4-2
食事を終えた後、クレマンが転移魔法を使ったから一瞬で指定の教室の前に到着した。
七名の転移をしていてもクレマンは飄々としているな。
ふふ…昨日クレマンが魔法得意とか言っていた。確かに凄腕かもしれないな。
ぼくの視線に気づいたクレマンがにやっと手を振った。
「ほら、やはり人気ないじゃないか!」
教室に入って誰も居ない教室を見て、スズネが文句を言い始めた。
「いいじゃないか~誰も居ないほうが楽じゃん~ほら、Sクラスが一気に集まったらみんながザワザワザワってカンジじゃん~そもそも枠が少ないしね~」
確かに枠が六名しかなかったから、ぼくたち以外は居ないはずだな。にしてもよくこんな少ない枠のに、アキラがちょうど最後の一枠を取れたもんだな。
まるでぼくたちのために開いた講義のようだな……
「そう?全然気づかなかったわ」
「言い訳は醜いよ~」
「そぉよそぉよ!」
「うるさいわ!おだまりなさい!」
クレマンは本当にスズネをからかうのが好きな。スズネもスズネでクレマンが見たい反応するから余計にからかわれるな。
「皆様、そろそろ講義の時間ですので、もう席に座りましょう」
「「はい~」」
「ずるいわよ!なにそれ?いい子ぶるんじゃないわよ!」
スイの言葉を聞いて、アキラとクレマンがものすごく素直に席に座った。残されたスズネが息ぴったり合うふたりを見てなおさら怒った。
「鈴音様…」
「うぅ、ごめんなさい」
賑やかで面白いものだな。
ただ気になるのは、教室に入ってからずっと静かにキセルを吹かす幼女がいる。丸いメガネのせいで目が全く見えない。ただ、頭に大きな獣の耳を見る限り恐らく獣人と思われるが、なんか違和感を感じる。
それにみんなの反応を見る限り、ぼくと龍以外は誰も気づいていないだな。気配に敏感そうなアキラですら気づかないなんて、やはりみんなが油断すぎたな。だからこそ、気づいたらどんな反応するのか楽しみだな。
今朝のように攻撃するのかな?ふふふ……
「どうしたの?」
ずっとぼくの隣にいるマキが些か困惑しているようだ。
どうやらぼくが声を発したような。
「なんでもないよ。楽しみすぎて思わず笑っただけ」
「?」
更に困惑しているマキを見て、ますます弟みたいだなと思いながら彼女の頭を撫でる。マキの顔がまた赤くなっている。かわいいな。
「講義始めたいと思うけど、いい?」
聞こうとしたとき、獣耳の幼女がやっと声を発した。
その瞬間、始めた幼女の存在を気づいたスイたちは今朝のように無意識に攻撃しないものの、すぐ攻撃体制になった。本能のままに攻撃しないことについては褒めてもいいかもしれないな。
「えええ?ナニナニナニナニぃ?いつから居たのぉ?てゆうか獣耳幼女に着物でキセルなんて盛り過ぎっつの!」
わざとらしく喚いているアキラの反応はギリギリ面白い方に入るかな。
誰より早く攻撃しようと思ったが、ぼくの反応を見てすぐ演技の方に全振りした。
それに対して、幼女はただ煙管を吹いているだけ。
アキラの反応より、気になるのはマキの方かな。眼の前にいる者を確認した途端警戒しなくなった。マキの性格上的には初対面でこんな反応になるわけないはず…
「騒ぐな。うちは小雪・桜木。この授業の講師」
大きなメガネのせいで全く表情がわからないが、彼女は恐らくぼくと龍を見ている。そうなるのもおかしくないかな。ぼくと龍だけ最初から気付いたから、多少気になるのも無理もないかな。
「これから講義内容をまとめたレポートでA+を得た者だけ単位を差し上げる」
全員の警戒が落ち付いた後、みんなの前で淡々のルールを説明し始めた。
どうやら学院内で講義と講師によって単位の取得方法が異なるみたい。全ては学院内の講師が各自で決めていいもの。どれだけ理不尽でも学院側は口出さないらしい。
