第51章:決闘の風が鳴る
(一度は前線に行けと言われ、一度は王子との決闘……陛下は本当に話がコロコロ変わるな……)
風間伊佐はため息をつきながら、自室へと戻り、心の中で愚痴をこぼしていた。
「勇者様、お帰りなさいませ」
部屋の扉を開けた瞬間、イレースが出迎えるように立っていた。
「おう、イレースか。ただいま」
そう返事をすると、伊佐はそのままベッドに向かい、バタンと横になった。
「決闘か……」
天井を見上げながら、ぽつりと呟く。
「イレース、第一王子のウォリックって、どんな人物なんだ?」
ふと思い出したように、伊佐は問いかけた。
「ウォリック殿下は王族としての学びにも励んでおられますし、魔法も戦技も非常に優秀です。シャルルマーニュ陛下や大臣方からの信頼も厚いお方ですよ」
「なるほどな……」
(ま、決闘とかどうでもいいか……船頭が橋に着けば何とかなる、だろ。まだ何ヶ月か先の話だし、それまでに考えよう)
そう思いながら、伊佐はゆっくりとまぶたを閉じ、深い眠りに落ちていった。
◆ 夜の王宮庭園 ◆
「はっ——!」
夜の帳が下り、月明かりが静かな庭園を照らす中、一人の人影が黙々と剣を振っていた。
その人物こそ、第一王子ウォリックである。
彼は木剣を握りしめ、汗を流しながら、ただ一人黙々と訓練に励んでいた。
「アレクシス王国の第一王子として、誰にも負けるわけにはいかない……特に、空から降ってきたくせに頼りないあの勇者には……」
木剣を振るうたびに、ウォリックの心の中で闘志が燃え上がる。
夜風が庭園を優しく撫でる中、彼の瞳には、不屈の炎が宿っていた。
それはまさに、“光の獅子”の血を引く者としての誇りだった。
翌朝———
「ん〜〜〜っ」
伊佐は伸びをしながらベッドから起き上がり、窓の外に目をやった。
ドンッ!!
突如、部屋の扉が蹴破られる音がした。
「……訓練、行く。準備して」
アリアンが無表情で立っていた。朝からまるで感情を見せないが、その瞳には確かな闘志が宿っている。
「うわっ!?……もうちょっと静かに入ってきてくれ……ノックって知ってる?」
「……うん」
「勇者様、陛下が食堂にてお待ちです」
今度は扉の外からイレースの声が聞こえた。
「了解。……アリアン、先に準備しててくれ。朝食終わったら合流する」
アリアンはコクンと小さくうなずき、音もなくその場から立ち去った。
王宮の朝食の席では、料理長たちが丹精込めて作った朝食を、皆が楽しげに味わいながら談笑していた。
だが、その中でウォリック王子だけは一言も発せず、静かに食事を終えると、無言で席を立った。
その後、伊佐は中庭でアリアンと合流し、二人で訓練のため城外の河川へと飛んで向かっていた。
途中、伊佐はふと尋ねた。
「団長……いや、アリアン。ウォリックの魔法って、どれくらい強いんだ?」
「……優秀。でも、師匠には届かない」
短く、しかし明確な返答だった。伊佐は空を飛びながら、どこか考え込むような顔をしていた。
その頃、王都では大臣たちが早朝の政務に向かう途中で———
「なあ、聞いたか? 勇者とウォリック王子が決闘するらしいぞ。しかも、陛下の承認付きだってよ!」
「マジか!?じゃあ俺、勇者に百金貨賭ける!新しい魔法を自分で編み出したらしいしな!」
「バカ言うな!ウォリック殿下は幼い頃から王族の英才教育を受けてるんだぞ?しかもあの“光の獅子”シャルルマーニュ陛下の血を引いてる!勝つのは殿下に決まってるだろ!俺は五十金貨!」
「おいおい、俺は百金貨だぞ!?そこはせめて揃えろよ!」
「しょうがねぇだろ……女房にバレたらまたガミガミ言われる……」
「お前、完全に尻に敷かれてんな……」
その大臣たちのやりとりを、少し離れた場所でじっと見つめる一人の男がいた。
灰色のローブを身に纏い、フードで顔を隠したその不気味な男は、口元をわずかに歪め、薄気味悪い笑みを浮かべていた。
「決闘……いい機会だ。勇者の力量、見せてもらおうか」
そしてその男は、まるで霧のようにスッと消え、その場にはゆらめく残像だけが残された——。
アリアン(Arian):
主人公と仲間:
風間 伊佐〔MAX〕
リック(Rick)
エマ(Emma)
レイチェル(Rachel)
世界・国家:
休ジェスト(ヒューゲスト)〔世界名〕
アレクス王国
王族・王宮関係者:
シャルルマン・ハンスウォーケン〔国王〕
エリザベート・ハンスウォーケン〔王女〕
ウォリック・ハンスウォーケン〔第一王子〕
ジフク・ハンスウォーケン〔第二王子〕
クリス・ハンスウォーケン〔第三王子〕
宮廷・騎士団関係:
リゼス・アンコベル〔首席女神官〕
アルドフ・ツァイコロフ〔宰相〕
アーサー・リチャード〔騎士団長〕
アリアン・レフォルト〔魔法騎士団長〕
ジュリエット・ナスタント〔初級神官〕
ダンブズ・ホークランド〔前大賢者〕
イレス・ヴォジリット〔メイド〕
他国・神・魔族
東方帝国 ロールス
南方王国 シーク
中土王国 プシス
中土王国 ウランクス
シドレフ・グランシス〔プシス国王〕
魔族将軍 クラシド
魔族魔法将軍 シフィス
神:
光の神 エリクス(エリクス)
大地の神 ディートラ(ディートラ)




