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3-2


戦火を交えている中に、彼が我関せずに大事に腕にいる者を抱きしめている。


だが、腕の中の者の息は止めている。


世間で涙と呼ばれるものが一粒一粒で彼の目から溢れていた。


彼の感情がじわりじわりとぼくの中に流れてきた。


悲愴、憤怒と恐怖…


怒りに任せた彼は今まで抑えていた力を釈放した瞬間、戦所だった場所が平地になってしまった。


この虚しい夢は初めてではないが、見るために胸が穴を空いたような気分になるから正直嫌。夢はコントロールできないのがわかっていても、そろそろ別の物を見せてくれないかと願う一方だ。


顔がはっきり見えないが、泣いているはずの彼が笑っている。


彼との感情が共感しているからこそわかるかもしれないが、見ているこっち(ぼく)がため息しかできない。


彼の行動に不思議しか思わなかった。


『こんなことしなくてもいいのに』


誰かぼくの代弁をしてくれた。


声の持ち主は半透明な姿で彼の隣に立っている。呆れた口調の割に憐愛の目で彼を見る。


『本当にバカだな』


『こんな思いさせたくないのに、――』


声がはっきり聞こえるのに、なぜか彼の名前を呼んでいる声が全く聞き取れない。


いつも見ている夢のはずなのに、いつの間にか物語が進んできた。


暴走している彼と彼の隣に添えている霊体の顔が見えるようになった途端、遠くから龍の声が聞こえた。


今回はここまでのようだなと悟った。







「満」


龍の声で起きたぼくがゆっくりと目を開けた。今朝に見た天井だった。どうやらぼくが寝ている間に寮に戻ったようだな。


休むために寝かせられたのに、なぜか非常に疲れた気分だった。しばらくの間にひたすら天井を眺めていた。


精神的にだるいが、ちょっと休んだからかもう夜になったからか、昼間より体が楽になった。


閉めていたカーテンのせいで、空が見えないことに気づいたから、軽く指を振って、ぼくが思う通りに外の様子を見える用になった。


今日は新月の日だな。真っ暗の夜空に満天の星が見えるのに、月だけがない。


やっぱりか…太陽と月がないときに、力が少し弱くなると体の負担も少なくなる。今の調子ならスイと手合わせするのがちょうど良いかもしれない。


ベッドサイドに座っている龍からわずかのため息を聞こえた。


聞かなくてもわかるくらい嫌がっている。それでも律儀とぼくを起こしたことに褒めてやってあげようかなと思いながらそのため息を無視した。


「まだ時間ある」


指先にベッドの横にあるテーブルにサンドイッチと紅茶を指している。


龍の顔を見ると、たとえ時間がなくても食べないと絶対行かせないつもりだな。


「ありがとう」


龍のやり方に気に食わないが、お腹が空いたのも事実だからありがたくいただく。


ぼくに関わると多少やりすぎな傾向があるから、この程度はまだかわいい方だから。


それにしてもこのサンドイッチが美味しいな。


「紅茶に合うな」


「また作る」


空になったコップに紅茶を入れながら言った。


スプラウーに入学するに決めた以来、珍しく緩んだ表情になった。龍も色々あるから、近頃ずっと何かに警戒しているから、些か神経質になってしまった。


「そろそろ時間だな」


やる気満々と立っていた瞬間、車椅子に座らせた。


……本っ当に可愛くないな。


「ぼく歩けるけど?」


ぼくの主張を無視するのが何より得意のようだな。



今回は短めですみません。

なんかどこに区切ってもおかしいから許してください(汗)

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