コユキのように講義を始まる前に単位の取得方法を説明してくれる講師と説明せずに講義を始まる講師もいるらしい。
ま、全部龍から聞いた話だけどな。なんで知っているのは全く説明しないけどな。
「世界の創生という講義だが、今回他の世界から来た者がいるようで、最初から説明する」
コユキの後ろにある黒板に、魔法によって浮いているチョークが生の神、死の女神と知恵の神と書いた。
「この世界は三位の神がいる。呼び方は世界と種族の習慣によって変わったりするが、基本的には書類に残された名称がこちらが一番多いため、今後その名称で説明する」
コユキによると、世界はこの三位が作れた。生の神は空を、死の女神は海を、知恵の神は大地を生み出した。過ごしやすい世界を作ってから、三位は他の種族を作り始めた。生の神が自分と同じ白い翼の天族を創った。黒い翼を持ってる死の女神が魔族を創った。そして、知恵の神が己と全く違うた形の竜族を創った。
その説明によって、チョークが随時黒板に神の名前と種族を書いている。
「最初の三種族を創った後、しばらく経ってから、神達再びハイエルフ、ドワーフと人間を創った。その時は神達と六種族が一緒に大地に過ごしていた。ただ、種族の数それぞれ増えてきたにつれ、知恵の神が作った大地も足りなくなり、生活の空間と色々考え方の違いで争いがどんどん酷なった。神達の慈愛を利用し自分の種族を勝ち取った種族がいたり、神の無情で命を落とした種族もいた。それを気づいた神は酷く悲しんだ。三位が相談しあった結果は、元も土一つ世界を五つに分けた」
黒板に天界、人間界、中間界、水界、魔界が書かれた。
世界の均等を考えて、神の力に一番近いと見られる天族は天界、魔族は魔界、竜族は中間界しか誕生しない。各種族の中に比較的に弱い人間は各世界にいるが、人間界だけ他の世界の行き来するのを封じられている。それを決めた後、神達は表の世界から去ってしまった。
「以上はまだ五つに分かれていないときから唯一残された創世記という本に記載された内容」
この世界だけではなく、人間界の大半の住民以外は知らない者はほぼ居ないくらい基本の基本。教室内の者を観察すると、特に疑問を持っている者は居ない。約一名がついていけないようだが。
「では、うち今まで説明した内容に、なにかおかしいと思わないか」
あまりにも当たり前の内容だったから、その質問の意図が理解できないため、誰もすぐ反応しなかった。しばらく経ってからスイは手を挙げた。
「世界が分かれる前に記載した書籍なのに、なんで世界が分かれることがわかるのでしょうか」
「ええ、その通り。緑川君、二ポイント追加」
ポイント?あ…そうだな。この学園でポイントはランク内の順位で決められているか。故に、学園の教師たちは追加と減点という権限が持っているわけか。
みんなの反応を見る限りポイント制度にはもう慣れきたようだな。
クレマンも手を挙げた。コユキの了承を得てから、彼がこう言った。
「世界が分かれることをわかるってことは、三位の中に誰かが書いていると推測できて、その中に知恵の神が書いたという説が多いっス」
「ええ、その通り。ジハーウ君にも二ポイント。作者が神という理由で、創世記はまた予言の本か神の日記など他称がある。実際、本物はこのスプラウーに保管されている」
さらっと貴重な情報を言い出したコユキは呑気にキセルを吸って煙を吐いて、まるでどうでもいい話のようだ。
「先生、このような内容は簡単にお知らせしていいものですか?」
「ええ、その本を開けるのは神たちが直に創れらた最初の六名だけ。」
だから知っても無駄ということかな?
