第50章:突如として — 勇者と王子の決闘の約束
「戦闘だって……!?」
チャリマン王の突然の言葉に、風間伊佐は思わず固まった。つい先ほどまで、魔法を習得できた喜びに浸っていた伊佐だったが、「戦場」「魔族」といった言葉を耳にした瞬間、あの日、勇者の儀式の最中に現れた青い魔族の姿が脳裏をよぎり、恐怖に包まれたその記憶が彼の表情を凍りつかせ、顔から血の気が引いた。
その異変にすぐ気づいたチャリマン王は、優しく言った。
「安心しろ。今回の主攻はロルス帝国だ。うちは前線を少し押し上げて、基地を設けるだけだ」
「それに、今回が初陣なのだから、お前をいきなり前線に出すような無茶はさせん。経験を積む程度の配置にするつもりだ」
「軍の中でも比較的安全な場所に配置し、しっかり護衛もつける。これは約束する」
チャリマン王が強く言い切ったその時――
「父上! そのご判断、臣は到底納得できません!!」
立ち上がったのは、ウォリック王子だった。
「勇者であるならば、先陣を切って兵を率い、魔族と戦うべきでは!? 安全な場所にいて何が勇者ですか!!」
「黙れ、ウォリック!」
チャリマン王が鋭い声で制した。
「お前はまだ魔族と戦ったことがない。その恐ろしさを知らんのだ。ましてやこれは勇者の初陣。実戦経験もない者を前線に送って命を落とされたら、それこそアレス王国だけでなく、人類全体の損失だ!!」
「で、でも……!」
それでも反論しようとするウォリック王子だったが――
「もういい。話は終わりだ!!!!」
チャリマン王は断固たる口調でそれ以上の発言を封じた。
「……ならば、せめて私を戦場に行かせてください! 父上のように、人族を守る盾になりたいのです!!」
沈黙が数秒流れ――
「お前には、まだ力が足りん」
チャリマン王は静かに言った。
「今すべきことは、王族としての課程をしっかり修めることだ。戦場のことは、それが済んでからだ」
「父上! なぜアレスに来たばかりの勇者は戦場に行けて、私は行けないのですか!? 私は王族の血を引き、十年以上訓練を積んできたのに!!」
「……そうか」
チャリマン王は少し間を置いて言った。
「ではこうしよう。開戦前にお前とマックスに模擬戦をさせる。もしお前がマックスに勝てたら、戦場に出すことを認めよう」
「ありがとうございます、父上!」
ウォリック王子は喜びをあらわに礼を述べると、くるりと伊佐の方に向き直り、指をさして叫んだ。
「勇者よ! 覚悟しておけ! 私は決して貴様には負けん!!!!」
そう叫ぶと、ウォリック王子は背を向けてその場を立ち去った。
「……え?」
伊佐はぽかんと口を開けたまま、状況が理解できていなかった。
(え? えええ!? なにこれ!? 俺、なんにもしてないのに……なにこの流れ!?)
心の中で思わず全力ツッコミを入れる伊佐。
「はは……というわけで、吾友よ。その日が来たら、どうか手加減してやってくれ」
チャリマン王が苦笑混じりに伊佐へ向けて言った。
「ま、待ってくださいってば! ちょっとしか魔法覚えてない俺が戦場とか、決闘とか、無理に決まってるじゃないですか!?」
「大丈夫だ、安心しろ」
チャリマン王は頼もしげに笑うと続けた。
「さっきアリアンの報告を聞いた。お前は五属性をすべて習得し、さらには独自の魔法まで編み出したそうだ。アリアンが“師匠”呼ばわりするほどの出来だぞ。数ヶ月後には、相当な実力になっているはずだ!」
(……あの二重人格団長、陛下の前でまた余計なこと言ったな……)
伊佐は心の中でジト目になっていた。
「勇者様と兄上の決闘、楽しみです〜♪」
ジフク王子がにこにこと笑いながら言う。
「けっとう〜!」
クリス王子が可愛い声で真似した。
「お兄様と勇者様……どっちを応援すればいいの〜!?」
エリザベートは顔を真っ赤にして頭を抱えていた。
(……なんか、話がとんでもない方向に向かってないか?)
伊佐はただただ困惑するしかなかった。
アリアン(Arian):
主人公と仲間:
風間 伊佐〔MAX〕
リック(Rick)
エマ(Emma)
レイチェル(Rachel)
世界・国家:
休ジェスト(ヒューゲスト)〔世界名〕
アレクス王国
王族・王宮関係者:
シャルルマン・ハンスウォーケン〔国王〕
エリザベート・ハンスウォーケン〔王女〕
ウォリック・ハンスウォーケン〔第一王子〕
ジフク・ハンスウォーケン〔第二王子〕
クリス・ハンスウォーケン〔第三王子〕
宮廷・騎士団関係:
リゼス・アンコベル〔首席女神官〕
アルドフ・ツァイコロフ〔宰相〕
アーサー・リチャード〔騎士団長〕
アリアン・レフォルト〔魔法騎士団長〕
ジュリエット・ナスタント〔初級神官〕
ダンブズ・ホークランド〔前大賢者〕
イレス・ヴォジリット〔メイド〕
他国・神・魔族
東方帝国 ロールス
南方王国 シーク
中土王国 プシス
中土王国 ウランクス
シドレフ・グランシス〔プシス国王〕
魔族将軍 クラシド
魔族魔法将軍 シフィス
神:
光の神 エリクス(エリクス)
大地の神 ディートラ(ディートラ)




