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平凡な者の異世界旅  作者: 悠遊之抽


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第47章:魔法初体験②

前章の続き――

「螺〇丸ーーーーっっっ!!!」


風間伊佐が叫ぶや否や、樹の幹めがけて突進した!

その一撃が炸裂すると、なんと大樹が真っ二つに折れた!


「おおおおおお……」

アリアンは無表情のまま、静かに拍手を送る。


「ふんっ」

伊佐は立ち上がって、肩の埃を払いつつ得意げに鼻を鳴らした。

(男ってのは、いくつになっても少年なんだよな……まさかこの歳で中二魂を解放できるとは……最高だぜ!!!)


「勇者!!今の技、なんなの!!?」

アリアンが目を輝かせながら、伊佐の元へ駆け寄ってくる。


「ふふん、それはな……某国・〇影村の主人公、渦〇ナルトの秘奥義――!」


胸を張って堂々と語る伊佐。


「勇者!!教えて!!昔の魔法は遠距離攻撃ばっかでさ、近接戦闘に弱かったの。あの技、習得できたら、きっと戦闘の幅が広がるよ!」

アリアンがキラキラした目で懇願してくる。


「うーん……」


「師匠っ!!お願いしますっ!!」

急に土下座の勢いで、アリアンが地面に額を擦りつける。


「わ、わかった!まずは起きて!な、団長、やめて……」


「“螺〇丸”ってのは、まず手のひらにチャ〇クラ……つまり風を集中させるんだ。それを球状に保ちながら、内部の空気を高速回転させる。で、ターゲットに向かってブチ込む!」


伊佐は真剣な表情で解説する。


「こう……かな?」

アリアンもさっそく手のひらに風を集め、風球を作り始めた。

だが、伊佐のものと比べると形が不安定で、ところどころ風が漏れ出ている。


「忍法ッ!螺〇丸ッ!!」

アリアンが叫びながら樹に打ち込むと、樹皮に大きな傷は残ったが、幹は折れなかった。


「師匠!なんで私の“忍法・螺〇丸”はそんなに威力が出ないの!?」


「うーん、それはだな……風球の形が安定してないのと、内部の風の回転がまだ足りないんだ!」


「じゃあ、コツってあるの!?」


「うむ……まずはビニールボールを用意しろ。それを破裂させるくらい風を詰めてから、次は破裂させずに中に風球を形成してみろ」


「了解です!師匠!!」

「破裂……ボール内部……破裂……ボール内部……」

アリアンはブツブツと伊佐のアドバイスを復唱し始めた。


「なあ……団長……?」


数分経っても呟き続けるアリアンに、伊佐が声をかける。


「師匠!アリアンって呼んでください!!」

瞳をキラキラさせながら訴えてくるアリアン。


「え、えーっと……アリアン団長?」


「師匠!アリアンって呼んでください!!」


「わ、わかったよ……アリアン?」


「はいっ、師匠!!どうしたの!?何か教えて!!」

まるで忠犬のように目を輝かせてくる。


「いや、その……そろそろ魔法の練習、続けてもいい……?」


「はっ!?弟子の私が師匠に命令するなど、恐れ多い!!」


(えっ、えぇ……この人、多重人格とかじゃないよな……)


「師匠、もう一度“風球術”を見せてください」


「お、おう……」

(なんで敬語になってんの……)


伊佐は再び手を上げ、風球術を発動する。


「うむ。師匠、その発動には約1分かかってます。次は、イメージしながら“風の魔法――《風球術》”と唱えてみてください」


「風の魔法――《風球術》!」

伊佐は言われた通り、咒文を口にしながら魔法を使う。


「どうですか!?師匠!」


「うーん……特に何も……」


「では、もう数回練習してみましょう!」


「おう!!!!」


伊佐はアリアンの指導のもと、何十回も風球を発射した。

そのうち、彼はふと気づいた。


「……魔法の発動がだんだん早くなってきてる……想像にかける集中力も減ってるな」


「さすがは師匠!魔法の本質は“意識”です。知識と同じで、慣れてくれば反射的に使えるようになります」 「そして、咒文は詩の朗読のように、記憶を引き出す手助けをしてくれるのです。熟練すれば、咒文も短くなり、やがて不要になります」


「なるほど……」

伊佐は感心して頷いた。


「でもやっぱり、師匠の“ハァッ!”って掛け声……威力増してる気がします!」

アリアンが真顔で叫んでみせる。


(お前、さっきまで俺の叫びを変だって言ってたじゃん……)


「じゃあ、次は水属性の練習をしようか」


「はい!基本属性は、ひとつを習得すれば他も使えるようになります。四属性は生活に密接しているので、"感じ取れさえすれば"使いこなせます」


「師匠、水をイメージして、水球を作ってみてください!」


アリアンの指導を聞き終えると、伊佐は即座にコツをつかみ、掌の前に水球を形成する。


「ハァッ!!」

その声と同時に、水球が一気に発射され、数本の大樹を貫通した!


「おおおおおおお!さすが師匠!!やっぱ“ハァッ!”は必要です!!」

アリアンはまたも真似して叫んだ。


(……なんか、師匠って呼ばれるようになってから団長のテンション上がってないか……)


そして伊佐の脳裏に、また妙なアイディアが閃いた。


「水遁――!水〇弾っ!!」


そう叫んだ途端、川面が激しく渦を巻き、巨大な水龍が水中から飛び出す!

そのまま林の中へ突進し、数十本の木をなぎ倒していった。


「師匠っ!!その技、超かっこいいっ!!!教えてぇぇぇ!!!!」

アリアンが、またも伊佐に詰め寄るのであった――。



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