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2-3

「どうだっていいだろ。お前ら騒がしい」


「え?貴方がそれを言う?そもそも教師のくせに、何もせずにずっとコソコソお菓子を食べているだけでしょう」


先から思ったが、スズネは誰に対しても物を言うな。


実際先ほどセンセイが堂々とぼくとスイの分を食べたしな。


「お前ら丁寧に順番で自己紹介したから、ついでに点呼とみなして結果オーライ」


言われても気にもしないで、最後のお菓子を食べ終えたら、今度はタバコを吸い始めた。


教室に入ってからずっと同じ事をしているな。


「ぼくも終わったから、残りセンセイだけだな。」


時間概念が違うからしょうがないとはいえ、そろそろ本題に入ってもらいたいな。


ぼくの笑顔に対して、センセイが大きなため息ついてようやっと観念したようで、タバコを咥えながら立ち上がった。


「お前らの担任、弥桜(みはる)だ。ああ…面倒くせぇ。先お前らの紹介順が五位からの順番だ。よく自分の事がわかってる事を褒めてやるぜ。ただ、満以外まんまんと俺の術に掛かったって、せめて途中で自力でどうにかしろ」


「なんで満は平気?」


スズネが質問をしながら手を挙げた。


「まだ喋ってるだろ!はあ、こいつが規格外なのは多少気づいただろ。真姫お前が答えてくれ。先お前らがやられた魔法は何だ?」


「…ナイトメア。相手の忘れたい一番嫌な思い出を思い出させる魔法」


「はあ、悪くない。クレマン、もっと説明してくれ」


「そうネ。ナイトメアは魔法の中でも珍しく自分より強い相手にも使える魔法っす。心に隙があれば、もしくは傷が大きいほどかかりやすいデス」


「悪くはない。翠、ナイトメアを防げる方法は何だ?」


「ナイトメアのような心理干渉系の魔法を察知した瞬時防衛魔法を使うべきです。」


「考える方向は間違っていない。だが、心理干渉系の感知は獣人族でもすぐには難しいだろ。質問を変えようか。鈴音、どうやってナイトメアから逃げ出す?」


「…ナイトメアの中で自害しないと醒めない」


「はっ、普通の術士なら花丸をあげでもよかろ。だけど、翠とクレマンはさっき試しただろ。効果がある?」


「いいえ」


「何回やってもゼンゼン効果ないっす。むしろどんどん鮮明になってタ」


「そ、お前らより強い術者が相手なら自害してもまた繰返すけだ。よし、ここまで来たら、更に疑問を感じるだろ。強い相手にも弱い相手にも使える。だったら全員ナイトメアを使えば世界征服できると思うやつはここにい…」


「るわけないわよ」


「なら良かった。万が一頭花畑のやつがいるならこの教室から追い出すぜ。ナイトメアは一定の実力がないと使えない。何よりなのは使いこなせる方が断然難しい。下手したら自分が悪夢を見てしまう可能性もありえる。使いこなせば俺のように自害しても起きれないし、強い相手でも引き込める。あっちの竜族が一番いい例だ。ヒントは以上。ナイトメアの詳細と(あいつ)に効果がない理由を二ページ以内のレポートにまとめて、六月の中間テストまでに満に提出してくれ。」


