第66章:軍営の朝
風間伊佐は仲間たちと焚き火を囲み、彼が用意した料理を味わいながら、笑い声が絶えないひとときを過ごしていた。夜の帳がゆっくりと降りていく中、風間伊佐は周囲の騎士たちを見渡した。彼らは出身も考え方も異なるが、ただ一つの信念――「より良い世界を築くこと」――のもとに集まっていた。
「さて、勇者殿。そろそろ明日の訓練に備えて戻りましょうか」シーヴィッドが声をかけた。
「うん、それじゃみんな、またね!また話そうね~!」
風間伊佐はケインのテントの皆に手を振って別れ、シーヴィッドと共に自分のテントへと戻っていった。
「あ〜〜〜〜……」風間伊佐は大きなあくびをしながらシーヴィッドの後をついて歩いた。
「勇者殿、今晩はお風呂に入られますか?」シーヴィッドが尋ねる。
一日中、軍の巡回や各地の領主・家臣との面会が続き、風間伊佐はさすがに疲れが溜まっていた。
「今日はいいや。すぐに寝たい気分だな」
「かしこまりました」
二人はやがて風間伊佐のテント前に到着。シーヴィッドは幕を上げ、彼を中へと通した。
「ありがとう、シーヴィッド。おやすみ」
風間伊佐はそう言って幕の中へと入っていった。寝台に体を預けると、外に立つシルエットが目に入った。
「シーヴィッド、君は休まないの?」
「見張りの騎士が交代に来るまで、ここで待機しております。」
「お疲れさま」
風間伊佐は彼にねぎらいの言葉をかけ、鎧と剣に視線をやった。
「明日も訓練があるし、早く休まないと……」
そう呟くと、彼は目を閉じ、夢の世界へと沈んでいった。
翌朝――
「勇者殿〜!勇者殿〜!そろそろお目覚めの時間です!」
「ん……?」
風間伊佐は眠そうに目を開けた。
「ああ、シーヴィッドか……おはよう……」
そう呟きながら再び目を閉じようとしたが――
「勇者殿!早く起きてください!朝食の後は訓練が待っております!」
シーヴィッドが半ば強引に風間伊佐を起こし、水盆を差し出した。
風間伊佐はまだ眠そうな目でタオルを取り、水に浸して絞り、顔を拭いた。
支度を終えると、二人は騎士団の中央にある食堂へと向かった。ちょうどケインたちも朝食中だった。
「おはようございます、勇者殿。昨夜はよく休めましたか?」ケインが尋ねる。
「まぁまぁかな。ちょっとベッドが硬いけど、思ったより快適だったよ」
「さぁ、ご一緒にどうぞ」
ケインは昨日風間伊佐が作った雑炊とパンを再現した朝食を差し出した。
風間伊佐は雑炊とパンを見つめた。パンはそれなりに良かったが、雑炊は粘り気が強く、昨日の薄切り肉とは違い、ゴロッとした肉塊が目立っていた。
「えっと……これ、誰が作ったの?」
「勇者殿、僕です!」と隣のジェイソンが手を挙げた。
「この肉は……?」
「風魔法が使えないので、包丁じゃなくて剣で切りました!あんなに薄くは切れませんでした、ごめんなさい〜!」
「このドロドロのは?」
「炒めてるときに、うっかりスープを入れすぎて、こんな感じに……えへへへ〜」
「……はぁ」
風間伊佐はため息をつきながら言った。
「ジェイソン、君の料理の腕は、もう少し修行が必要だね。今の時代の男は料理ができないとダメなんだよ。『女性の心を掴むには、まず胃袋から』って言うだろ?」
「はいっ!勇者殿の教え、肝に銘じます!」
純粋な笑顔のジェイソンと、手元の粘り気ある雑炊を見つめながら、風間伊佐は観念してスプーンを口に運んだ。味は水っぽく食感も悪かったが、何とか食べられるレベルだった。
食後、ケインたちに別れを告げた風間伊佐は、シーヴィッドとともに自分のテントに戻り、鎧を着せてもらった後、討伐軍の本営へと向かった。
「うぅ……この鎧、マジで重い……」と、歩きながら風間伊佐はぼやいた。
「勇者殿、それもまた訓練の一環でございます。少し歩けば慣れてまいりますよ」シーヴィッドが励ます。
「はぁ〜〜〜」「ふぅ〜〜〜」
訓練中の王国兵たちを見ながら、風間伊佐はつぶやいた。
「やっぱり、普通の兵士と騎士団では、装備からして全然違うな」
