第03節 武闘家シュウと僧侶マーガレット
「バカバカしい!!
そんなの信じられるもんですか!
さあ、お金をかえして!!」
「しょうがないのだ、はい」
魔術師ランはお金を返した。
その後、いきなり泣き出した。
「わああああん!」
その泣き声を聞きつけて、
男が入ってきた。
「どうしたの、お嬢ちゃん?」
「占いの代金をドン引きされたのだ」
「まあまあ、ここは俺が治めましょう。
占いの代金はいくらなの?」
白龍が描かれた青い武道衣を着て、
髪の毛を後ろに短く縛っている。
「代金は15Gなのだ」
と魔術師ランがきっぱり言った。
「じゃあ、はい。
これで解決ね」
男が代金を払うと
女はこれでいいわね
といった顔つきで去って行った。
武道衣の男は、
にやりと笑って話しかけてきた。
「あのさ、俺にも痣があるのよ」
そう言うと、男は右腕を見せてきた。
そこには『太陽』の形をした黒い痣があった。
「俺の名前はシュウ。
火の精霊サラマンダーに選ばれてるらしい。
師匠がそう言ってた」
これで痣のあるものが二人。
土田はこの勢いで四元素が揃うなら、
後は水と土だなと思った。
ランとシュウはお互いの痣を
確認しあっている。
「まあ、黒き痣。
これこそ天の導きですわあ」
三人が振り返ると
白いローブを着た僧侶が
両手を合わせていた。
「昨日、夢でお告げがあったのです。
精霊に選ばれし黒き痣を持つ者が4人集まる時、
城下町に潜む魔王ボーラは倒されるであろう、と。
そして黒き痣を持つ者のリーダーは、
異世界より『バレーボール』と呼ばれる技をもたらして
魔王とその手下と戦う事になる、と。
あ、申し遅れました。
私、僧侶のマーガレットと言います」
そう言うと、僧侶マーガレットは
右腕をローブから出して見せてきた。
そこには『魚』の形をした黒い痣があった。
「水の精霊ウンディーネ様のご加護を
いただいております」
これで痣を持つものは三人。
残るは土の精霊に選ばれし者である。
「バレーボールって、なんで…そんなスポーツが
戦いに…必要なんだ?」
土田は首を傾げながら呟いた。
「まあ、ご存じですの?
バレーボールの事を。
それならば、
あなたがリーダーになりますわね。
あなたの右腕にも
黒い痣がきっとありますわ」
そういった後に、僧侶マーガレットは
土田の右腕を伸ばしてきた。
「そんな痣なんて…、ああっ!!」
信じられない。
土田の右腕に『蛇』の形をした
黒い痣がいつの間にかあったのだ。
「大地の精霊ノームに
選ばれた証拠ですわ。
さあ、お聞かせください。
バレーボールとは何なのですの?」