正直、先までやる気のまったくないミハルが急にセンセイっぽくなってきたから、ギャップの激しさに驚いてしまった。


それに、スズネの質問に答えがわかってもすぐに教えるのではなく、こうしてひとりひとりに質問をして、知識を与えながら自分で考えさせる。


さすがこの学院の教師を務めるだけのことはあるな。ただ、面倒くさがりも本物のようだ。教師らしく課題を出したが、結果を最後まで確認したくないからぼくに押し付けたな。


果たしてここまでヒントを出したから全員がわかると断言できているのか、それとも単純にここまで来てなお理解できないのなら教えるのが無駄だと考えているだろうか。


ミハルがタバコを吸い終わったら残りのお菓子を食べ始めた。再びやる気ないモードに戻った。


「入学式で講義の選び方もついでに説明すればいいだろよ。担任に任せる意味がわからん。クソ面倒くさ…」


「文句ばっかり言うんないわよ!さっさと説明を終わらせれば、アタシたちを自習にすればいいでしょう!」


まるで満月に吠える狼のように叫んだ。


流石獣人というべきでしょうか。


その言葉にハイライトがないミハルのタレ目が光ってる。


「ん…?鈴音、お前なかなかいい生徒だね。そだね、そうすればいいか」


急にしゃきっと立ち上がった。今まで骨が抜けていたのがまるで嘘みたいに。


スズネの顔が明らかに引き攣った。


アタシ…もしかして大変なことした…?と小声でぶつぶつし始めた。


マキが心配そうにスズネを見ているが、どうすればいいか全くわからないく、ぼくの服を引っ張った。


「ふふ…頭をなでてあげればきっと喜ぶよ」


疑問に思いながら、ぼくの言った通りにしたら、スズネが自分の顔をマキの胸に思い切り埋めた。手が当たり前のように揉み始めた。


他者との触れ合いが慣れていないマキは止めるべきか迷っている。恐らく力加減がまだコントロールできていないから、うっかり傷つけたくないのでしょう。


優しいな。


ところが、スズネが喜ぶを超えてもはや暴走しているな。


「ネ、満サンは絶対わざとダネ」


ぼくと同じく女の子同士のじゃれ合いを眺めているクレマンがニヤニヤの顔をしているな。


「ふふふ、何の話?」


「獣人は…開放的ですね」


クレマンと違って、顔が真っ赤になったスイが思わず視線を避けた。


こんなで照れているスイもかわいいな。


「おい、お前らうるさいぞ。早く説明したいから、さっさと静かにしろ」


急にやる気に出てきたミハルが魔法でみんなを黙らせた。


もし声が封じられていないなら、今のスズネは恐らく誰よりも突っ込んでいるでしょ。


「あーあ、面倒だけど説明するぜ。まず…そだ、学院内同じ時間で色んな講義がある。教室によって席数が変わるし、講師によって生徒の数が違う。だけど、お前らはSクラスだから、たとえ満員でもお前らの席は優先的に確保されてる。スプラウーには必修科目がないから、好きに選べばいいし、全部受けない選択肢もある」


「時間割表とかはどこにありますか」


手を挙げながら言ったのはスイ。


スイは魔法をかけられた直後で魔法を解いた。そもそも油断したのはよろしくないな。

ハイエルフの魔法耐性は種族の中には中間くらいだが、もう半分の血筋はどの種族より魔法耐性が強い。


ふふ…だから自分が弱いというのか。


「何言ってんの?バッジを見ればいいだろ。まさかお前らのバッジは装飾品とでも思ったか?」


完全に呆れているな。


ぼくも昨日入学式後適当に置いていたからな。


バッジは手にしたら、たしかにミハルの言う通りに、自分のランクとクラス以外に、学院内の時間割表、現時点の順位表を表示されている。順位表に名前を書かれているが、各自のポイントを表示されていない。


Aクラスの上から三つ目にアキラの名前が載っていた。


思った以上低かったな。彼ならもっと高くてもおかしくはないが、こっちに来て直後入学試験を受けたと言ったから、まだここに慣れていなかったからかな。


「で、どこまで説明した?」


「授業をサボっていいところデス」


クレマンはミハルに全部食べられたはずのお菓子を食べている。


「どこ、から?」


マキの質問にクレマンが小さい声で厨房にちょっと残ってったっすと言った。


威力が軽いとはいえ、ミハルの魔法と解くのが早くなってきたな。


スズネは声に出していないが、彼女はスイと同じくらいで魔法を解いた。元々獣人族だから、魔法耐性がそれなりに強いから。


「あーあー、そだ。この教室の話だけど、Sクラスの者だけ入れる。もちろんお前らの従者も入れる。それ以外の者はお前らの許可をもらわないと全部除外されるから、招いた者にちゃんと説明しないと死ぬから」


ただの教室にしてはやりすぎる気がするな。



お久しぶりです。

体調が崩れてしまって、なかなか更新できなかった(泣)

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