「もちろん、騎士団であれ一般の兵であれ、出自に関係なく陛下は人々の入隊を許しておられますが、騎士団に入るには試験に合格しなければなりません。そのため、騎士団の総合的な戦力は一般兵とは比べものになりません。」
「なるほどな……」
(確かに、騎士団と比べると、普通の兵士は身体能力も劣っているし、訓練の強度もあまり高くなさそうだ……)
本営のテントの前に着いた風間伊佐とシーヴィッドが佇んでいると、中から声が聞こえてきた――
「以上が現時点での軍の状況だ。それぞれ訓練に戻れ!」
「はっ!」
声とともに、中から各領主や家臣たちが続々と出てきた。彼らと軽く挨拶を交わすと、警備の兵士が中へ入り報告した。
「公爵様、勇者殿が外でお待ちです」
「通してくれ」
兵士が幕を開けた。
「どうぞ、勇者殿」
「ありがとう!」
風間伊佐は中に入ろうとしたが、ふとシーヴィッドがその場に立ったままであることに気づいた。
「シーヴィッド、入らないの?」
「付き人が入れるのは、特別な場合を除いて許可されておりません」
「そっか……じゃあ、ちょっと待っててね」
そう言って風間伊佐は本営の中へ入っていった。
「勇者殿、昨夜はよく眠れましたか?」とリチャード公爵が尋ねる。
「ええ、ぐっすりでしたよ」
「騎士団の食事を改善されたと聞きましたよ?」
「えっ?(もう噂になってるのか……)」
「勇者殿、もし可能であれば、その調理器具とレシピを軍全体に共有していただけませんか?食事の改善は士気に大きく影響します」
「ただ……数万人分の平底鍋を用意するのは時間がかかります。今すぐは難しいかと……」
「それは仕方ないですね。王都に申請して、大量生産ができるか検討してもらいましょう。勇者殿はその時にレシピだけ教えていただければ」
「それなら問題ありません」
「さて、本題に入りましょう。午前中は馬術の訓練をお願いします。午後は各部隊の連携訓練がありますが、馬術が未修得とのことなので、今回は不参加で構いません。代わりに、騎士団の副団長に参加させます」
「それと、午後には魔法部隊が合流予定です。指揮官はアリアン・レイフォート。彼女、あなたの弟子だとか?」
「えっ、アリアンか?」
風間伊佐は魔法部隊がアリアンの指揮だと聞くと、彼女の数々のふざけた行動を思い出し、魔法部隊について不安がよぎった。
「魔法部隊の対応をよろしくお願いします」
リチャード公爵の声に我へと返り――
「あっ、はい!任せてください!」
「助かります。では、馬場へ向かってください」
「了解です!」
そう言って風間伊佐は本営を後にした。
テントから出た風間伊佐に、シーヴィッドが尋ねた。
「何かご命令がありましたか?」
「とりあえず、馬術の訓練に行けってさ。それと……」
「それと?」
「そして午後は中二病患者の相手をしなければならないらしい!」
シーヴィッドは状況が飲み込めないまま、風間伊佐を連れて馬場へと向かった。
アリアン(Arian):
主人公と仲間:
風間 伊佐〔MAX〕
リック(Rick)
エマ(Emma)
レイチェル(Rachel)
世界・国家:
休ジェスト(ヒューゲスト)〔世界名〕
アレクス王国
王族・王宮関係者:
シャルルマン・ハンスウォーケン〔国王〕
エリザベート・ハンスウォーケン〔王女〕
ウォリック・ハンスウォーケン〔第一王子〕
ジフク・ハンスウォーケン〔第二王子〕
クリス・ハンスウォーケン〔第三王子〕
宮廷・騎士団関係:
リゼス・アンコベル〔首席女神官〕
アルドフ・ツァイコロフ〔宰相〕
アーサー・リチャード〔騎士団長〕
マイヤー・オギリテ〔騎士団副団長〕
アリアン・レフォルト〔魔法騎士団長〕
ジュリエット・ナスタント〔初級神官〕
ダンブズ・ホークランド〔前大賢者〕
イレス・ヴォジリット〔メイド〕
リチャード・ディオジット公爵〔東方領地領主〕
他国・神・魔族
東方帝国 ロールス
南方王国 シーク
中土王国 プシス
中土王国 ウランクス
シドレフ・グランシス〔プシス国王〕
魔族将軍 クラシド
魔族魔法将軍 シフィス
神:
光の神 エリクス(エリクス)
大地の神 ディートラ(ディートラ)




