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蛇口  作者: 土佐牛乳
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季節3/28

あー、昔のこと

 蛇口を押した。

 水が出る。

 冷たい水ではあるが、勢いよく顔にかけていく。

 そして、何度もこう思う。

 また仕事かと。


 朔月にバイトリーダーになった。

 頭ごなしに言われる毎日だ。

 しかし、こんなこともある。

 目の前に悲しそうな目でレジ打ちをしている女性。


「おはよう」


 にこやかに笑う。


「おはようございます、森崎さん」


 二人は普通の関係であった。

 後々分かった、いろんな問題が彼女と、かなり一つだけの問題が俺だけにあると。


 踏みつけられたように、ふと思うことがある。

 彼女を作ることをしていなかったことだ。

 それは、いろんなことにあると思う。

 例えばそこそこだから地位が欲しいとか。


 まあだから、それでも彼女を作る決心をした。

 レジ打ちをしている女性。

 今更ながら名前の紹介がまだだった。

 切株さんだったかな。


「アイラブユー」


 適当なことを言ってみる。

 すると目の前で涙を流している彼女がいた。

 やくざだとは知っている。

 それでも切株さんのことが好きだ。

 地元では切株ファミリーとも言われている。


「汚れているので無理です」


 たったそれだけであった。

 わずか1分のことであった。


森崎ハジメはいつもクールな態度を崩さず、コンビニでバイトをしていた。彼はただ黙々と働き、冷たく見えるが、心の内には熱い情熱が燃えていた。


一方、株切は彼にとってはいつものおっちょこちょいな存在であった。彼女はいつも忘れ物をしてしまったり、つまずいたりとちょっとしたトラブルが絶えなかった。


昼食の時間になると、ハジメはいつものように自分で準備した弁当を食べていた。株切は勤務中でもなんだかお腹がすいてしまっていたようだ。


「あ、ハジメくん。私、またおにぎりを忘れちゃったんだよね。ダメダメだなぁ。」彼女は自嘲気味にそうつぶやいた。


ハジメは冷静なまま微笑みながら答えた。「そうか、それは残念だな。でも、大丈夫。私がおにぎりを買ってきてやるよ。」


株切は素直に頷いて、ハジメに感謝の気持ちを込めて微笑んだ。二人はしばしそのままの姿勢で昼食を楽しんだのであった。

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