第04節 土田学がもたらすバレーボール理論
「自己紹介が、…まだだったね。
僕の名前は…土田学。
桜坂中学校…1年生で、
バレーボール部の…、球拾いやってます…。
クラスメイトの会田さん、…という子が
早死にする…運命で
この世界を救えば…神様が
会田さんの運命を…変えてくれる
って契約で、
…ここに飛ばされたんだ」
武闘家シュウが身を乗り出して
聞いてきた。
「それで『バレーボール』ってのは
どんな戦い方なんだ?
俺は蹴りには自信あるけど、
足を使ってもいいのか?」
土田は笑って答えた。
「足を使っちゃ、…反則だよ。
コートって言われるエリアの…真ん中に
高く網を…張ってね、
ボールっていう…丸い空気が入った球を…
レシーブ・トス・アタックの三回だけ…触って、
うまく回して…相手の陣地に…網を越えて、
攻撃するんだよ…」
「分かったぜ!」
「分かりましたわ!」
「分かったのだ!」
三人が同時に声を出した。
「例えば火の敵が現れると、火は風に勝つから
風は戦えない。
だから火の攻撃を中立の土が受ける、
つまり『レシーブ』して
ニュートラルなエネルギーにする」
とシュウが言い出した。
「火を相手に逆境の風が恐怖心を克服すると
その勇気がニュートラル・エネルギーを強くする。
そのニュートラル・エネルギーを
水に与えると『トス』になるんですわ」
とマーガレットが続く。
「最後に火の敵に
ニュートラル・エネルギーで
強力になった水属性で止めを刺して勝つ、
これが『アタック』なのだ。
つまりバレーボールの戦法を
この世界の属性バトルに応用しろ、
って意味なのだ」
と魔術師ランが興奮して喋った。
「火属性の敵に…水でガードしてたら…安全だけど、
いつまでも…止めが刺せないから、
勝負がつかない…。
だからこのレシーブ・トス・アタック…で、
忍耐・援助・必殺技…という感じにする必要が
…あるのか。
それでバレーボール部員の…僕が、
この異世界へ…連れて来られたのか…」
土田学は異世界に来た理由が分かって、
心の底から納得した様子だった。