第06節 ルイーズの過去
僧侶マーガレットは魔術師ランに訊ねた。
「ランさん、風の魔法で
もっと強力なのはないのですか?
少し転ばせただけでは、
闇による膿は出ません」
「じゃあ、つむじ風をもっと強くするのだ」
魔術師ランはさっきより
少し長く魔法を唱えた。
すると魔物をつむじ風がすっ飛ばして
広場の横にある建物の壁に
激突させることができた。
「グアアアアアアアア!!」
また紫色の煙が出てきた。
辺りに幻が前より多く見えた。
”君は少し酒癖が悪いね、ルイーズ”
”また酒にお金をたくさんつぎ込んで、
いい加減にしろ!”
”お願い、酒代を取り上げないで。
酒が無いと生きていけないのよ!”
”君には愛想が尽きたよ。
それに僕は酒癖の悪くない子と
婚約したんだ”
「なるほど、話が見えてきたぜ。
もっと他にも原因は無いのかよ?」
武闘家シュウが訊ねた。
「魔王と契約した過去が
あるはずなのだ。
それを突き止めれば
悪因が分かって解けるから
魔物を倒せるのだ!」
魔術師ランが叫んだ。
「ルイーズさん、教えて。
いつどこでどういう風に
魔王と契約したのですか?
あなたを助けたいんです」
僧侶マーガレットは
優しく魔物に語り掛けた。
「オ前タチニ、何ガ分カルッテ言ウンダ!!」
魔物は悲しそうに叫んだ。
そうこの人は少しだけ酒癖が悪くて、
少しだけお金を散財しただけなのだ。
そこまで悪い人じゃない。
それに恋人と仲直りする方法なんて、
いくらもあるはず。
なのにどうして魔王と契約したのだろう?
土田学は思った。
<何かうまい事を言われて、
騙されたのかな?>