第49章:光と闇の魔法②
「魔女と……邪悪な者たち!?」風間伊佐は首を傾げた。
「そうよ! 今や各国では闇属性魔法に関する研究資料はほとんど残っておらず、記録があるのは歴史の中だけなの。かつて、ある者たちが闇魔法を使って悪魔を召喚し、世界を混乱に陥れたことがあったわ。」
「その後、魔族も闇魔法を使うようになったの。人間たちは、魔族が闇属性魔法を使えると知ってから、次第に『魔族=かつて闇魔法を操っていた者たちが変化した存在』という印象を持つようになっていったの。」
「闇魔法を使っていた魔法使いたちは人々に追われ、魔族の森へと逃げ込んだ。そして時が経つにつれ、闇の力に取り込まれていき、最終的には悪魔のような姿へと変わっていったのよ。」
アリアンが淡々と語った。
「じゃあ、どうして光と闇が相反するってわかったの!?」風間伊佐は身を乗り出して聞いた。
「魔族との戦争の中で、次第にその性質が明らかになったのよ。光と闇は相互に打ち消し合う。属性の優劣はなく、すべては魔法使いの魔力量と制御力にかかってるの」
「なるほど……」風間伊佐は感心したように頷いた。
「師匠……どうか、この禁忌の魔法には手を出さないでください。もし勇者の力が穢れに侵されれば……その先は、想像したくありません」アリアンは真剣な眼差しで伊佐を見つめた。
「え、あ、はい……」風間伊佐は突然の緊張感に戸惑いながらも頷いた。
「よ〜し、それじゃあ帰りましょうか〜♪」アリアンは一転、明るい声で言った。
「行こう……(……やっぱ団長、二重人格だろ)」
帰路、風間伊佐とアリアンは風魔法を使って王都へと飛んで帰った。朝の転落未遂がトラウマになっていた伊佐は、今回は速度をかなり抑えていた。
王都に到着し、平民街を越えたところで、伊佐はアリアンと別れて自分の部屋へ向かっていた。すると、ちょうど授業を終えたエリザベートが下から手を振っているのが見えた。
伊佐は途中で飛行を止めてエリザベートの誘いを受け、一緒に王宮で食事をすることにした。
食卓の席順は昨日と同じだった。チャリマン王、王妃、エリザベートと三人の王子たちが揃っていた。
ウォリック王子の態度は今日も相変わらず冷たいものだったが、今日は何も言ってこなかった。
「今日も来たな。だったらいっそ、これから毎回一緒に食べようぜ、相棒!」チャリマン王は笑顔で言った。
「それは……」風間伊佐がどう返せばいいか悩んでいると、冷たい視線が突き刺さった。ウォリック王子が鋭く睨んでいた。
「ぼくは賛成だよ、勇者も一緒に食べよう〜」ジフク王子がにこやかに言った。
そのとき、クリス王子が椅子から降り、伊佐のそばへ駆け寄って、彼の服の袖を引っ張った。
「ゆうしゃ……いっしょに、ごはん……」
その愛らしい表情に、伊佐は思わず口を開いた。
「うん……」
「やった〜!!」クリス王子は両手を上げて喜んだ。
「クリス、もう席に戻りなさいね」王妃が優しく声をかけた。
クリス王子は素直に頷き、自分の席に戻っていった。
(ああ……俺、娘派だけど……もし息子がクリス王子みたいに素直で可愛かったら、それもアリかもな……)風間伊佐は心の中で頬を緩ませた。
「よし、それじゃあ決まりだな! ウォリック、お前は何か異論あるか?」チャリマン王が尋ねた。
「……」
ウォリック王子は黙って食事を続けていた。
「まぁいいさ。というわけで、これからは朝昼晩、全部うちで食えよ、相棒〜!」チャリマン王は上機嫌に笑った。
「ところで、今日の魔法訓練はどうだった?」
「まあ、ぼちぼちですね。四つの基本属性、火・水・風・土と、あと光属性もだいたい使えるようになりました」
「おお〜! さすが勇者! 普通の人間が最初の魔法一つ覚えるだけでも一週間はかかるのに、たった一日で全部!?」チャリマン王は目を丸くした。
「いえいえ、そんな……運が良かっただけですよ〜」伊佐は照れながら笑った。
「この調子なら、すぐにでも戦場に立てそうだな」チャリマン王が期待を込めて言った。
「……戦場!?」風間伊佐は驚きの声を上げた。
「ああ。最近、各国が新たな魔族への攻勢を準備しているんだ」チャリマン王は静かに語った。




