて言った。
「君は私が双眼を持ち、人の潜在能力を見抜けることを知っているだろう。」
チャリマン王は腰をかがめ、風間伊佐の耳元でささやいた。
「君は私が初めて会った人間に、私の大切な娘を託すと思っているのか?君は私がよそ者に王国を任せると思っているのか?」
「私の眼は人間の潜在能力の色を見抜くことができる。その色が明るければ明るいほど、光明の神に近い色だ。色が深ければ深いほど、悪魔に近い色だ。」
「君の色は光明の神ほど明るくはないが、それでも世の中でも稀なものだ。私は君を信じている。私の娘の婿として、またはアレクシスの王として、君は十分に務まるだろう。」
「よく考えてみなさい、マックス。」
「陛下…」
風間伊佐は涙を浮かべながら、チャリマン王を見つめた。
「それでは、私の宝物の娘に君を慰めさせよう。」
チャリマン王はニヤリと笑い、風間伊佐を見た。
「結構です!!!!!!」
風間伊佐はきっぱりと答えた。
「陛下、慎重にお言葉を!!! あなたの言動で私の名誉がすぐに壊れそうです!!!!!!」
「おお〜」
チャリマン王は軽蔑の眼差しで風間伊佐を見た。
「もし君が承諾しないなら、私には君の名誉を簡単に破壊する方法があることを忘れないでほしい。王の政治的な手段を甘く見てはいけない。」
チャリマン王は笑いながらも、その目には冷徹な意図があった。
「陛下…あなた…あなた…!!!!!」
風間伊佐は言葉が出ず、チャリマン王に抗議した。
「さあ、みんな、それぞれ自分の任務に戻りなさい。あ、理查德、あの死に神のような青い怪物が戻ってこないように、巡回を増やすように。」
チャリマン王は命じた。
「リジェス、お前は大きな怪我はしていないようだが、疲れているだろう。今日は休んで、勇者の儀式は明日行う。あの友よ、今日はゆっくり休んで、よく考えてみなさい。考えがまとまらないなら、いつでも私に相談しに来ていい。どうするかは君次第だが、選択を先延ばしにすることは簡単ではない。」
チャリマン王は言い終わると、王宮へと戻った。
「はい、ありがとうございます、陛下。」
リジェスは答えた。
「陛下……」
風間伊佐は呆然としながら、王が去っていく背中を見送った。
「勇者様、私があなたをお部屋までお送りいたします。」
騎士リチャードが言った。
「わかった……ところで、あなたは?」
風間伊佐は疲れた様子で尋ねた。
「おお、今まで勇者様にきちんと自己紹介していませんでしたね。私はアレクシス王国騎士団の団長、アーサー・リチャードです。」