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平凡な者の異世界旅  作者: 悠遊之抽


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第57章:戦技覚醒(せんぎ かくせい)

対練スパーリングを始めてから、すでに数週間が経過した。

風間伊佐かざま いさの剣術はようやく“形”を成し始め、

今ではケンとの勝負でも、勝ち越すことのほうが多くなっていた。


「うわあああああッ!!」

地面に叩きつけられたケンが、情けない声を上げる。


「ふむ……勇者。どうやらケンは、もうお前の相手にはならんようだな」

アーサーが腕を組み、淡々と告げた。


「いや〜、まさか勇者様にここまで追いつかれるとは……まだ一ヶ月くらいしか経ってないのに、完全に逆転されちまったな」

ケンは地面に座り込み、後頭部をさすりながら苦笑する。


「そんなことないよ。ここまでこれたのは、ケンが根気強く付き合ってくれて、剣術の経験を惜しまず教えてくれたからだよ」

そう言いながら、伊佐は手を差し伸べ、ケンを立たせた。


「うん……俺のアドバイスをちゃんと噛み砕いて、自分のものにしたってことだな」

アーサーが感心したようにうなずく。


「はい。毎晩、ケンとの対練を振り返って、どう動けばよかったか、違う技で来られたらどう対処するか──いろんなパターンをイメージしてました」


「そう、それが“戦技”を磨く第一歩だ。“戦技”は魔法と同じ。考えて、試して、咀嚼して、ようやく自分のものになる」


アーサーはケンのほうを見て、

「ケン、お前も勇者を見習うといい」

と、少し皮肉交じりに言った。


「いや〜、俺はそういう頭使うの苦手なんだよな〜」

ケンは肩をすくめ、照れ笑いでごまかす。


「よし、じゃあケンは他の者と組め。これからは勇者と二人でやる」

「了解ッス! じゃ、勇者様、また今度よろしくッス!」


「うん、またね!」


ケンはぴしっと敬礼すると、他の訓練生のもとへと向かっていった。


アーサーは伊佐のほうへ向き直り、

「さて、勇者。お前の剣術もようやく土台ができた。ここからは“戦技”の本格的な修練に入るぞ」

と真剣な口調で言った。


「はいっ!」


「“戦技”とは一言で言えば、魔法と技を融合させるものだ。──初日にお前が木剣に水属性を付与していたのを覚えているか? あれは剣技と魔法が分離していて、見た目は派手でも、実戦では使いものにならなかった」


「本物の“戦技”とは、“人剣一体じんけんいったい”。剣はお前の意志そのものだ。魔法を付与するときは、剣を自分の身体の一部だと思え。魔力の流れを感じながら、一体化するんだ。そうすることで、技は滑らかになり、威力も跳ね上がる」


「──では、これまでの訓練の成果を見せてみよ。最初の日に使った水属性の技を、今の実力で再現してみせろ」


「はいっ!」


アーサーの言葉にうなずき、伊佐は静かに目を閉じた。

心の中で、唱える──

人剣一体……人剣一体……


次の瞬間、体の奥底で水のような魔力のうねりが生まれ、

それが一気に剣へと集まっていくのを感じた。


「〇の呼吸・《水〇斬》!」


叫びとともに木剣が水流に包まれ、

伊佐は一気に斬りかかった──!


その一撃は、以前とは比べ物にならないほど滑らかで、力強い。

空間に残る水の残滓には、魔力の気配さえ漂っていた。


「どうだ? 最初のときとは、感覚がまるで違うだろう」

アーサーが歩み寄り、口を開いた。


「はい……力の伝わり方がまったく違います。滑らかさも、威力も、それに──」


「“一体感”がある、だろう? それが“人剣一体”だ。ただ魔法をくっつけるんじゃない。お前自身の意志を、剣に流し込むんだ」


「さらに、魔力の流れを体の中でもイメージできるようになると──肉体そのものが強化される。力も速度も、跳ね上がる。それを“身体強化”と呼ぶ」


「身体強化……ですか?」


「ああ。団内の者すべてが魔法を使えるわけではない。だからこそ、“戦技”を使える者は限られている。多くの者は“身体強化”で戦っているのだ」


「戦技って、誰でも習得できるわけじゃないんですね……」


「そうだ。人族は魔法に頼って生きているが、戦闘魔法の才能を持つ者はごく一部。“身体強化”すら、万人向けではない」


伊佐が何かを言いかけたとき、アーサーが先に言った。


「勇者、お前が今考えていることはわかる。『どうして世界はこんなにも不公平なんだ』──そう思っているんだろう?」


「だが、最初に言ったとおりだ。世界は不公平だ。だが同時に、慈悲深くもある」


「騎士になれぬ者にも、彼らの居場所がある。

火の魔法が使えれば、鍛冶や料理に。

水があれば、農業や水路の管理に。

風ならば、猟師や斥候として」


「彼らは魔法で戦えずとも、自分の役割で輝いている。

そして我々は──彼らを守る盾であり、矛なのだ」


「……団長、ありがとうございます。危うくまた、無駄に自己嫌悪に陥るところでした……」

伊佐は静かに目を閉じ、体内に流れる魔力を感じた。

すると──筋肉が膨張し、体が軽く、そして力に満ちる。


「〇の呼吸・《水〇斬》ッ!」


その一撃は、さきほどよりもさらに鋭く、速く、強くなっていた。


「うむ、その調子だ、勇者。これからは、新たな“戦技”の開発にも挑戦していこう」

アーサーは満足げにうなずいた。


「はいっ!」


──午前中の修練は、あっという間に過ぎ去っていった。


昼食はチャリマン王一家と共にとり、午後──

伊佐はアリアンに「今日は一日中、戦技の修行に集中したい」と申し出た。


筋肉の記憶が消えないうちに、感覚を体に刻み込んでおきたかったのだ。


「……この戦闘バカ……私の、大事な師匠との魔法修行の時間があぁぁぁぁああッ!!」

当然ながら、魔法狂にして伊佐オタクのアリアンは大号泣。


伊佐は彼女を説得するのに、かなり苦労する羽目になったのだった──。

アリアン(Arian):


主人公と仲間:

風間かざま 伊佐いさ〔MAX〕

リック(Rick)

エマ(Emma)

レイチェル(Rachel)



世界・国家:

休ジェスト(ヒューゲスト)〔世界名〕

アレクス王国アレクス



王族・王宮関係者:

シャルルマン・ハンスウォーケン〔国王〕

エリザベート・ハンスウォーケン〔王女〕

ウォリック・ハンスウォーケン〔第一王子〕

ジフク・ハンスウォーケン〔第二王子〕

クリス・ハンスウォーケン〔第三王子〕



宮廷・騎士団関係:

リゼス・アンコベル〔首席女神官〕

アルドフ・ツァイコロフ〔宰相〕

アーサー・リチャード〔騎士団長〕

アリアン・レフォルト〔魔法騎士団長〕

ジュリエット・ナスタント〔初級神官〕

ダンブズ・ホークランド〔前大賢者〕

イレス・ヴォジリット〔メイド〕



他国・神・魔族

東方帝国 ロールス

南方王国 シーク

中土王国 プシス

中土王国 ウランクス

シドレフ・グランシス〔プシス国王〕

魔族将軍 クラシド

魔族魔法将軍 シフィス



神:

光の神 エリクス(エリクス)

大地の神 ディートラ(ディートラ)




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