表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な者の異世界旅  作者: 悠遊之抽


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/112

第44章:真・サービスシーン

「ヒシャシャ シャシャ One Two Three ノォ〜〜〜〜!」

シャルルマンが意味不明なメロディーを口ずさみながら、風間伊佐の背中をゴシゴシと洗っていた。


「ん……この感覚、なんとも言えないな……」

伊佐は内心、ちょっと複雑な思いを抱えていた。


「マックス、お主、なかなか良い体つきをしておるな。筋肉のラインがはっきりしておる。ちゃんと鍛えておる身体じゃな」

シャルルマンはうなずきながら褒める。


「それは当然でしょ。うちの団は演武会の準備があるから、練習のたびに体力トレーニングもしっかりやってるんだ。体力ないと持たないしね」

伊佐はちょっぴり誇らしげに心の中でつぶやいた。


「とはいえ、我が筋肉にはまだまだ及ばぬな。この境地に至るには、あと数年は修行が必要ぞ!!!!!ハハハハハ!」

シャルルマンは大声で笑いながら、ふんぞり返る。


「……このおっさん、筋肉フェチなんじゃないのか= =」

伊佐は心の中でツッコミを入れた。


「ダンプスのこと、アリアンから聞いたであろう」

シャルルマンの声がふいに真剣になり、場の空気が引き締まる。


「うん……」


「ダンプスはのう、部下というより、もはや家族のような存在じゃ。わしが物心つく頃には、すでに傍らにいて、ずっと支えてくれておった」

懐かしむようにシャルルマンは語った。


「冗談ばかり言ってはいたが、大事な局面では一切ブレることなく、常に頼れる男だった。どんな危機にも、真っ先に立ち向かう男じゃった」


「今でも時折思うのだ……あの時、犠牲になったのがあやつでなく、この我であったなら……と」


「陛下……」


「正直言って、アレクシスがここまで繁栄できたのは、わしの才覚ゆえではない。全ては部下たちの力ゆえじゃ。軍を預ければ百戦錬磨、政を任せれば国は整い、経済を託せば繁栄がもたらされた。わしはただ、その王座に座り、印を押していただけにすぎん」


「ダンプスとて、ただの魔法騎士団長などではなかった。あやつの力があったからこそ、魔族を退けることができたのじゃ」


「だからこそ、もし犠牲になるのがわしだったなら……王位を息子に譲っておれば、アレクシスは今も問題なく続いておったかもしれぬ」

シャルルマンは悔しそうに口を結んだ。


「陛下、それをおっしゃったら、先代の大賢者の想いを無にすることになりますよ」

伊佐はまっすぐに言葉を返した。


「王にすべての能力が備わっている必要はないし、何もかも自ら手を下す必要もありません。陛下、王として一番大切なのは何だと思いますか?」


「ふむ……なんじゃろうな……」

シャルルマンはしばし思案する。


「私は“リーダーシップ”だと思います」

伊佐は力強く言った。


「リーダーシップ、か?」


「そうです。どれほど優れた才能も、それを見出し、信頼し、力を与えられる存在がいなければ、ただの埋もれた原石に過ぎません」


「そして何より、大勢の才ある者たちに“この人のために尽くしたい”と思わせる人格的な魅力が必要です」


「陛下、私は信じています。ダンプス様は、陛下がご存命である限り、希望は決して潰えないと信じていたはずです。彼がいなくなっても、陛下がいるかぎり、アレクシスを導くことができると――だから、優秀な人材は再び陛下の元に集い、王国はさらに栄えると!」


「ですから……どうかご自分を卑下しないでください。ダンプス様が託したその想いを胸に、陛下はアレクシスを導き続けるべきなのです!!!!!!」

伊佐は強く、確信を持って語った。


「……そうか。わしが少々、視野狭窄になっておったようじゃな」

シャルルマンはふっと笑った。


「過去に囚われるとは、王にあるまじきことよ……伊佐よ、お主の言葉、まさに金言じゃ!宝に勝る価値があるわ!ハハハハハ!」


「……陛下、元気になってくれて何よりです」

伊佐は心の中で、そっと安堵の息をついた。


「さて、背中も流し終えたし、もう一度湯に浸かってこようかの!」

シャルルマンはそう言って、元気よく立ち上がる――


――その瞬間、シャルルマンの“覇王の竜”が伊佐の顔面スレスレに!


「いやいやいやいやっ!近い近い近い!陛下、こっち来ないでぇぇぇぇっ!!!!!!!!!!」

伊佐の絶叫が浴場に響き渡った。


入浴を終えて、風呂場を出ると――


「うんうん、まさか風魔法がドライヤー代わりになるとはな。便利なもんじゃ」

シャルルマンは風魔法で伊佐の髪を乾かしながら、楽しげに言った。


「……あら〜〜」


「勇者さまぁっっっ!!!」

向かいから歩いてきたのは、湯上がりの王妃とイリザベートだった。


二人はゆったりとした浴衣姿で、鎖骨があらわになり、肌にはまだ水気が残っている。その布地が身体にぴたりと貼りついて――


伊佐の脳内、完全石化。


「その……」

王妃が何かを言いかけたそのとき――


「おのれっっっ……」

背後からシャルルマンの怒りがにじみ出た声が。


「ワシの嫁と娘を、そんな目で見るなぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!!」

ドガッ!


シャルルマンの拳が伊佐の顔面を直撃し――次の瞬間、彼が目を覚ましたのは自室のベッドだった。


意識がぼんやりとする中、かすかに王妃がシャルルマンを怒鳴る声と、イリザベートが彼を必死に呼びかける声が聞こえていた――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