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あと何回君に会えますか  作者: 彼岸花
また会いに行くから
6/12

ドブを生きるネズミ

このお話は完全フィクションです

再投稿


「さて、ここから一体何をしようか...笑」

俺は見慣れた街並みを歩きながら考える。

風は進行方向とは逆向きに吹き、天気は決して快晴とは言えない。雲を薄く被った太陽が喚きながら輝いていた。


「ここからどこ行こうか...笑」

俺は自分を軽く笑いながら戒めた。


どこに何の為に行っているのかも分からずただただ、ひたすら歩き続ける。

そうすれば何かが見つかるかもと思いながら。

しかし、現実はそうは甘くない。

どれだけ歩いても変化するのは光景と体だけ。

段々と体がしんどくなってくる。

特に足だ。この頃数キロ歩いたらもうバテバテ。

階段を登るだけでさえ疲れるってのに。

「お腹が空いたな...」

そういや急いで外に出てきたから何一つ食べていない。

「コンビニで何か買うか...」

俺は足枷を付けたように重くなった足を引き摺りながら歩いた。

胃から爆発音がなる。そのぐらい腹が空いた。

「あぁ...腹減って何も考えられねぇ...。」

運動不足とループからの疲労が体に溜まる。


どうやら、疲労など身体へのダメージはループで無くすことはできない

みたいだ。

そんな都合のいいものじゃないってことか...?

でもそしたら辻褄が合わないよな...?

「ダメだ。腹が減りすぎて考えられない。」

俺は斜め斜めと酔ったように歩き続ける。

「ドンッッッ!!」

鈍い音と感覚が身体中に響き渡る。

それと同時に俺の体は引っ張られるように後退する。

「いててててて...」

前方から苦しそうな声が聞こえた。

その瞬間、停止していた脳が再稼働し声を出す。

ぶつかってしまった...!と。

「す、すいません..!前見てなくて..」

俺は咄嗟とっさに謝る。

ふと見ると、目の前には赤っぽい?色のボブの髪型をしたスーツ姿の女性が転んでいた。

「ちょ、ちょっと、!どこ見て歩いてるんですか!」

女は過度に大きな声で言う。

「すいません、疲れてて、前見てなくて。」

「すいませんじゃないでしょ!どうしてくれるの!」

またもや女は過度に大きな声で言う。

「鞄もどうしてくれるのよ!体も痛いし!

 これから人生の別れ道となる大事な予定があるって 言うのに!!」


俺は気づいた。



周りの視線が俺らに集中している事に。

俺を犯罪者扱いするような目で見る事に。




前にも似たような事はあった。


満員電車で1人携帯を触っていた。

動画サイトで動画やらニュースやらを漁っていた。

勿論、ちゃんとイヤホンはつけている。

そこん所のマナーは社会人としての基本だ。


でもこんなマナーすら守れないような人だっている。

自分たちは面白半分でウケ狙いでしているかもしれないが、こちらからしたら大迷惑だ。

「はぁ...今日も会社か。」


でもマナーよりも、今生きるこの瞬間が何よりも面白くない。

会社?出勤?勉強?大迷惑だ。

一日中人生を謳歌おうかしていたい。


「俺にも人生の夏休みもっかい欲しいなぁ。」

大学生の時は、人生を満喫していた。

遊びに勉強にバイト、学生時代は社会人になっても何でもできる自信があった。

将来が楽しみだった。

「次は〜...駅〜。...駅〜。」

あ〜着いちまった。

俺は電車を降りようとする。その瞬間、


「この人!痴漢です!!」


俺は目の前の女性に手首を握られ痴漢だと言われた。

しかも、見るからに40代ぐらいのおばさんにだ。

あまりに冤罪すぎるし、誰がお前のような奴を触りたくてするんだよ。

やるならもっと若くて可愛い女にするっての。

その一心だった。


周囲の目が俺に集中する。

クズを見るような、ドブを生きるネズミを見るような目をしていた。


何でそんな目するんだよ。俺がお前らに何かしたのか...?

周りの奴らはいつもそうだ。

ある1人の意見に過度に固執してもう1人の意見は何も聞かない。

世間ってのは1番最初に言ったもん勝ちだ。


誰がその後何をいようが、1番最初に言ってしまえばその人の発言が影響される。

まるで今のように。



あの日の記憶が鮮明に蘇ってきた。

「ちょっと!何ぼーっとしているの!!何か言いなさいよ!」

俺はハッと我に帰り彼女を見る。

彼女の目は輝きながらも、黒く黒く濁っていた。

「す、すいませんでした!!」

俺は急いで立ち上がりその場を走って後にする。


周囲の目がひたすら怖かった。


俺は後ろを振り返らずひたすら走った。


ループ2回目


第6話 ドブを生きるネズミ 完


最近花粉症ヤバいですよね 2025/03/01

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