表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な者の異世界旅  作者: 悠遊之抽


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/112

第15章:使命(しめい)

「――異界の者よ」


「な、なんだ!?」

風間伊佐は目を見開いた。視界いっぱいに広がるのは、ただただ眩い光。そこには物も影もなく、ただ前方にぼんやりと人のような形をした存在が立っていた。


「お前は誰だ!? もしかして……光の神か!?」


「違う。いわゆる神とされる存在たちは、太古の昔にこの世を離れている。

だが、後の時代には彼らと接触した者もいた。神跡を使い、人族を繁栄へと導いた者たちがな」


「じゃあ……お前も神跡を得た人間なのか?」


「私か? まあ……“神に少しだけ目をかけられた存在”ってところだ。ははは」


「うーん、言ってる言葉はわかるのに、ぜんぜん意味が頭に入ってこないんだけど……」


「気にするな。知らなくても、お前が現世で生きるには困らないことばかりだ」


「は!? じゃあ、なんで出てきたんだよ!? 勇者としての使命とか、そういうの言いに来たんじゃないのか!?」


「……使命など存在しない。

正直、勇者は“選ばれし者”ではなく、単なる“偶然の産物”だ」


「ええ!? じゃああんなに信じてた人たちは、ただの空回りじゃん!」


「ふふ、そう言われても仕方ないな」


「なにそれ……」


「人の信仰とは複雑なものだ。

未知を恐れ、痛みを抱え、苦しみの中で縋るように信じる。

理性的に見れば不合理だが――信仰の力は絶大だ。

旧世界が滅んだのも、その信仰が崩れ、人々が欲望のまま争い始めたのが一因だった」


「えーと、すみません先生? 何言ってるか難しすぎて……」


「心配はいらん。これらは過去の話。

旧世界と現世界のつながりを知りたければ、遺跡を巡るといい」


「いや、いきなり言われてもさ……」


「とにかく、今はお前に伝えておきたいことがある。時間がないから、よく聞け」


「一つ、弱さを知る者こそ、強さの本当の意味がわかる。

二つ、知恵は力なり――その価値は、千年経とうが万年経とうが揺るがない。

三つ、他人に盲従するな。行動の指針は常に、自らの心で決めろ。

四つ、人族は人類にあらず。現世の人族は、旧世の人類よりもはるかに野蛮だ」


「ちょっ……マジで全部よくわかんないんだけど!?」


「それでいい。今はただ、覚えておけばいい。

これからの旅の中で、自分自身の答えを見つけ、

お前だけの物語を築けばいい」


「ちょっと質問しても……」


「残念だが、時間切れだ」


「えっ……じゃあ、また会える?」


「お前が“人類の英雄”になれたなら、あるいはな。

期待しているぞ、異界の勇者よ」


「いや、“さらに古き時代の……”だろ……」


──


「勇者様っ! 勇者様っ!」


風間伊佐は、重く閉じていたまぶたをなんとか開いた。

目に映ったのは、泣きはらした顔でこちらを覗き込むイリザベスだった。


「よかった……! 勇者様が目を覚ましたわ!

誰か! 早く、父上を呼んで!」


「……人族は人類にあらず……って、どういう意味なんだ……」

伊佐は、まだ意識の戻りきらないまま、ぼそりと呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