「第59章:決闘――開幕!!!」
あっという間に、決闘当日がやってきた。
決闘の舞台は、騎士たちが日々汗を流す訓練場。
風間伊佐は、その訓練場へと続く長い回廊を、胸の鼓動を抑えるように息を整えながら、一歩一歩、確かな足取りで歩んでいた。
「はぁ……結局、団長には一度も勝てなかったな。ずっとボコボコだったし……。午後からのアリアンとの訓練も実戦形式になったけど、やっぱり勝てなかった……。……っていうか、アリアンって、れっきとした現役の魔法騎士団団長だもんな。そりゃ勝てるわけないか……」
中二病全開のアリアンの姿を思い出して、伊佐は小さくため息をついた。
やがて回廊を抜けて訓練場に足を踏み入れた瞬間、耳をつんざくような大歓声が伊佐を包み込んだ。
いつもは静まり返っているはずの訓練場が、今日は貴族たちでぎっしり埋まっている。
「ウォリック殿下、がんばってぇーー!!!」
「殿下! かっこよすぎる~~~っ!!」
「こっち向いてー! 殿下~~~っ!」
「キャーーッ! 今、殿下がこっち見たぁあああ! 無理、尊すぎて倒れる~~!」
「おい、大丈夫か!? ……うわっ、殿下が手、振ってくれたぁあああ!」
……なんだここ。完全にウォリック王子のファンクラブイベント会場じゃないか。
伊佐はその一方的な熱狂ぶりに肩を落とし、ぽつりとつぶやいた。
「……オレ、これ完全に当て馬じゃん……」
それでも気を取り直して中央へ進むと、すでに待機していたウォリック王子が、鋭い眼差しを向けてきた。
その視線だけで、圧がすごい。
「えーっと……その……殿下、どうかお手柔らかに~」
伊佐が乾いた笑みを浮かべながら声をかけると――
「怖いなら、さっさと棄権しろ。アレクスに、貴様のような“勇者”はいらん」
「うっ……」
その威圧感に、伊佐は思わず口をつぐんだ。
だがそのとき、背後から聞き慣れた声が響く。
「師匠っ! がんばってください! 絶対に勝てますっ!」
振り返ると、アリアンがゆっくりとこちらへ歩いてくるところだった。
「えっ!? アリアン!? なんでここに!?」
「この決闘の審判役は、私とアーサーです。そして、あなたたちが致命傷を負わないよう保護するのも、私たちの役目です」
その背後から、アーサーが現れる。
「では、私からルールを説明しよう」
アーサーは場の中央に進み出ると、場内に響き渡るような声で告げた。
「今回の決闘では、武器も魔法も一切制限なし。勝敗は、どちらかが降参するか、戦闘不能に陥った時点で決まる」
そう言いながら、アーサーはチラリと伊佐の方を睨んだ。
その目はまるで、「簡単に負けるなよ。これは“勇者”の名にかけた決闘なんだからな」と言っているようだった。
伊佐は引きつった笑みを返すしかなかった。
アーサーは続ける。
「試合中、我々ふたりが全体を監視している。どちらかが致命傷を負いかけたと判断した場合、その時点で試合を即座に中止し、戦闘不能と見なす。よろしいな?」
「了解!!!」
ウォリック王子と伊佐は、声を揃えて応えた。
その返事を聞くと、アーサーは高台に座るシャルルマン国王の方を向き、軽く一礼。
それに応じて、シャルルマンがゆっくりと立ち上がり、荘厳な声で演説を始めた。
「人族が文字を手にして以来、我らは魔族と共にこの世界に生きてきた。
互いに干渉せず、それぞれの道を歩んできた。だが、魔の大陸に邪王が現れ、世界を呑み込まんとする野望を抱いた。
すでに多くの魔族が邪王に従い、その勢力は人族の地にまで及びつつある」
「我らは神々の民。この世界が汚されるのを、黙って見ているわけにはいかぬ。
しかし、邪王の力は強大で、人族は劣勢を強いられている。
だからこそ、我らは古の神託に従い、異世界より“勇者”を召喚し、神聖なる力を託した。
勇者よ――どうか闇に抗い、再び人族の栄光を取り戻してくれ!」
「我が子ウォリック・ハンスウォーケンもまた、アレクス王家の血を継ぐ者として、この世界を導く宿命を背負って生まれた。
勇者と共に歩み、アレクスを光の未来へと導いてくれよう」
「ゆえに本日の決闘は、互いを理解し、切磋琢磨し、最強の矛と盾となるための儀式に他ならぬ!」
「光の神エリクスよ、我らアレクスを導きたまえ! 人族に、再び輝きを!」
「光の神エリクスよ、アレクスをお守りくださいっ!」
「シャルルマン陛下、万歳ーー!!」
「魔族を打ち倒せーー!!」
「ウォリック殿下ぁぁああ!!」
「勇者ぁあああ!!」
シャルルマンの演説が終わると同時に、会場の熱気は最高潮に達した。
シャルルマンが片手を挙げて合図を送ると、場内が一瞬にして静まり返る。
その中で、アーサーが再び大声で告げた。
「両者、構え――!」
風間伊佐とウォリック王子は、剣を抜き、互いに向かって構えを取る。
「決闘――開始ッ!!!!」
アリアン(Arian):
主人公と仲間:
風間 伊佐〔MAX〕
リック(Rick)
エマ(Emma)
レイチェル(Rachel)
世界・国家:
休ジェスト(ヒューゲスト)〔世界名〕
アレクス王国
王族・王宮関係者:
シャルルマン・ハンスウォーケン〔国王〕
エリザベート・ハンスウォーケン〔王女〕
ウォリック・ハンスウォーケン〔第一王子〕
ジフク・ハンスウォーケン〔第二王子〕
クリス・ハンスウォーケン〔第三王子〕
宮廷・騎士団関係:
リゼス・アンコベル〔首席女神官〕
アルドフ・ツァイコロフ〔宰相〕
アーサー・リチャード〔騎士団長〕
アリアン・レフォルト〔魔法騎士団長〕
ジュリエット・ナスタント〔初級神官〕
ダンブズ・ホークランド〔前大賢者〕
イレス・ヴォジリット〔メイド〕
他国・神・魔族
東方帝国 ロールス
南方王国 シーク
中土王国 プシス
中土王国 ウランクス
シドレフ・グランシス〔プシス国王〕
魔族将軍 クラシド
魔族魔法将軍 シフィス
神:
光の神 エリクス(エリクス)
大地の神 ディートラ(ディートラ)