「今回の講義はこれで終わり。今回講義の内容と創世記を調べた資料をまとめて来週まで提出してください」
一服のあとで彼女は淡々と終わりを告ぐ。
「今朝の授業より早かったね。これからどうシマスか」
ぼくたちの中で一番早く立ち上がったのはクレマン。
初めての授業だから他の授業の長さは全く分からないから比較対象がないが、教室の前の時計を見る限りには時間はたしかに早い。
「一旦教室に戻りましょうか。せっかく同じ講義を受けましたので、レポートも一緒に考えるのはどうでしょうか」
先程の講義内容を簡単にまとめた紙を片付けたスイはそう言った。
真面目だな。ほぼ誰も分かっている内容でもしっかりメモを取るのはすごいな。
「いいと思うわ。先ほど先生がおっしゃったこともとても興味深い」
「へ~受ける前にいらないとか言ったのは鈴音サンなのにね~」
「はいはい、確かにアタシが思ったより意味がある時間を過ごした。アタシが軽率だったわ」
自分の誤ちを素直に認めたスズネの反応にクレマンがぎょっとした顔でスズネを見た。
「何見てるのかしら?間違いを認めたりしてはならないの?」
「イヤ~別にそう言ってないぜ」
スズネに睨めたクレマンがニヤッと笑うと、今度はスズネがレモンをかじった顔した。
「みっち、オレも一緒に行っていぃい?わからねぇこといっぱいで頭パンパン~」
アキラがメソメソしながらぼくの前に来た。
本当に嘘泣きが好きだな。
彼の頭を軽く撫でたら、アキラが絶賛な笑顔でぼくに向けて、後ろに存在しないしっぽが激しく振ってるのを見える気がした。
「…どうして子犬ってわかる気がしたわ」
少し引いたスズネが小声でつっこんだ。
ふふふ、よく分かるな。
「戻ろ」
後ろから来た龍が片手でアキラを掴んで後ろに投げた。ええ、言葉通りに。きれいな放物線に投げられたアキラは音も立てずにきれいに着地した。
……ふん。
「みっち!見た?龍さんがオレを投げたのを見たよね?ね?なんでふたりとも無視してんだよ!」
アキラはぼくに向かって泣きつけた。
本当に賑やかだな。でも、うるさすぎたから敢えて聞こえないことにした。龍も一貫して、アキラの言葉一切聞こえない顔している。
クレマンがわざとらしく慰めているが、目にある感情は明らかのからかいだった。スズネは哀れな目で見ている。
敢えて口に出さないことを最後の憐憫かもしれないな。
「満…?」
右側にいるマキがぼくの袖を掴んで、大きくてルビーのような鮮やかな赤い瞳がぼくを見つめている。その目には些か心配と疑惑だった。
彼女は育ちの環境で他者との接し方がわからない故、心配していてもどのような言葉を発すればをわからない。それでも彼女なりの精一杯をしているのを目に見える。
不器用で優しい。とても愛しいな。
微笑みながら、マキの頭を軽く撫でた。そしたら、マキの顔が瞳の色と同じく赤く染めた。
ますます弟に似ている。弟も撫でたり、褒めたりしたら照れる。ただ、弟は素直ではないから、いつもひねくれた言葉で言い放ったら後悔する。それもそれで可愛らしい。
それに、弟と違ってマキが経験したことを笑えることではないな。わざとではないとは言え、無闇にマキの記憶を見てしまった以上、ぼくは彼女のことを見守りたいと思う。もちろん、力だけで見ると守るも何もだが、心の強さと考えたら、また些か心配する部分があるな。でも、他者と触れ、世界を知れればきっと大丈夫だ。
それに…ふふふ、実に楽しみだな。
突然に笑い始めたぼくに対して、マキの戸惑いが更に深めった。
「では、戻りましょうか」
ぼくの言葉を応じで、スイはぼくが出やすように席から立ち上がった。龍と他の皆もぼくの近くに集まった。離れた際にコユキの視線を感じた。その視線に向けて軽く笑ったら、案の定メガネのせいで表情が見えない。
おかえりなさいと声に発していないが、彼女がそう言ったような気がした。
本当は3小節に分けたいけど、でも文字数的にできなかったです(泣)




